開戦
タイトルで分かると思いますが、そういうことです。
今回も短いです。
というか長い物を書けないですね、はい。
そんなわけで、どうぞ。
昼食が終わった後も、食べる前と同じく、色々試していた。
途中、必殺技的なのが欲しいと、色々試行錯誤している時に、その部屋の物全てが無重力になった時は焦った。危うくベッドに押しつぶされるところだった。
そして、次の日も、その次の日も、少しでも自身の戦力を上げることに勤しんだ。
そんなこんなで2週間程たち、新しく作った魔法を試そうとした時だった。
ビシっ
「な、何!?」
何かにヒビがはいったような音が響いた。
ビシビシっ、ビキッ!
「あ、これヤバいやつや」
パリーン
とうとう、割れてしまったようだ。しかし、
「何が割れたの?」
音の出処が分からない。
部屋を探しても、特に壊れてしまっているものも無い。
では、なんの音なのだろうか?
そうして霞が首を捻っていると、
バタバタ、バタン!
「霞様!」
「どうしたのシリスさん?!」
霞の部屋の扉を開け、シリスが慌てた様子で入ってきた。
「今すぐ私について来てください!」
「どこに行くんですか?」
「外です」
「外?お城の外に出るんですか?」
「それもそうですが、最終的には違います」
「?」
そこでシリスは1度息を整え、言った。
「魔族軍の最前線です」
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「それで、どういうことですか?」
あの後すぐ、荷物を纏めた霞はシリスについて魔王城の廊下を駆けていた。
「……魔族の結界が破られました」
「……マジすか」
「マジです」
どうやら、先程の破砕音は、結界が壊れる音だったらしい。
「魔法による破壊なので、今すぐ攻め込まれることはありませんが、迎撃の準備をしなければなりません」
「……」
「なので、霞様には、以前お話した位置へ向かって頂ければ──霞様?」
淡々と説明をするシリスだったが、いつも楽しそうに話す霞が無言なのを不思議に思ったようだった。
「どうされました?」
「……いやー、いざ戦うとなると緊張して、ね」
霞にとって、この後の戦いが初めての実戦であり、しかも、戦う相手は人間なのだ。
「もし、万が一、相手を、その……殺しちゃったりしたら、どうしようかと、ね」
それを聞いたシリスは合点がいったような顔をした後、クスリと小さく笑った。
「なんで笑うのー」
「いえ、だって霞様、ご自分が負ける等、微塵も思っていないようでしたので」
その言葉を聞き、霞も、ああ、と頷いた。
「まぁ、召喚陣に強化してもらって、シリスさん達みたいに強い人に、1ヶ月とはいえ鍛えてもらって。しかも、するのは戦闘とはいえ迎撃、いくら私でも、負けるなんて思わないし、そんなの思うなんて失礼だよ」
そうして、霞は深く息を吐いた。
「あーあ、あんな弱気なのは、私らしくなかったね。万が一なんて起こさない、完璧に無力化して、私のとこだけでも、怪我人ゼロで終わらせてあげるよっ」
力強く笑うと、少し速度を上げる。
シリスはそれを見て口の端を緩める。シリスは霞に速さを合わせると、そのまま走って行った。
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視界のギリギリ見える範囲に、人影が見え始めた。ここ1ヶ月目にしていた異形ではない。ただの人。人間だ。
他のみんなの所にも、同じように来ているのだろうか。みんなは大丈夫だろうか。倒されるような人達でないのは知っているが、それでも心配だ。
ここまで考えて、ふと、自分の心配をしていないことに気付く。
多少なりとも不安になると思っていたのだが、そんなことは無かったようだ。自然と笑みが浮かぶ。もし周りに他の人が居たら、訝しんでいただろう。
なんとなしに前を見ると、もう随分と大軍が近づいてきていた。
彼らは私の獲物。わざわざあちらから狩られに来てくれたのだ。盛大にもてなしを、と言いたい所だが、残念ながら私の所はすぐ終わるだろう。
私の目的は別にある。
彼らが私の射程範囲に入った。私は準備を開始する。
これから私が行うのは、一方的な戦闘。いや、実験だ。
私の力がどこまで通用するかの実験。
考え方がかなり危ない気がするが、事実そうなのだからしょうがない。
私は再び笑みを浮かべる。
「さて、実験のお時間です」
戦闘が、始まった。
吹っ切れたら、ちょっと思考が危なくなった霞さん。異世界に毒されてますね。
霞さんは、理科の実験が大好きです。
決め台詞、もっといいのは無かったのか…。
まぁ、どんな戦いになるのか、楽しみにしてて下さい。私の文では難しいかもしれませんが。
活動報告を上げてみました。お時間があれば、是非。