鬱憤爆発~シリス~
シリスさんにだってね、ストレスぐらいあるんですよ。
皆さんも、ストレスは発散しないと駄目ですよ。
私ですか?私はもうかなり溜まってますね。はい。
龍地が惰眠を貪らせている頃。シリスもまた、兵士達と交戦していた。
「フ、フフ、フフフフフフ」
「シ、シリス様?」
「あの、その、これ以上やると流石に命が危ういかと………」
「アハハハハハハハハハッ」
シリスの笑い声が響く中、戦場は中々の地獄になっていた。
地面には亀裂が入り、グツグツと煮えたぎっている場所もある。大きな焦げ目が大量に着いており、その周りに兵士達が倒れ伏している。既に立っているのは数名しかいない。そしてその数名も、今は逃げ惑っている。しかし驚いたことに、死んでいる者はいない。まぁ死んでないだけなのだが。
何故こんな地獄絵図になっているのか。そして、何故シリスは狂ったように笑っているのか。それは、数分前に遡る………
「さて、そろそろでしょうか」
シリスは龍地と違って、待ち時間を有意義に過ごしていた。一応ウィッチの中で1番実力がある為、指揮官を任されているのだ。なので、隊列を組んだり、詠唱の確認をしたりと、全く無駄にしていなかった。
「遠距離魔法用意」
シリスは指示を出す。そのまま敵が来るのを待つ。
──そういえば、龍地様も今頃戦っているのでしょうか
シリスはふとそう思った。そして直ぐに否定する。いやないな。きっと「暇だなぁ」とか思いながら欠伸でもしているんだろう、と。大当たりである。シリスはだんだんイライラしてきた。
──何故私はこんなに頑張っているのに、あの人達は暇なのでしょうか
シリスは確かに魔王の側近ではあるが、まだ成人したばかりである。ストレスぐらい溜まるし、理不尽にはキレる。しかもここ1ヶ月は、とある2人組のせいで胃が痛めているのだ。ストレスは物凄い勢いで溜まっている。
──思えば、いつもいつも苦労しているのは私だった気がします
2人の適正を見た時──全色使いと無色使いが出る。2人の魔法を見た時──片方は何か人のようなものを土で作り、もう片方は宙に浮いている。他にも挙げていくとキリがない。シリスのストレスはもう限界だ。
あれ?そういえば、(ストレスの)発散対象にしても誰にも文句を言われない人達が向かってきていたような……?
「……………〔全術式起動〕」
ブゥン、と空気が震える。
「シリス様?」
しかしシリスは止まらない。
「〔爆撃術式展開〕···流石にそろそろ限界ですね……」
シリスの後方に、魔法陣が展開される。後ろのウィッチ達はシリスから発せられる殺気に少し怯えている。
「〔照準調整〕何がって?そんなの決まっているじゃないですか………」
魔法陣から、龍地が用意したものとは比べ物にならないくらいの熱量をもった火焔球が顕れる。今にも爆発しそうなその球は、シリスの心を表しているようだ。
「私のストレスがですよぉぉ!!〔発射〕!!」
魂の叫びとともに、球は打ち出された。
着弾。爆発。付近に居た(つっても30メートルくらい離れてる)兵士達はその爆発に吹き飛ばされた。ついでにシリスの心の枷も吹き飛ばされた。
「フフ、アハハハハハハハハハッ」
その後、異様に熱い炎の槍や、マジで骨すら残さなそうな熱を持ち過ぎて発光すらしている焔球。その他にも色々兵士へと八つ当たり気味にぶつけ、呆気なく全滅させた。後ろのウィッチ達はシリスの状態がよく分からなかったが、理不尽な理由で無茶苦茶攻撃されていたことは分かった。1部の者は、静かに合掌していたりもした。
こうして、2つの部隊が戦闘開始から1時間も要さずに全滅させられた。
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第一部隊→龍地:全滅(熟睡)
第二部隊→シリス:全滅(八つ当たり)
次こそは、真面目に戦闘させます。
やっぱさ、無双って書きやすいんですよ。一方的だからね、しょうがないね。
新しい小説を書き始めてみました。そっちもこっちと同じく趣味で書いているものなので、クオリティは期待しないでください。興味がある方は、是非。
という訳で、こっちでも。
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