表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/37

第7曲

すんません!

ほんと遅くなりました!!


学校始まってめちゃくちゃ忙しかったっす!

許してーーー!

いきなりだが、日本で殺人現場に偶然出くわすということを経験したことのある人はかなり少ないと思う。

事故における業務上過失致死などはカウントしない。


では、治安のいい日本では一体どのくらいの確率で殺人事件に巻き込まれるのか。

これは〝1年間で日本人が殺人事件に関わる確率〟ではあるが、その数値は実に0.017%となっている。

ちなみに分数換算してみると、約1/6000となるのだ。


わかっていただけるだろうか?

6000人の中のたった1人だけ、それも1年間という期間で1回だけ遭遇なり関与なりする確率である。


少ないと思うか多いと思うかは人それぞれだと思うが、治安のいい日本ではこの数値は多いと考えるべきなのだろうか?


日本の総人口を1億2500万人とすると、約21000人もの人が殺人事件に遭遇している計算となる。

しかし、こんなものは机上の空論、ただの数式より導かれた数字の羅列であるのだろう。


この数値には野次馬などは含まれていないため、それだけで21000人もの人が1年間に殺人現場に遭遇してしまっている、なんてことは考えづらい。

さらに言えば、最初にも述べた通り事故などによる人死は含まれていないため、それも含めて考えるとまさに机上の空論であるのが浮き彫りになるであろう。


世界で一番殺人事件の件数の多い国、ホンジェラスでは1日20件もの殺人事件が起きているというが、そのような国であれば21000人という数も納得いくものであるのは間違いない。


