インターバル
「まーちゃん、朝だよ」
誰かが私の肩を揺さぶる。
「ん……もうちょっと……」
はっきりしない頭。身体も上手く動かない。
「遅刻するよ? 今日早いって言ってなかった?」
遅刻……? 早いって……仕事はシフトだから時間は決まっているのに。
今何時だろうか。
私は枕元の目覚まし時計に手を伸ばした。
……あれ……こんなお洒落な時計使ってたっけ……。
寝ぼけ眼で文字盤を見ると、七時前だった。いつもより一時間以上早い。
「八時の電車に乗るんでしょ! 起きて準備しないと間に合わないよ!」
え? 電車? 私、電車になんて乗る予定無い……。
職場へは自転車だもの。何言ってるの……?
「また寝ぼけてるの? 昨日飲み過ぎたんじゃない?」
そういえば、何だかお酒臭い。
そっか、昨日は飲み会だったっけ。
「はい、お水。それ飲んだら急いでシャワー入っちゃいな。全く、あんまり強くないんだから、程々にしろって言ってるのに」
はい、すみません。
言葉にならない声で夫に謝ると、私は手渡されたコップの水を一気に飲み干した。
ようやく頭がはっきりしてきた。
もう一度目覚まし時計を見ると、既に七時を回っている。
「うわあ!」
慌てて立ち上がったら、足元にいた猫の尻尾を踏んづけた。