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第3曲

遅くなりまして申し訳ありません!!


飽き性で書いている最中に飽きてきてしまいます…。


応援してほしぃ…、誰でもいいから…。

『吟遊詩人』という言葉を聞いたことある人は多いと思う。


が、あまり詳しいことまで知らないのではないだろうか。



『吟遊詩人』とはつまるところ放浪の楽師である。



歴史で初めて現れたのはフランスで、この時代の『吟遊詩人』は歴史的大事件や、各地で起きた史実を伝え広めるために生まれたとされている。


そして段々と有名になることで宮廷などに抱えられることになったのだ。


かなりザックリ説明したが、楽器を持って歌を歌い日々の銭を稼ぐ言ってしまえば旅芸人である。


『吟遊詩人』には意外なことに様々な種類があり、ミンストレルは聞いたことがある人も多いかもしれないが他にもジョングルールや、宮廷お抱えになるとトルバドゥールという名前で呼ばれていたらしい。


---------


俺は今、セーブするために泊まっていたホテルを出て見渡す限り一面草の海が広がる大草原地帯に来ていた。


俺が泊まっていたホテルがあるところはマップ上の北東方面にあり、さらにそこを北東へ突き進むとマサラタ○ンのような所謂始まりの街もとい、始まりの村が存在しており、そこを突き抜けていくことでたどり着く草原である。


始まりの村は5箇所設定されており、スタートはこの5箇所からランダムで選ばれるため、俺の始まりの村ではないのだが…。


そんなことはさておき、今の日本では決して見ることのできないであろうこの景色。


見ていると吸い込まれそうになるほどの水彩画で書かれたような薄青色の空の天井に、果てしなく続いているのではないかと錯覚してしまうレベルの真緑の大草原の絨毯、そして部屋を装飾するのは一国の軍隊のようにピチッと並んで生えている森林群。


さすがフルオープンワールドを謳っているゲームなだけはある。


右を見ても左を見ても、上を見ても後ろを振り返ってもザ・大自然としか言い表しようがないこの世界。


俺はこのゲームの醍醐味を「冒険」であると感じていた。

地球では決して見れない固体、気体、液体などの物質の数々、そして生物たち。



それをはるかに圧倒するこの景色。



今の地球は資源が枯渇し過ぎていて省燃・省電・省水を世界規模で推進している。


しかし、世界中の人口は減るどころか増える一方であるため、住む土地を増やすための森林伐採や海に人工島を作ったりなどやりたい放題な始末。


(はぁ〜、一生ここにいてぇわ…。この景色を政治家共に見してやりたいね)


世間に興味のない高校生である俺でさえため息が出てしまうほどの景色と実情であった。


ただ、いつまでもこうしてるわけにはいかない。


俺にはやりたいことがあり、その目標が既に目の前にまで迫っているのだから…。


と、そんなことを思いながら獣道のように薄っすらと草を踏んだ跡のような轍のようなところを歩いていると、前方から6人組のいかにも冒険者のような人たちが歩いてきた。


ちなみに説明しておくと、この世界には『冒険者ギルド』というものが存在し、ほとんどのプレーヤーはこのギルドに所属している。


まぁギルドの説明は追々話すとして、そろそろ相手からも確認できるくらいの距離になったのではないだろうか。


そう思った矢先、向こうもこちらを見て指をさし、何かを話しながら近づいてきた。


(めんどくせーことにならなきゃいいけど…)


「やぁ、君は…プレーヤーだね?1人なのかい?」


「えぇまぁ。少しこの先に用事がありまして…」


「ほぉ、この先のモンスターたちはかなり強いけど…まぁ君の装備を見る限り大丈夫そうだね!」


「は、ははは…。ありがとうございます」


そう相手方のリーダーらしき茶色い長髪を肩下まで流した、灰色の和服を着た男性に話しかけられたので応対してやった。


おそらくこの男性は『侍』という職業だろう。

『侍』は攻撃スピードや溜めが長い分、攻撃力は他の職業と比べても10位以内には入ること間違いない。


ただ防御力が高いわけではないため、体力は多いものの使い手の技術が高いレベルで求められるはずだ。


(まぁ見る限り相手の装備もかなりの一級品だろうな…。あの刀なんか神話級なんじゃねぇか?)


