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I can.t stop

クリスマスプレゼントを受け取ってもらった事がきっかけで

綾瀬に対する援助が過剰になって行く。いけないと思いながらも

自分を止められない栄巣を待っているのは?


     その後も二人でショッピングに出かける事はあったが贈り物が過剰に

    ならないように気を使った。栄巣にしてみれば綾瀬にケチっているので

    は、とは思われたくはなかったが、過剰な贈り物は彼女の為に良くない

    と考えた。  


     年末はレストランは暇なのでパン屋だけの営業に成る。晦日、大晦日

    は毎年、食パンを3斤(1本)315円での大売出しだ。

    早くから予約を受け二日で200本以上をさばく。

     綾瀬を含むレストランスタッフは休ませ、レギュラーアルバイトの

    大島 妙子と奈緒美の3人で回す。


     年が明けた。今年の正月はさむいかった。2日には雪が降りアローム

    のウインドウは結露で真っ白にになった。アロームは3日から営業を始

    めた。年が明けても二人の呑み会は続いた。

    「マスター・・お願いがあるんです・・今月の給料前借したいんです」

    「どうしたん・・正月早々」

    「給料、正月に使い果たしたんです学校始まる前にストパーあてたい

    なーて思って」

    「ストパー・・・?」

    「ストレートパーマです、うち、癖っ髪やから」

    綾瀬の髪は軽くカールしている。またそれがかわいいのだが、真直ぐ

    もいいかもしれない。

    「なんぼ位すんのん?」

    「1万くらいかなあ」

    これって遠まわしに、ねだられてるのかも・・あまり良くはないが

    ここでケチる訳にはいかない。きっと綾瀬は試しているのだろう。

    ここだけは出しておいて、後は占めていこう。

    「それ僕、出すわ!」

    「えーいいですよ」

    {いやいや、出してもらうつもりちゃうのん}

    そうおもいながらも、そういう綾瀬の事を栄巣はたまらねく愛しいと

    思った。綾瀬は援助してもらうことで栄巣の気持を確認したがってい

    るのではないだろうか。綾瀬の求めているものは物ではなく愛なのだ

    マテリアルガールなどでは断じてないと栄巣は思いたかった。

    「僕もストパーの綾瀬見たいから」

    「ほんまですか!・・うれしい!ありがとうございます」

    {ああ・・こうしてみんな(ミツグ君)になっていくのか}

    それでも栄巣は幸福だった。こうしている限り二人の関係は続くのだ

    これはもはや援交に近いのかもしれない。

     2日後ストパーをあてた綾瀬が出勤した

    「真直ぐー!」

    自分の髪ど撫でる綾瀬はご満悦だ。確かにストパーも可愛い

     その夜の呑み会、綾瀬は得に上機嫌だった。

    「マスターほんとにありがとうございます!・・もーうちマスターと

    なら何処でも付いて行きます。何処行きたいですか言って下さい」

    {こ・これって}

    勿論、栄巣も男である綾瀬を抱きたいと思った事が無い訳ではない。

     しかし彼女はまだ16歳だじ自分が守らなくてどうする

    {ラブホ!}

    と心の中では言いながら。

    「じゃー・・カラオケ!!」

    と言っていた。勿論、綾瀬がこれを断る理由はない。

    「はい・・じゃーカラオケいきます」

      数日後二人は近所のカラオケ店で待ち合わせした。

    綾瀬は年末に買ってあげたグレーのミニスカート」に2サイズ程も

    大きめの淡いピンクのセーターを着ていた。肌蹴た肩からは、ブルー

    の下着が見え隠れする。

     栄巣は目のやり場に困った綾瀬は誘惑しているのだろうかという

    考えが浮かんだが露出の多いファッションだからといってt誘惑して

    いるとは限らないと打ち消した。

     2時間のカラオケはおおいに盛り上がり二人はカラオケ店の前で

    別れた。


     こんな事が何時までも続くはずがない。綾瀬と栄巣は永遠に結ば

    れる事は無い。いや、結ばれてはいけないのだ。綾瀬の幸せの為にも

     二人で居る時は冷静になれない栄巣も一人になると何が最善なのか

    考える事が出来た。

     綾瀬と居る時が一番、幸福だそれは間違いない。しかし、栄巣は

    奈緒美に恋愛して結婚し子宝にも恵まれた。家庭は平和で、子供達は

    愛しい。結果的に奈緒美とは上手く行っていないが、少なくとも、

    自分が愛を誓った相手である。その自分の誓いを裏切って、綾瀬と仮

    に結ばれてもきっと彼女をまた不幸にするだろう。

     第一、大切な綾瀬をそんな軽薄な男に任せる訳にはいかない。時間

    の経過と共に二人は微妙な関係になってきている。比較的、近い将来

    はっきりした答えを出さなければならないだろう。それは栄巣にとっ

    て楽しい事ではなかった。

     出切る事なら答えなど出さず、ずっとこの関係を続けたかった。

    そんな願いの空しく最後の時は近づいてきた。


     寒かった正月よりもさらに寒くなった。昨日は雪が積もった。

   バレンタインデーがやってきた。二人だけの呑み会に綾瀬は手作りの

   チョコレートプリンを持ってきた。苦戦の跡が見て取れるひどい仕上が

   りだった。栄巣は最高にハッピーだったが、同時に彼の中に覚悟の様な

