第18曲
大変遅くなりました!!
前回の話も編集で書き足してあるので、まだお読みで無い方は是非そちらからご覧ください!!
いやぁ、私の社会への不適合さが出てしまった……かもしれない笑
プライド。
それは、時に自分の命よりも大切なものだ。
目には見えないにも関わらず、我々はそれを重んじる。
みなさんも一度は聞いたことがあるであろうセリフ、“目上の人には敬語を使いなさい”。
このセリフは謂わばプライドによる先人達により作られたと言っても過言ではないだろう。
敬語と言うのは敬う言語と書くが、意味もそのままで敬う言葉を使うということに他ならないのは誰しもがわかることだ。
ということは、だ。
誰が誰を敬うのかは千差万別であり、目上だからと言って全ての人を敬わなければならないか、と言われたらそれはまた別の話である。
誰を敬うかなんて強制されることではない。
スポーツ選手を尊敬するスポーツ少年・少女がいる傍ら、喧嘩の強い先輩に憧れてヤンキー道へ、なんて人もいるかもしれない。
はたまた、東大という名に憧れ、在学生に憧れる勉強熱心な人もいることだろう。
少し穿った思考にはなるが、私個人の意見としては勉強熱心な人は恐らく、喧嘩に明け暮れるヤンキーという人種があまり好きではないだろう。
逆に、喧嘩に明け暮れるヤンキーは勉強ばかりをしているガリ勉なんぞに憧れるわけがない。
そう、誰が誰を敬うなんかは人それぞれなのだ。
“目上の人には敬語を”とはよく言ったものだ。
目上というのはそもそも自分たちよりも先に生まれてきた“だけ”の話であって、自分よりも優れているかと言われたらそれはまた違った話になってくる。
たしかに、30歳のいい大人が7歳の子供と百マス計算をすれば勝てるので優秀だ、とは言えるかもしれない。
しかし、この話は誰が見ても理不尽なのがわかるだろうと思う。
そう、私の言う優れているとは、あなたと同じ年になったときに優れているかどうか、という話である。
目上を強要してくる人と、その人と同じ年になったときの自分、どちらが優れているかはもちろんわからない。
しかし、目上を強要してくる人はその年齢が限界値であるのに対し、目上を強要されている自分のその年の上限は未知数であり、自分の努力次第では遥かに優れていたり、劣っていたりする。
以上の説明でわかっていただけたであろうか。
“目上の人には敬語を使いなさい”という言葉には、年下に舐めた口を聞かれたくないというプライドが隠されていることを。
社会常識、マナーなどなど言いたいことがあるのはわかるが、筆者である私自身もそのマナーに従って生きている1人なので心配しないでいただきたい。
上記は私の偏見に過ぎない。
しかし、だ。
ずっと昔から言われてきたこの言葉が今も残っているというこの事実が、プライドというものの重さを物語っている。
はじめにプライドというものは時には命よりも重いと綴ったが、これだけ時代を、世代を超えて届けられている目には見えないモノは、個人や団体を形成している一種のDNAのようなものであるのだろう。
次々の受け継がれて行くソレは、私たち人類が団体行動を取る上で、必要なのかもしれない。
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「おいウェイトレス。早く席に案内しろ、俺を待たせるとは何事だ?」
そう言ったのは、軋む扉から現れたエルフだ。
このよくわからない場所に来てから初めて見たが、態度がデカすぎやしないか?