このゲームには冒険者ランクや『クラン』ランクの他にも装備品にも等級がある。



最下級→下級→中級→上級→最上級→一級→二級→三級→四級→五級、そして神話級へと続く。



一級以降はアップデートで追加され、最上級まで上げるのにかなりの時間を要するため、さらに五段階あると知った時の絶望感は半端ではなかったのを覚えている。


例外としてユニーク級という、これまたゲーム上で一つしかない武器も存在するがこれを持っている人はなかなかいない。


なにせ神話級ですら、防具を含めたフル装備を持っている人がいないのだから。


「それにしても真っ白だねぇ、服といい肌といい髪の毛といい…。てか、銀髪?え?もしかしてレアアバターじゃないっ!?」


気づかなくていいことに気づいたのは『侍』の男性の隣にいた、『森林の精王』という職業に就いていると思われる女性だ。


『森林の精王』は『森の民』からの派生した最終形態の職業であり、その女性は当然エルフであった。


薄緑色をしたローブのようなものを身体に纏い、先端が星形で、深緑色の宝石が真ん中に埋め込まれている杖を持っている。


アバターなのでアテにならないが、金髪碧眼で大きなタレ目と涙ボクロが印象的なお姉さんだ。

ローブで隠れてはいるものの、かなりの爆弾を抱えていることは間違いないとだけ言っておく。


「えぇ、まぁ。そうみたいですね…ははっ」


「えぇー、私初めて見たよっ!感動しちゃった!!写真撮ろうよっ!」


ここまで明け透けで積極的な人は初めてだ。

いつもならもう少し遠慮というものを身につけてやってくる人が普通なのだが…。


「おい〈シシャモ〉っ!初対面で失礼だぞ!!レアアバター持ってたらお前みたいなやつごまんといるだろうからやめておけよっ!」


「えぇ〜そんなぁ。みんなと撮ってるなら私だっていいじゃないっ!」


あとから遅れてやってきた、赤いショートカットのツンツン頭をした航平のような男性が俺を庇ってくれて口論になりかけていた。


その際に『森林の精王』であろうユルフワ系かと思いきや実は中身は活発そうな女の人の名前が判明した。


小さくてブサイクなあの小魚とは程遠い容姿を持っているようだが…。


「そういうこと言い始めたらキリがねぇんだってばっ!悪いなぁ兄さん。こいつアバターはフワッとしてそうなんだが中身はバカなんだ。許してやってくれ」


「いえ、こちらは大丈夫ですよ。擁護してくださってありがとうございます」


「ちょ、ちょっと!?誰がバカよ!あんたなんかアバターも現実もアホヅラじゃない!」


「なんっだと、このクソアマァァ!!」


せっかく擁護してくれて好感度が上がっていたツンツン頭の男性であるが、沸点が共に小学生レベルなのか本気の喧嘩に発展しそうな雰囲気が漂い始めた。


ただ一応付け足しておくと、パーティを組んでる際には同じパーティに所属しているメンバーには危害を加えることができなくなっている。


そのためかわからないが、本当に雰囲気だけに留まっているみたいだ。


「ねぇ、2人ともみっともないからやめて!ホントにごめんなさい、自己紹介すらしてないのに…。私の名前は〈ツバキ〉って言うの。よろしくねっ!」


2人の喧嘩を仲裁しに入ったのは〈ツバキ〉という猫人のアバターを使っている女性だった。


このゲームでは種族を純血か混血か選ぶことが可能になっている。


例えば、猫人の純血は本当にただ猫が二足歩行しているような形をしているが、混血、所謂ハーフとなると人の容姿に猫のパーツがくっついている形となる。


しかしこの女性は、珍しいことに純血を選択したようだった。


確かに身体的特徴として女性なのはわかるが、人として情欲が湧くような容姿ではないのは間違いないだろう。


人であった場合はかなりの美人で抜群のプロポーションを持っていることは違いなさそうなのだが…。


女性で純血種を選ぶことは大変珍しく、まず普通にただの動物人間なので可愛さのカケラもなければ、美しさのカケラもない。


俺はケモナーではないが、ケモナーの友達も「これは無理」と言っているほど無駄にリアルに作られている。


