対人戦~龍地~
今回は、龍地です。
シリスさんに報告した。城門付近に作った休憩所みたいな所で報告した。周りの戦士達は驚いてたけど、シリスさんは全く驚かなかった。慣れたようである。
「追い返しただけだから、また来ますよね」
「はい。今度は、もっと沢山の兵を連れて来ると思います」
「じゃあ、事前の作戦通り?」
「そうですね、今度は彼らにも頑張って貰いましょう」
「じゃあそんな訳で、皆さんお願いしまーす」
うおおおおぉ、と雄叫びが上がる。気合い十分だ。
「じゃ、今度は龍地の番だよ」
「おう、任せとけ」
龍地は指を鳴らしながら答える。マンガとかでよく見るけど、痛くないのだろうか。自分は痛い。凄く痛い。霞は阿呆を見る目で龍地を見た。
「なんだよその目は」
突然馬鹿にしたような目を向けられて、訝しむ龍地。霞は目を逸らした。
「では皆さん、準備して下さい」
さあ、作戦開始だ。
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前を見据える。まだ敵影は見えない。
さっきは霞一人でも余裕だった。こと面制圧において、自分は霞の足元にも及ばないだろう。それも、相手を殺さずに、だ。
しかし、幼馴染みがやれたのだから、自分が出来ない道理は無い。それに、一緒に召喚されたのだし。
今回の自分達の役割は足止め。作戦遂行の為に、相手の兵士達をここに留めておく。この言い方だと悪役みたいだな、以後気を付けよう。
霞みたいに傷つけず、というのは無理だ。無条件で相手を気絶させるようなのは持ってないし、実体が無いような魔法も無い。あるにはあるが、味方も巻き込んでしまう。まぁ既にどうするかは決めてあるから、この思考は無駄なんだが。にしても遅いな、早く来ねぇかな。確かに余裕を持って準備したけどよぉ。
~3時間後~
ふわぁ……ん、やっと来たか。マジで遅かったな、そんなに遠いのか?でも説明された限りじゃあそこまでのはずなんだが。ま、いっか。
それじゃあやりますかね。
「〔起動〕」
ローブに仕込んだ合計5つの魔術が起動する。
「〔火焔球〕」
サッカーボール程の焔の球が5つ形成される。
「〔集積しろ〕」
5つの焔球が集まり、火力を増し、更に大きくなる。
「〔灼熱する庭園〕!」
巨大化した焔球が正面の地面へと向かう。兵士達は外れたと思いホッとしている。が、元々当てるつもりなどない。
ジュウウウウウウゥゥゥゥ
突如聞こえる何かが焼けるような音。焼けているのは当然。
「熱っ」
「何だこの地面?!立ってられない!」
「うわあああ?!」
兵士達の足である。地面にあんなものを落としたのだ。熱くなるのは当然である。もしかしたら当然じゃ無いかもしれないが、ここはファンタジーな世界なのだ、なんでもありうる。
しかし……
「暇だなぁ……」
地面が冷めるまではずっとこれだろうし、かといって追撃しようものなら顔から地面に突っ込むだろうし。あんまりこれやっても火傷がやばそうだからなぁ…。どうしたもんかね??
待つこと数十分。途中から範囲外に離脱し、足を冷ましている者も居た。そして龍地は、新しいアイデアを思いついていた。
「よし、これでいこう」
少なくとも、兵士からすれば勘弁して欲しいことである事は確かだ。
「できるかな?〔火焔球〕」
焔の球が顕れる。今度は1つだ。
「〔水流球〕」
当たり前のように水の球を創る。兵士達からどよめきが起こる。当然だ。多重色魔法など、できると知っていても、実際に見る事など、死ぬまでにあるかないかなのだから。
だが、彼は霞の幼馴染み、ここで終わるなどありえない。
「〔二重色 紫〕」
焔と水が混ざり合う。普通に考えて、焔が消えるか水が蒸発するかだ。にも関わらず、2つの相反する魔法は融合していく。そして、触れ合った箇所から色が変わっていっている。最後には、綺麗な紫色の球となった。
「よかったよかった、できたできた」
龍地は満足気に頷く。兵士達はポカーンとしている。もちろん隊長もだ。しかし龍地は容赦しない。まだ魔法の最中なのだ。そして紫と言えば?
「〔眠れる猛毒〕!」
そう、毒である。
先程同様地面に突進した毒球は、地面に触れた瞬間、パアン!と音を立てて弾ける。霧のようになった毒は兵士達へと流れていく。
兵士は慌てている。龍地はニヤニヤしている。
数分後、兵士達は全員熟睡していた。あまり寝ていなかったのだろう。イビキをかいている輩もいる。
「どうしよ、俺も寝ようかな」
駄目に決まっている。龍地は溜息をひとつ吐くと、魔法で椅子を作って、見張りをすることにした。
「はぁぁ、暇、だなぁー」
一難去ってまた一難。龍地の(退屈との)戦いが始まった。
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第一部隊→龍地:全滅(熟睡)
これがやりたかった。
わざわざ色にしたんだから、これはやらないと。
赤(焔)+青(水)=紫(毒)
ちょっとでも面白くなるように、文章ちょっとずつ替えてるつもりなんですが、どうでしょうか?