第二話〜1万5千円〜
私がこのゲーム、「現実と虚構の交差点」に出会い、このゲームを私が始めたのは、本当にただの偶然でしかない。
私は仕事を辞めてからというものの、ただただ毎日を無気力に過ごし、毎日を自堕落に過ごし、貯蓄していたお金で毎日を無駄に過ごしていた。
そんな自堕落な日常のそんなある日、適当にネットサーフィンをしていたところで見つけたこのゲームは、今流行のVR(仮想現実)の技術を使ったゲームであるらしい。
どうやらリアルさと自由さが売りのようで、どんな職にも、どんなことでも、なんでもできる・・・らしい。
らしいというのはこのゲーム、公式サイトにはなんの情報も載っていなかったのだ。この情報も、公式サイトにただ唯一載っている文言に書いてあるだけなのだ。
もちろん、検索サイトを駆使してこのゲームについて調べてみたが、なんの成果もあげられなかった。本当にただただ、謎なゲームでしかなかった。
どんな玄人向けのゲームなんだよと思ったが、私にとってそんなことはどうでもよかったし、気晴らしになればいいか、としか思っていなかった。
そして、昔はいろいろなゲームをしたものだと、昔を懐かしみながら、このよくわからないソフトを購入した。
そうこうして間に、もう夜が更けきっていたので、カップラーメンを食べようと旧世代のVRマシンから這い出てのである。
「(このVRマシンももう古いな)」
私が使っているこの3世代も前のVRマシンは、よくもまあ今まで使えたものだと誉めてもいいくらいにはボロい、そして古い。
「良い機会だし、買い替えるか・・・」
と、物持ちの良すぎる私にしては珍しく、機体を買い替えることを決意したのは、きっと、さっきのゲーム(1万5千円)を買ってしまったからだろう・・・。
きっとこのとき私は、ただただ現実から逃げたかっただけなのだと、今ではそう思う。
そして、この1万5千円のソフトが、私の運命を変えるとは、この時かけらも思ってなかったのは、言うまでもなかろう。
ちなみに最新の機体は25万だった。
その日から私の食事は一品減ったのは、しょうがないことだろう、うん。