   ものも出来つつあった。バレンタインに手作りチョコ、二人はもう完全

   に付き合っていると言っても過言では無いだろうしかし、それは同時に

   二人の道のりが終焉にたどり着いた事を意味していた。

    二人でビールやチュウハイ、またこの頃、もっぱらはまっていた、

   赤ワインをオレンジジュースで割る即席サングリアもどき・を飲みなが

   らプリンを食べた。

    飲み物で体が冷えたのだろうか綾瀬は寒そうに両手を摩っていた。

   「うち、めっちゃ冷え性なんですよ。手とかめっちゃ冷たくなるんです」

   「僕、手、めっちゃ暖かいで」

   「ほんまに!?」

   栄巣は綾瀬の差し出した手を両手で包み込んだ、小さくて、美しく、

   柔らかく、そして、冷たい手だった

   「ほんまや、めっちゃ暖かい」

   「めっちゃいい!!」

   栄巣は夢心地だった。たった今頭上から核弾頭が落ちてきて、この気持

   のまま即死したい気分だった。

   童貞でもない彼が何故ここまで気持を高揚させる事が出来たのか彼自身

   不思議だった。もうこれ以上何も望むものはなかった。

   「誕生日もプレゼントしますね、マスター誕生日何時ですか?」

   「4月26日」

   「わーめっちゃ覚えやすい、お母さんと一緒や」

   「楽しみやなー」

(A)(B)はジャック第4部の後でお読み下さい


  (A)「 

    その直後だった、綾瀬から最悪の言葉がでたのは。

   「マスター・・こんなに、いろいろしてくれるのなんでですか・・いったい

    何がねらいなんですか」

    綾瀬の笑顔は栄巣の答えに何を期待しているのか明らかだった。

   予想はしていた。何時かはこんな日が来るだろうと、だからこそ用意していた

   言葉があった。むごい言葉だが二人の関係を表すにはこれしかないのだ。

   これ以上は前には進めない、留まることすら許されない。{終わった・・}

   心の中で叫びながら綾瀬から視線を外して小さな声で言った。

   「ゲーム・・かな」

   一瞬にして綾瀬から笑顔が消えた。

   切腹でもしている気分だった。心に激痛がはしる。

   「そう・・・そうですか、・もう・こうやって飲むのも止めた方がいいかもし

    れませんね、何時奥さんにバレるかも知れませんし」

   「そう・・そやな」{綾瀬・ごめん}

   栄巣は驚くほどクールになれていた。最も大切なものを今、失った実感はあっ

   た。しかし、逆に全てを手に入れた様な感覚もあった。

   二人の物語は今この瞬間、完結した。綾瀬を思う気持は、今この瞬間から、な

   んら色褪せる事無く永遠に続く。これが本来のあるべき姿、そう思えたのだ。


                                      」

    綾瀬と楽しい時間を過ごしたのはこれが最後だった。日に日に綾瀬は

   よそよそしくなり、呑み会もなくなった。

    

    4月になり綾瀬は2年生になった。授業も始まってしばらくした頃

   その報告をうけた。

   「マスターうち、彼氏できたんです!!」

   満面の笑顔で報告する綾瀬に

   「そ・そーか・よかったなー・せやからいうたやろ狙ってる奴いるって」    

   受けた衝撃を完全に内面に封じ込め心から祝福しているように言えた。

   この歳になるとそれ位の芸当は出来る

   「また店に連れておいで。サービスするわ!」

   「はーい!!」

    綾瀬の彼氏は同じ学校のバスケ部だった。綾瀬は幸福そうだった。

   {これでいい。これでいいんや!}

   栄巣は何度も心に言い聞かせた。

    綾瀬と個人的な時間を過ごす事がなくなった栄巣にとって過ぎ行く

   時間は何の意味もないように速かった.年が明けると綾瀬は彼氏のいる

   バスケ部のマネージャーになるのでバイトを辞めたいと申し出た。

   「わかった・がんばってな!」 

   と言って快く彼女を送り出した

(B)「

    綾瀬の出勤が最後となった日、最後に二人だけの呑み会をした。

    栄巣は綾瀬に思いを告げておこうと決めていた。

    綾瀬とはいずれ何処かで必ず再会するだろうと確信していた。だから

    こそ気持を伝えないまま別れたくはなかった。

   「好きだった、今もこうして二人で飲んでる好きな人としか、こんな事

    でけへん」

   「マスター・・・何歳ですか・・・今はうちも彼氏いるし、マスターも

    奥さんいます。あほなこと言わんといてください」

   「ごめん・・・」

   栄巣の心は晴れやかだった。別に綾瀬に告白してどうこうなりたいなど

   とは思っていない。二人の物語にはっきりとしたエンドマークが欲しか

   った。いずれ必ず訪れる再会に日の為に     

                                     」


   {綾瀬がずっと笑顔でいられますように}と栄巣は心から祈った。ただ

   綾瀬と初めて出合った時の縁のようを、彼は今でも感じていた。

    綾瀬とはいずれ何処かで必ず再会する。彼には根拠無き確信があった。

   

    








綾瀬逸美の依頼により本稿に2点の事項を追加しました。

そう・・綾瀬の名誉のためにお伝えしたい

「頭おかしいんちゃうか、ロリコンエロじじい」は綾瀬は言っていません。(ジャック)をおもしろくする為の彼女の創作です。

それではこれでAgainは完結とさせて頂きます。ご愛読、ありがとうございました。 児島 文夫

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