世界の情勢
『黒き艦隊』という呼称を『黒霧潜艦』へ変更しました
――暗黒海域。それは突如太平洋に現れた正体不明の黒い霧に覆われた海域のことだ。哨戒機や哨戒挺はことごとく音信不通、近海を通れば引き寄せられ、霧に呑み込まれると数日後に残骸となって発見されるという。世界各国はこの異常事態に対し、慎重に成り行きを見守ることにした。不用意に近づいては余計な被害が出るからだ。暗黒海域はしばらく太平洋に漂うように存在した。
動きがあったのはそれから数週間後だった。暗黒海域の霧の中から所属不明の軍艦が多数出現したというのだ。あまりにも突然の出来事に、各国は対処が遅れた。その結果、瞬く間に太平洋は制圧された。迎撃に出た艦艇は完膚なきまでに叩き潰され、航空機は花火のように次々と撃墜された。現代兵器は彼らの前では玩具に過ぎなかった。彼らは『黒い霧に潜む艦隊』、『黒霧潜艦』と呼ばれ、世界各国は彼らの隙をついて細々と物資を送りあうしかなくなった。
人類はそのままゆっくり絶滅を迎えるのかと誰もが絶望に瀕したそのとき、一筋の希望が産み出された。日本において、彼らに唯一対抗することができる存在が発見されたのだ。
それらは『軍艦の核』と呼ばれた。古の大戦にて命をとして戦った『艦艇』の能力を核に封じ込めたもので、それを適合者の心臓に埋め込むと、黒き艦隊に対抗できる艦艇を具現化できる『艦人』という存在になることができるというのだ。日本は世界にこの技術を発信し、世界は適合者を探して動き始めた。
それから数年後、日本で新たに二人の適合者が見つかった。二人は核埋め込みのため、指定された鎮守府へ向かうことになったのだった。