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番外編2 エビチリ

「全く…自分の実力くらい分かるだろ?」

「す、すいません。ガンテツさんがあまりにも酒場で自慢するから、俺も食べたくなったんです」


 またガンテツさんか‥‥‥あの人が酔った勢いでこのレストランの事を自慢するもんだから、最近はケガをした若い冒険者が俺のレストランにやってくる。


 部位欠損ならまだ良い方で、中には腹に大穴が空いた冒険者が仲間に担がれて、ここに来た時はかなり驚いた。


 まあ、回復魔法で一命は取り留めたんだけどな。


 連日のようにケガをした冒険者がここにやってくるもんだから、最近はレストランというより、診療所みたいになってる。


「はあ…ここまで来たんだ。せっかくだから飯でも食ってけよ。そういや、名前は?」

「ありがとうございます!!自分はロランって言います!」


 元気よく自己紹介をするロランを見て、思わず苦笑いをしてしまった。


「そんだけ大きい声が出せるなら、もう傷は大丈夫そうだな。リーシア!!ちょっと手伝ってくれ!」

 古民家の入り口から顔を出し、砂浜で釣りをしているリーシアに声を掛ける。


「分かった!今行くね!」


 リーシアの中で最近の流行りは釣りのようだ。


 最初は俺が得意げに釣りのノウハウを教えていたのだが、今ではもうリーシアの方が釣りの腕ははるかに上だ。


 今日もクーラーボックスが閉まらない位に、パンパンに魚を釣ってきたみたいだ。


「あら?知らない顔ね。という事は、また無理して最深部に潜った冒険者って事ね」

「そうなんだよ。流石にこのままじゃ死者が出るかもしれないから、なんとかしないといけないんだよな――おっ!!海の『死刑執行人エクスキューショナーズ』じゃねーか!珍しいのを釣ったな!」


 死刑執行人エクスキューショナーズとは地球でいう、イセエビを巨大にしたヤツだ。


 その巨大で鋭利な挟みがギロチンに似ている事からそう名付けられたようだ。


「これは私が釣ったんじゃなくて、ノエル殿が獲ってきたの。多分、《《アレ》》が食べたいんだと思う」

「あー…アレか。確かにノワルとゴマも好きだもんな」


 《《アレ》》とは、『エビチリ』の事だ。この死刑執行人エクスキューショナーズの堅い殻の中に詰まってる身は、生のまま食べてもかなり美味しいのだが、エビチリにすると想像を絶するほどに美味い。


「ロラン。勝手にメニュー決めて悪いんだけど、今日はエビチリにするわ。水でも飲んで待っててくれ」


 よーし。エビの下処理はリーシアに任せて、俺は他の準備でもするか。


 長ネギは白い部分と青い部分を切り分けて、粗目のみじん切りにする。生姜・ニンニクもみじん切りだ。


 油をフライパンに敷き、生姜・ニンニク、豆板醤を炒めて、トマトケチャップと長ネギの白い部分を加えて炒める。


 その後に水と鶏ガラスープ、トマトケチャップ、砂糖をを加えて軽く煮込んでいく。


 長ネギを入れて1分程加熱したら、水溶き片栗粉でとろみをつけたらソースの完成だな。



「シン。身を取り出したけど、臭み取りしとけば良い?」

「おう。じゃあお願いしていいか?」


 エビの臭み取りの仕方は、塩・片栗粉・水でもみ込むとエビの汚れと臭みが取れるから、しておいた方が美味しくエビを食べれるぞ。


 後は中華の基本とも呼ばれている、『油通し』をしていく。


 これを行う理由は、 余分な水分をとり除く、色鮮やかに仕上げる、うまみを逃さない、火の通りを均一にするなどの目的で行うんだ。


 エビを熱した油の中に入れて、カラッとするまで揚げていく。綺麗な色に揚がったら、作っておいたソースと絡めれば『エビチリ』の完成!!


『グルルルルルッッッッ!!!』

 エビチリの匂いに釣られて、玄関から頭だけ出しているノワル。


「リーシア。このままじゃ、ノワルに俺の古民家が壊されちまう。先に持って行ってもらっていいか?」

 苦笑いでそう言う俺に「分かったわ」と言いノワルにエビチリを持っていく。


「あ、あの…なんすかあのでっかいの」

「ん?あれはノワルだ。ただの食いしん坊だから、気にしなくていいぞ」


「黒の冠がただの食いしん坊…?」と、唖然としながら呟くロランを無視して、俺はロラン用のエビチリを作り始める。



 ◇


「待たせたな。『エビチリ』だ。辛いのが好きだったら、ラー油でもかけて食べてくれ」

「すごいいい匂いです。いっただきまーす!」

 ロランはエビチリを一口入れた瞬間、両目を大きく開いた。


「大きな海老を噛み締めた時に、プリップリな食感と旨みが溢れ出すとともに、様々な風味がバランス良く木霊するチリソースが馴染んでいて絶品です!!」

「お、おう。美味しいなら良かったよ」


 いきなり食レポをし始めて驚いたけど、美味しそうに食べるロランを見て、俺は白飯をそっとロランに渡した。


「え?これはなんでしょうか」

「それは米だ。食べた事ないだろうが、エビチリと一緒に食べると美味いぞ?」


 エビチリを白い飯と一緒に食べたロランは、またもや興奮した様子で食レポを始めるのであった――。





「美味しかったです。治療してもらった上に、料理までご馳走して頂いてありがとうございます!」

「まあ、別に良いよ。そんな事より、無謀な事はもうやめろよ?命は一つしかないんだぞ」

 そう言うと、ロランは申し訳なさそうな顔で俺に話しかけてきた。


「あの…申し訳ないんですけど、暫く厄介になっても良いですか?」


 その言葉に疑問を感じながら聞いてみると、ロランは冒険者としては駆け出しも良い所であり、襲い掛かる魔物達から逃げながら最深部まで来たらしい。


 もう一度、あの地獄のような場所を戻るのは厳しいだろうな…。というか、無謀にも程があるだろ。


 大きくため息を吐いた俺は、ロランを暫く雇う事にした。


 俺は冒険者じゃないからノウハウを教えてあげる事は出来ない。だけど、俺が作った料理を食べていれば、そのうち強くなるだろうから頃合いを見て、ロランを迷宮に返せばいいだろう。この時の俺はそう考えていた――。


どうも。ゆりぞうです。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!


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