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どうやら、魔王に召喚されたようです  作者: 蜂蜜
0 どうやら、召喚されたようです
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プロローグ


 目を開けると、暗闇が広がっていた。自分はいつも部屋を真っ暗にして寝るので、あるいは自分の部屋なのだろうか。だがそれは無い。なぜなら、先程まで自分は学校の帰り道だったからだ。では、ここはいったいどこなのか。少なくとも、ここが地球でないことはわかる。

 それを説明するには、今日の早朝まで遡る必要がある。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 「はっ、はっ、はっ、」


 今は、朝の8時といったところ。人々はもうすでに起き出し、朝食を取り終えて一息ついている頃だろうか。そんなころ、一息どころか三息ついているこの人物。


 「まずいっ、遅れるっ!」


 どうやら、なにかに遅れそうになっている様子。


 「くそっ、終業式くらい早起きしようと思ったのにっ、私に早起きはまだ早かったかっ!」


  そう、この日は市内の中学や高校の終業式なのである。

 この日が終われば夏季休業に入り、自由な生活を謳歌することが出来るのである。


 「頑張れ私、この日が終われば私は自由だ、そんな日にお説教を受けるわけにはいかない!」


 そう、そんな日にこの少女──水面 霞(みなも かすみ)は、寝坊したというのである。


 「くっ、現在8時4分、学校までは片道15分程、登校時間は8時15分だから、走ればまだ間に合うっ」


 そんな余裕のなさそうな霞に、余裕のある声がかけられた。


 「おう、霞。今日も遅刻か?」


 「絶賛遅刻中のあんたに言われたくないわねっ!」


 そう声をかけてきたのは、霞の幼馴染みである山城(やましろ) 龍地(りゅうじ)である。


 「失礼な、俺はこれが普通だ」


  霞は全力疾走しているというのに、それに息ひとつ荒げず追随し、かつ軽口を叩く余裕がある龍地。霞がギリギリと歯をかみしめる。


 「じゃ、俺は先に行くわ」


 「あ、こら待て」


 そう言うと、速度を上げてさっさと行ってしまった。追いかけるのは無駄なのでしないが、それでも足は先へ先へ行こうとする。

 そうこうしているうちに、視界の彼方に校門が見えてきた。チラッと時間を確認する。8時13分。ギリギリだ。この速度を維持して、間に合うか間に合わないか。


 「それでも、諦める訳にはいかない!」


  余程説教が嫌らしい。さらにペースをあげる。もう門は目の前だ。どうやら間に合いそう、そう油断してしまったのがダメだった。


 「あっ!」


 いつもは避けられるかるい段差に躓いてしまった。転倒は防いだものの、足が止まってしまった。もう走れない。


 そして、霞は説教をうけることとなった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 その後、式は滞り無く行われ、生徒達は帰宅して行った。

  そして、この二人も、


 「やっっっと終わった」


 「そんなに疲れたか?」


 霞と龍地である。二人は幼馴染みというだけあって、家は隣あっている。よって、帰り道も一緒なのである。


 「そりゃそうでしょ、朝から全力疾走して、先生の説教うけて、校長のつまんない話聞いて、終わったと思ったら先生に釘さされて、ふざけるなって感じだよ」


  「4つ中3つはお前が悪くね?」


 その通りである。校長の話はどうしようもないが、中学の時の友達によれば、その子の高校の校長の話は面白いらしい。不公平である。

 正論を言われた霞は目を逸らした。そして、話を変えるために咳払いをひとつ。


 「んんっ、それで、夏休みはどうするの?」


  「バイトの日数を増やすかな。欲しい本とかグッズとかあるし」


  「だね。8月の終わりにはイベントもあるし、お小遣い貯めないと」


 これだけ聞くと、好きな小説や歌手、アイドルの話にも聞こえるが、全く違う。なぜなら、本とはライトノベルのことであり、グッズとはアニメのグッズのことである。イベントもアニメのものである。

 二人はいつもこうやってアニメやライトノベルのことを話している。あのキャラがどうとか、あのスキルがどうとか、語り合うのである。


 「あ~あ。実際に異世界とか行けないかな~」


  「さすがに無理があるよ~、いったところでどうせ魔王を倒せとこそんなんでしょう?面倒じゃん」


 「それでもさぁ~、魔法とか使いたいしさぁ~」


 「はいはい。まあ、確かにそれは思うけど、現実逃避しないの」


 「はぁ、そうだな、ありえないこと言っても意味無いか。……うん?霞、お前なんか赤くね?」


 「え、嘘。いや、龍地も真っ赤だよ」


 「いや、お前の方が赤いね」


  「いやいやいや、龍地の方が赤いよ」


 そんなくだらない言い争いをしている間に、二人は赤く輝いていき、赤どころか赤黒くなってきた頃、唐突にそれは現れた。


 「!これは、魔法陣!?」


 「え、嘘。マジで?」


 そして、最後に強く魔法陣が強く輝いた。



       そして、冒頭に至る。




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