大してレベルが高く見えるわけでもないのに、なぜそこまで自分が偉いと思えるのだろう。
まるで汚物を見るような目をしたエルフの下に、俺たちに対応してくれた女性のスタッフが足早に向かった。
「も、申し訳ありません!!ただいまエルフ様用のお席が…その、埋まっておりまして…」
俺たちのことだな…。
まさか飛び火するんじゃないだろうな、これ。
「なんだと?我々と同種であるか?」
「は、はい。他のエルフ様がいらっしゃっております」
「ほう……」
納得したのかどうなのか、顎をさすりながら何やら考え事をしているようだ。
あれだけの態度で既に腹が立つが、容姿が整っているのもまた腹が立つ。
(ゲームじゃなけりゃ、あれだけ態度がデカくなるのもわかるんだけどなぁ…)
現実であの容姿だったならばそりゃチヤホヤされて、少し態度がデカくなってしまうのもしょうがないことだろう。
「同族ならば仕方がない。挨拶するから案内しろ」
イライラしながら考え事をしているとなにか面倒な方向に話が進んでいるようだ。
挨拶なんて要らないからぜひともお帰りいただきたい。
しかし、世の中というのはやはり非道で、自分の思っている通りに事が進むことは稀である。
ウェイトレスは言われた通りこちらに向かってきており、後ろには偉そうなエルフがピッタリ付いてきている。
エルフの顔は、前を歩いているウェイトレスで隠れており、どのような表情をしているかは伺うことができない。
「こ、こちらでございます」
気まずい顔をこちらに向けつつ横にずれるウェイトレス。
ようやく正面からご対面となったわけだが、相手は口をポカンと開けながら黙り込んでいる。
挨拶をしたいと言ったのは誰なんだと言いたくなるが、こうなったらどうしようもない。
相手が黙りこくっているため、こちらから挨拶することにしよう。
俺は席を立ち上がり、口上を述べる。
「どうも、お初目にかかります。シギと申します。旅の者ゆえ、多少の無礼お許しいただきたく思います」
礼儀にうるさそうだったため先に無礼を謝っておき、旅をしているからわからないのも仕方がない、と思わせる作戦だ。
俺が先に挨拶をすると、相手のエルフは意識を取り戻したかのように焦り始めた。
「え、いえ、あの…。も、申し遅れました。私、環境管理局の3等局員であります、ウェールズ・エルファ・マグリットと申します。お初目かかれて光栄の極みでございます」
「こちらこそ、あなたに出会えたことを感謝しております」
マグリットと言った男は、先ほどの人族に対する失礼な態度とは180度違った対応だった。
とても洗練された動きで、こちらへの敬意が伝わってくる。
しかし、環境管理局とは聞いたことのない職業、ジョブだ。
設定であるだろうとは思うが、そんな設定自体あった覚えがない。
「それで…あの…」
なにか言いたそうにボソボソ呟いている。
「どうかなさいましたか?」
こちらがそう尋ね、相手に答えやすくしてあげる。
「失礼ではあると承知しておりますが、他の国の王族…の方ではあられませんか?」
(俺が王族?なんの冗談だ?)
なぜそう思ったのか見当もつかない。
まさかこれはそういうイベントなのだろうか。
「いえ、違いますが…。なぜそのようか考えを抱かれたのですか?」
「い、いえ、その…。我々よりも上位の種族であられるようでしたので…」
(あぁ、なるほど。ホワイトハイエルフだからか)
合点がいった。
確かにこの種族になるにはかなりの苦労をすることになるため、あまり自分以外も見かけることはなかった。
この種族、実はなるのにとても苦労するのだ。
様々な高難度の条件をクリアすることで初めてなることができる。
まぁただ、それなりの数のプレーヤーがいたため自分以外全くいないなんてことはない。
思案にふけっていたため、相手へ返答していないことに気がつく。
「あ、あぁ、なるほど。確かに多少の差異はあるかと思いますが、同じエルフゆえ、お気になさらず」
(まぁ明らかにお前とは格が違う種族なんだけどな)
マグリットはおそらくハイエルフですらない、ただのエルフだろう。
魔法に長けてるとは言え、それも最低限度のためなにも脅威にはならない。
「そ、そうですか…。で、では、私はこれで失礼いたします。お食事の邪魔をするわけにはいかないと思うので」
そう言ってマグリットは丁寧にお辞儀をしたあと踵を返していく。
やっと嵐が過ぎ去ったーーー。
そう思ったのも束の間、新しい嵐が来ようと、誰が予想できたであろうか…。
見てくださってありがとうございます!!
少し尖った意見でしたが、昔から抱いていた思考だったので吐き出せて良かったです!
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