それはさておき、自己紹介をされた瞬間「ポンッ」という効果音とともに、相手の上に逆三角形と名前が表示された。


これはこのゲームの特徴の一つでもある、コミュニケーションツールというものである。



「第一人称(私、僕、俺…etc)の名前は○○」



という風に自己紹介すると、相手との名刺交換のようなものとゲーム上で認識され、今後街中などでばったり会ったとしてもすぐ名前がわかるようになるシステムだ。



これで顔も名前もバッチリ!君ももう友達さっ!



そのような製作者の意図がどうもあるらしい。


「これはどうもご丁寧に。私の名前は〈シギ〉。しがない冒険者です」


これで向こうにも俺のアイコンが表示されていることだろう。


しかしこのシステムのおかげで、名前は種族や職業並みに悩んでしまった。


偽名を使う【スキル】などももちろん存在するが、そんなものを俺は習得できる職業ではない。


俺の職業は周りに名前が広まってナンボなのが現実世界の本物の職業なので、それが反映されたのかはわからないが割と目立つ【スキル】が多い。



え?【スキル】ってなに?



それはまた今度説明してやるから待っとけ。


まぁ小ネタだが、〈シギ〉というのは名字と名前の頭文字をとって組み合わせただけの安直ネームである。


「へ〜、〈シギ〉さんねぇ。それにしても強そうな装備ね?結構レベル高いの?あっち行こうとしてるし…」


そう俺が進んでいた先を指差しながら言い始めた〈ツバキ〉。


俺の格好はちゃんと吟遊詩人のような形をしている。


白のツバが異様にデカいチロリアンハットに虹色のこれまた大きい鳥の羽根がついており、ジャボというヒラヒラした襟の白の下地で緑の紡糸で刺繍されたブラウス。

さらにこれまた緑の糸で紡がれた、エメラルドのような宝石がボタンになっているアルスターカラーの白いジャケットと、白のスキニーに緑色の紐が特徴的で所々にも緑の刺繍がされている白いレザーブーツ。

そしてダメ押しとばかりの裏地が真緑で表面が真っ白なマント。


しかしこれはジャケット同様前で止められるようになっており、今はこれで前が閉まっているためあまり中は見えていない。


しかし、草原のフィールドは風が街中よりも強めに設定されているため、時折吹く風によって中が見えてしまったのだろう。


俺はこれが吟遊詩人ぽいと思い製作したのだ。


誰がなんと言おうと俺は吟遊詩人を目指して作ったのである、異論は認めん。


「そんなことないですよ。色を統一しただけです」


「ふむ、まぁ言いたくないのならば仕方ないだろう。けど、この先のモンスターは本当に強いんだ。心したほうがいいよ」


横から口を挟み、最後の忠告を言ってくれたのは最初に話しかけてきたおそらく『侍』のリーダーであろう男性だった。


「これも何かの縁だ、俺の名前は〈ノブナガ〉って言うんだ。『江戸の明星』ってクランのリーダーをやってる。テレンス王国の王都に常駐してるから、寄ったら声をかけてくれ。飯でも奢るよ、もちろんゲームのね」


そう〈ノブナガ〉はコミュニケーションツールを使い、俺にアイコン表示させてくれた。


俺も自分の名前をいい返事を返すことで、向こうにもアイコンを表示させて会合は終了した。


どうやら〈ノブナガ〉はリーダーであっていたようだ。


残り2人はまったくもって会話をしなかったが、結局あのパーティのレベルは総じて高そうであり、かなりの実力者なのがうかがえた。


しかし…〈ノブナガ〉という名前なのに『江戸』って……。



(時代がズレすぎだろ…。)



そう思いながら俺は目的の場所まで進んで行き、俺は無事、リスポーン地点(死んだら蘇る場所)に設定しているホテルに帰ってきてしまった。



異世界転移のワードは間違っておりません。


予定よりだいぶ遅いんですがあと1、2話で転移させる予定です!


ご期待ください、俺の文才に笑

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