プロローグ 転生
世の中には「転生」という言葉がある。
主にラノベなどで使われる、死んだ人が別の世界に生まれ変わること。
結局、そんなのはないと思ってた。人は死んだあとは何もない。無に変換されるだけ。そう思ってた。
自分が経験するまでは――
俺の名前は日比谷俊。16歳の高校生。いわゆる高校デビューをしたものだ。
中学生の時、俺は人とあまり喋れなく必然的に一人になってた。一人ぼっちの文化祭…一人でする二人三脚…こんな中学校生活を送った俺は高校では友達を作ると決意。
前髪をバッサリ切って、おしゃれにも気を使った。その結果…高校デビューは成功。親友もできて今は学校生活を十分に堪能できてる。
そんな、幸せな生活がずっと続くと思っていた。
だが、事件は起こった。
ある雨の日。いつも通り登校してた。
「こないだ田中さんがね〜」
「あら〜そうなのー?」
そんな他愛もない会話が聞こえてくる。いつも通りの生活。いつも通りの毎日
―のはずだった。
「うんしょ。うんしょ。」
子供が荷物を持って横断歩道を歩いている。信号は赤。周りに親もいない。隣には大型車が突っ込んできていた。
ブレーキの誤作動。右へ左へとうねうね動く。
だが、確実に前へ進んでいる。
(危ない!)
体が動いた。どうやら意外と俺には勇気があったらしい。子供を力いっぱい押し飛ばす。大型車は飛び込んでくる。
(あ、死んだ。)
大型車が体にぶつかる。大型車の衝突音。自分の体からボキッと骨が折れる音がする。ふっとばされ道路の真ん中に出る。
「きゃあああ!!!」
「人が引かれたぞ!」
「誰か…救急車!」
体が軋む。体を動かそうとするたび、グチャグチャと肉が締められる音がする。
(体中が痛い…死ぬのか…)
走馬灯が流れてくる。小学校の笑って遊んでいた時、中学生の一人ぼっちの時、高校生の幸せな時。
(まだ…死にたく…ない。生きて…いたい。)
そんな思いとは裏腹に体は冷たくなっていく。徐々に瞼が閉じていく。
(ああ…死ん…だら…ひとり…ぼっ…)
視界が真っ暗になる。こうして日比谷俊の短い人生は終わりを告げた。
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