第31曲
かなり遅くなってしまい申し訳ありません!!
毎日毎日スケボー三昧でございますww
やっと立ちながらOLLIEができるようになりました!
まだまだ基礎練が続きそうです…。
エルフ様がいるぞ─────。
この一言は不思議なほど空間を浸透していった。
先ほどまで朝とは思えないほどの喧騒に包まれていた建物内は、同じ場所だとは思えないほど静けさに支配されいる。
この国においてエルフという存在は絶対的だ。
うるさいから死ねと言われたらその者の命はそこで終わることだろう。
そしてそのことをよく理解しているここの連中は、自分に火の粉が降りかかることを恐れて首を縮めて俺が口を開くのを待っている。
今の今まで騒ぎの中心にいた巨漢の男たちにおいては、暑くもないのに全身から汗を吹き出して日によく焼けた真っ黒な肌を城に変色させて震えていた。
しかし、顔を青ざめさせているのは冒険者の者たちだけではない。
よく周りを見渡せば冒険者組合で働いていると思われる女性たちも顔を青ざめさせていた。
何もそんなおびえることないのにとは思うが、昨夜の食事処での出来事を思い返すとみんなの反応も納得できないことはない。
ただ、納得はできるが腹は立つのだが…。
お互いがそうやって黙ったまま数分経っただろうか。
受付のほうが騒がしくなってきて注目していると、受付嬢と思しき者たちの合間を縫って一人の女性が姿を現した。
絹のような金色に輝く髪をたなびかせ、切れ長の双眸からはエメラルドのような瞳が顔をのぞかせている。
冒険者組合で勤務している者と同じような白のブラウスに茶褐色のワンピースは、その女性のスレンダーなシルエットを扇情的に浮きだたせていた。
凛とした姿勢でこちらに歩み寄ってくるその女性の顔の側面にはエルフ特有のとがった耳がついており、美しい容姿を納得させるとともに相まってさらに際立たせるためのポイントとして一役買っているようだ。
俺は正直状況に頭がついていかずフリーズしていたのだが、あまり気にした様子なくエルフの女性が近寄ってきてくれたので助かったと安堵してしまう。
とりあえずこの状況は打破できるだろうと思っていると、適度な距離を保ち立ち止まった女性が話しかけてきた。
「シャルマッカ支部へようこそ。本日は何かご入用でございますか?」
お辞儀をしながらとても丁寧な口調で語りかけてくる。
しかし、態度からはうかがえないがその口調は後ろにいる冒険者たちを庇うような、それでいてこちらを若干警戒するような感じがする。
そんなに警戒されるような態度をとった覚えはないが、やはりエルフという存在が急に現れるということ自体が警戒に値してしまうのだろう。
この国のやばさがうかがえる事案の一つであることは間違いない。
そう推察を進めながら、まずは相手の警戒を解くように話を進めることにする。
「突然の来訪をお許しください。私旅の者でして、こちらに冒険者組合があるとお聞きしてこの度拝見させていただこうと思いまして…。皆様を驚かすつもりは毛頭なかったのです、申し訳ございません」
「なるほど……。」
果たしてうまくいったのだろうか。
高圧的な態度は避け、口調も普段より柔らかくすることを心掛けていたのだが…。
相手はなるほどと言ってはいるが本当に納得しているとは思えない。
その証拠にこちらを思惑を図るような顔をしている。
細められた切れ長の目は、こちらの一挙一動を見逃すものかと言わんばかりに注視されていた。
しかしこちらの思惑と言っても相手にわかるはずもない。
俺がここに来た目的はゲーム内との些細な共通点から、なにか帰るための手がかかりを得られるかもしれないというものだ。
この女性が何者かは知らないが、目の前にいるエルフがまさか異世界から来たなんてことがわかるとは思えない。
そんな心の内が届いたわけではないだろうが、この状態を何とかしようと女性が口を開く。
「それではここではなんですので、奥でお話をさせていただいても?」
「ええ、もちろんです。私がここにいては冒険者の方々が仕事に集中できないでしょうから」
苦笑交じりにそう伝えると、相手もこちらの冗談を汲み取ったのか初めて微笑みを見せた。
「お気遣い感謝いたします。それではご案内させていただきます」
そう言って先ほどよりも柔らかい態度で手招きをしてくれる。
奥というのはどうやら受付のさらに奥、従業員しか通れないであろう場所のようだ。
正直こちらとしても人払いはありがたい。
そう思いながら、よく知らない女性の案内に従って歩いていくのであった─────。
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