迷いの森~テリア~
ブックマークが増えている···だと···?ありがとうございます!モチベーションが上がります!
下がっていたモチベーションが上がり、微妙なラインになった結果、それを戻す為に少し···少し?ふざけてます。
「つまんな」と思うかもしれませんが、私にボケなど難しいのです。
前回に比べ、今回は長目です。
それでは、どうぞ。
──魔族の領地は、山岳を背中にし、そこから円を描くように城壁が広げられている。
故に、背後からの侵入は不可能。左右にも森林が広がっており、容易に抜けられなくなっている。
霞・龍地・シリス・ビスが、待ち伏せを成功出来たのはこの為である。正面からしか敵がやってこない為、ルートの予想が簡単なのだ。
ただ、侵入がしにくいというだけで、出来ない訳では無い。そもそも、龍地達が戦っていたのが、森を抜ける事が出来ない軍隊だったのだ。抜けられる部隊が居ても、なんら不思議ではない。
そして案の定、少数による行軍で、森へと侵入している者達が居た。
その者達は、隠密行動に長けていた。暗闇で目立たない為の黒服。顔には個人を特定されない為にマスクをし、フードを被っている。
高速で移動しているにも関わらず足音がせず、前傾姿勢によって速度を出している。
霞と龍地が見たら、瞬時に「「忍者……だと……!?」」と呟きそうな装いだ。
当然。そのような軽装では、ほんらい武具など持ても仕込めもしない。のだが、服にはあちこちに無色魔法が掛けられており、収納力が異常な事になっている。
その収納力、なんと書店の本棚10個が余裕ではいる!!(分かりづらい例え)
それはどうでも良いとして。
その見た目以上に大量の武器を抱えた忍者達は、魔王城から見て右側、通称迷いの森と呼ばれる森林へと入っていた。
どこら辺が“迷いの”なのかと言うと。
霧が深い、だとか。トレントが……だとかではなく、単純に、迷いやすい見た目・性質なのだ。
過去、魔族達が楽に抜けられるように、と何度か調査をしたのだが、1度として成功していない。
生えている木々は、まるで作られたかのように全て同一の見た目をしており、目印になるような木など無い。ならば「目印を付けよう」と考え、木に傷を付ける。すると、その場で直ぐに復元されてしまう。それならばと、今度は地図を作ってみる。『何本目の木で右(左)にまがる』というふうにできるようにする為だ。
しかし、入る度に何故か木々の位置が変わっており、地図は意味をなさず、右に曲がったはずが左に向かっていた。なんてこともある始末。
霞が聞けば、「ゲームのダンジョンみたい」と言いそうな森なのだ。
行きたい場所に行けるかどうかは、最早運である。
だったら、あの忍者達も迷ってしまうのでは?と思うだろう。もしも運に任せた場合、右門に辿り着ける確率は、4桁のパスワードを1発で当てる、ぐらい低い。ならば9999回も出たり入ったりすれば良いのか?否、断じて否である。入る度にマップが変わるので、毎回9999分の1のガチャをせねばならない。
ソーシャルゲームも真っ青な確率だ。
では、あの忍者達もガチャをするのか?
流石に人間もそこまで馬鹿ではない。「神様が力くれたぜヒャッハァァァー!」とかなっている連中ではあるが、無策でそんな運ゲーに望む程馬鹿ではない。
ならばどうする?
1回で森全体をマッピングする?無理だ。迷いの森の面積は東京都と同程度、とても短時間で回れる様な広さでは無い。
木がダメなら、地面に目印を付ける?無理だ。土に付けた目印も、それどころか足跡さえも消えてしまう。
人間達は頑張った。魔族への攻撃が決まった段階で、それはもう考えた。でも、駄目だった。ヒャッハーしてるような奴らでは、いい案など思いつかなかった。
これには神様もガッカリ。
仕方がない、と神様は答えを与えた。神は、駄目な生徒を見る目で人間達を見ていた。
そして現在、忍者達は服によって隠されているが、ネックレスを掛けている。それは魔装具と呼ばれるもので、本来魔法に与えるはずの性質が付与されている。
それぞれのネックレスに付与されているのは、【認識強化】の能力。
迷いの森の構造が、入った者を混乱させる事が本質ならば、混乱する様なその感覚を強くしてしまえばいい。
因みに、そのネックレスもまた神が与えた物なので、人間達はまたヒャッハーしていた。ようはそれ程魔装具というのはやばい物なのだ。
そして霞の使っているあのレイピアだが、当然の様に魔装具だ。流石チート。
神から貰ったネックレスを付けたおかげで、暗がりを行動する事も多く元々感覚が優れている忍者達は、自身の位置を正確に把握しながら森の中を進んでいた。
「後10分もすればたどり着くか?」
「ああ。存外楽だったな。1度街に侵入出来れば、紛れ込むなど簡単だからな。ここが1番の難関だった」
「当然だろう。神が見ていてくださっているのだぞ?成功しない訳が無い」
そんな話をするほどの余裕もある。とてもヒャッハーしていた者達とは思えない。
まぁそんな余裕など、直ぐに無くなるのだが。
「っ!?何かが飛んできている!全員備えろ!」
認識強化とは、ゲームで言うところの気配察知・空間把握等のことである。それらの感覚の強化により、惑わされずにここまで進んでこられた。
その強化された把握能力に、何かがかかった。
凄まじい速度で彼らの元へと向かっている。明らかに生き物ではない。
「!?チッ、どうやら気付かれていたようだ。既に囲まれているか?おい!攻撃を食らったものは居るか?居ないな?迎撃するぞ!」
「「「ハッ!」」」
飛んできたのは矢だった。精々刺さる位の鋭さしかないが、何か、緑色の液体が光っている。毒だろう。殺さず眠らせる気なのだろうか。
忍者達はそれぞれの得物を構え、次の攻撃に備える。感覚が強化されている今であれば、飛来する矢にも対応出来る。
忍者達は自信に道溢れていた。
──さて、通常、魔法を使って認識を強化しなければならない程に突破が困難な迷いの森。人間達はそれをクリアしここまで進んできた。
では、今攻撃したのは誰なのか。迷いの森は魔族でさえも迷ってしまう。故に、人間達もここなら防御は少ないと考え、何としても突破する手段を身につけたかった。
では、魔族側が、人間達が迷いの森を突破する可能性を考えなかったか?有り得ない。『備えあれば憂いなし』という言葉があるが、その通りで。あらゆる可能性を想定する事が当たり前である。
よって、迷いの森にも魔族は待ち伏せし、侵入した人間達へと不意打ちする手筈となっていた。
なら誰が待ち伏せしていたのか?
異世界物の小説には必ずと言っていい程登場し、総じて魔力が高く、大抵が深い森の奥地で生活している種族。
───そう、エルフである。
今回、テリアは出てきませんでした。
説明がすごく長くなっちゃったからね、しょうがないね。
霞のレイピアには【停止】が付与されているので、刃こぼれしません。そんだけです。
次回一応戦闘が入りますが、描写は期待しないでください。ビスの時に頑張ってみましたが、やっぱり無理でした。
ブックマークや評価、よろしくお願いします。
···やっぱりネタなんて無理だった。