治安の良し悪しは関係してくるとはいえ、やはりそれなりの凶悪犯罪に巻き込まれるというのはあまり起こらないと思って良さそうだ…。


--------


マップを閉じ、一先ず人のいるところに行こうと方針を定めて歩き出すことにした。


俺が今いる街道は地平線まで続いているのではないかと思うほど長く、街はおろか村までもが見えない。

ゲームの身体能力のおかげでかなり先まで見通せるが、それを持ってしても見つからないのだから相当なものだろう。


「あっ、転移水晶使うか!」


そう思いジャケットの内ポケットを弄る。


アイテムバッグというアイテムを手で持たずとも所持しておけるストレージがこのゲームには存在する。

これにより、プレイヤーたちは快適な冒険を行うことができるシステムだ。

アイテムバッグの見た目は様々で、1人一個しか持てないからこそ個性が出る。

容量は課金によって増やすことができるが、アイテムバッグそのものを増やすことはできない仕様だ。


俺のアイテムバッグはさっきも言った通りジャケットの内ポケット。

なぜそこなのかと言われてもカッコいいと思ったからとしか言いようがない。


ちなみに、アイテムバッグの設定は後からできるため、正直パンツに設定しようが何しようが関係ないのは言わないお約束だ。


「え、え…。あれ?」


内ポケットを弄っているといつものように視界のど真ん中にストレージが表示されない。

アイテムバッグに手を突っ込むことで表示されるはずのストレージがなければアイテムを取り出すことができないのだが…。


そう焦っていると、頭の中にストレージの中身が浮かび上がってきた。

なんだか気持ちの悪い感覚だ。

目の前が見えているのに、頭の中はストレージの内容が見えている。

なんとも言わんとし難い感覚に戸惑いつつも転移水晶を無事取り出すことに成功した。


「なんだこれ。急に仕様が変わったのか?」


戸惑いつつも右手にはいつも通りの転移水晶が握られているため、仕様の変更くらにならこの際…と思った時ハタと気づく。


もしや急な場面の切り替えや魔法の能力の仕様変更などは予告なしのアップデートの影響なのではないか、と。

それならば色々納得…行くのだろう。

不可解なことに対して、「アップデートだから」と言えば丸く収まるのは間違いないことだ。


「まぁ予告なしなんてことがあり得るのかは知らないけどなぁ」


そんなことをボヤきつつ転移結晶を使おうと試み始める。

すると、なぜかはわからないが使い方がゲームとは違うことに気がついた。

よくわからない、説明の仕方が難しいこの感じ。


なんというか、思い出したかのように使い方がわかった。

元々ゲームでも使ったことはあるため、使い方がわからないなんてことはないはずだ。


しかし、なぜだろう。

使用方法が違う、そして新しい使い方がわかってしまう。

とても気持ち悪い感覚だった。


「なんだこれ、どうなってんだよ…」


以前は水晶に行きたい場所を念じると発光し始め、それが体全体を包み、光が収まると違う場所にいるという感じだったのだが…。


この使い方は魔力を流し、行きたい場所を呟くことでその場所に転移する、という形になっているようだ。


くそっ、考えてもラチがあかないな。

思考が堂々巡りになってしまい、いくら考えても答えという糸を手繰り寄せられない。


魔力は距離によって比例して増えていくのか…。

これじゃ新参者の人たちは使いにくくなってるな。


新しいプレイヤーを迎える気はないのか?

もうよくわからなくなってきた。


「とりあえず、“カルの村”」


そう呟きながら水晶に魔力を流す。

カルの村とはラスボスへ向かうときに転移していた始まりの村のことだ。


とりあえずそこまで飛べば何かがわかるだろう。

そう思い選択した場所だったが…なぜか水晶はうんともすんとも言わない。


「やり方がやっぱ違ったのか?」


そう思い前の方法を試しても上手くいかない。

なんでだよ…動けよボケ。


そう罵っても水晶からはピクリとも反応が返ってこない。


「はぁ、もう歩くか…」


めんどくさいことこの上ないが、もう他に手段がない。

そうして水晶を内ポケットにしまいつつ、俺は街道を歩き出す。


街道があるということは人が通る、または人が定期的に整備しているということであろう。

獣道に轍があるような感じではなく、白い大蛇のようにクネクネした道が続いているため、前者のように踏みしめて作られた道ではなさそうだが。


整備されているということはどこか人のいる場所と繋がっているという確証が持てる。

そう思い真っ直ぐ歩き出した。


--------


そうして1時間、いや2時間、はたまた3時間歩いただろうか。

時計はゲームだったら視界の隅に映っているので確認できるが、そんな仕様の中時計を持ち歩くようなキザなやつを俺は知らない。


だから俺は時間もわからず、ただただまっすぐ歩き続けていた。

俺は【気配察知】や【危機察知】といった感知系のスキルを持っているが、それは未だ反応がないので左右の森に果たして生物がいるのかどうかすらわからない。


ちなみに【気配察知】は生物の発する“気配”を感知できるスキルで、【危機察知】は相手が自分を害する気持ち自体を察知することができる。

どちらも便利であり、ソロプレイならば必ず持っておかなければならないスキルだ。


とまぁどちらも生物に対するスキルなのだが、1ミリも反応がない。

先もまだまだ街道が続いているのが見えるだけで、人間の集まっていそうな場所があるかどうかすらわからない。


「おい、もうさすがにクタクタだぞ…」


身体的疲労はこの高スペックな身体には未だ訪れてはいないが、精神的な疲労が強すぎてもう挫けそうだった。


「そういや、親父から貸してもらったラノベってこういう時にお姫様の悲鳴が聞こえてきてたよなぁ」


親父から貸してもらったのはもう何十年も前のラノベだった。

異世界転生?転移?よくわからないが、その時はそういう題材の物がすごく流行ったらしい。


ラノベの内容的には、チート男子高校生が1人だけ森の中に飛ばされてお姫様に会い、助け、魔王を倒し……的なまぁ良くある絵本見たいな内容だったっけ。


たしかそのときもこんな感じの森を歩いていたら急に悲鳴が聞こえるんだったよなぁ。


まぁそんなのどんな確率で居合わせたんだって話なんだけどね。


もちろん俺にはそんな主人公的イベントが待っているはずもなく、辺りが暗くなり始めた頃、ようやく視界の先には石の壁で作られた城壁のようなものが見えてきた。


遠目でもわかるくらいには大きくそびえ立つそれは、全くもって見覚えがない。


「なんて街なんだあれ?やっぱアップデートで追加されたのか…?」


そんなことを思いつつ歩くが、俺の視力がいいから見えているだけで常人だったらまず見えない距離だ。



はぁ、まだまだ先は長そうだ……。




ちょっと短いかもしれないけど、頑張って書きました……。

ほんとすみません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