インターバル・?
今日は会社が休みなので、夫と買い物に来た。
最近忙しくて服など見に来る暇がなかったから、久しぶりに楽しい時間を過ごせた。
最後にカフェに入って、私はカフェオレ、夫はイチゴパフェを注文する。しばらくして店員さんが来ると、私達には何も聞かず私の前にパフェを、夫の前にコーヒーを置いて「ごゆっくり」と去ってしまった。
「ま、いつものことよね」
甘いものは女性、というマニュアルでもあるのか、結構な確率で注文と逆にテーブルに置かれる。
私達は気にせずお互いのものを交換し、美味しくいただいた。
帰宅すると、家の中が散らかっていた。出かける前に夫が掃除したばかりなのに……。猫の仕業だ。
その猫はというと、素知らぬ顔でソファーに横たわり私達を眺めている。
「もう! また私の人形で遊んでる」
私はアメリカの子供向け着せかえ人形が好きで、特に古い型のものを集めている。人形にはちょっと派手目の服を着せていて、ぱっと見ギャルっぽい。猫はこれが気に入ってしまったみたいで、度々高い棚の上に上がり咥えて連れだし、ひとしきり遊ぶと飽きてその辺に放置する。
初めはコレクションに傷を付けられないように、ケースに入れたりもしたが、ケースを壊してまで持って行くため、諦めて傷ついても良いものだけを選んでリビングに置くことにした。
そうは言っても大事なコレクションには変わりないので、極力取りにくい場所に置いてある。猫の前には無駄な抵抗だけど。
人形から気を反らすためにマタタビ入りのぬいぐるみを与えたりもしたが、マタタビは酔っぱらいすぎて更に暴れるし、ぬいぐるみは二日と保たず見向きもされなくなった。
「そんなに女の子が好きなの? 困った子ねえ……」
部屋を片付けながら、私はため息を吐いた。
「この子も『男』だってことだよ」
夫は床に散らばったゴミを拾いながら笑って言う。走り回ってゴミ箱を倒したようだ。
「そうだけど……」
可愛らしい外見と男の本能とのギャップがありすぎて、私は急に複雑な気分になる。猫に男性を感じることがあるなんて、思いもしなかった。




