ロスト・プロトコル

未来を「最適化」された仮想都市──そこは子どもたちの感情も記憶も政府によって管理される監獄だった。
ユリをはじめとする“選別”をくぐり抜けた少年少女たちは、自らの名前と自由を取り戻すため、息づかいさえ監視網に捕らわれる学園からの脱出を決意する。

旧式端末を駆使する天才トウマ、機械を愛し無名域に潜むリキ、演技で真実を隠すコハル――彼らは互いの欠片をかき集め、仮想の壁を「穴」に変えて走り出す。

だが、仮想の夜明けの先に待ち受けるのは、廃墟と化した旧世界「無名域（むめいいき）」。
かつての文明と人々の痕跡が散らばるその地で、彼らは“真実”と“裏切り”に翻弄されながらも、廃棄された記憶の中に芽生えた希望を探し求める。

監視と管理の檻から飛び出した少年少女の逃走劇は、やがて──世界を再起動させる鍵となる。