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番外編1 出汁巻き卵

 無人島に古民家レストランを建設してから一か月。このレストランに来るお客は迷宮の最深部に潜れる一握りの強者のみ。


 激戦を繰り広げてきた冒険者の最後の癒しの場、という事で最深部のセーフスポットに転移の術式を刻んだプレハブを置いてきた。


 そうなると当たり前だが、このレストランに来る顔ぶれは毎回同じになるわけで、今も目の前でビール片手に騒いでる冒険者が居る。



「シン!ビールをもう一杯じゃ!!」


「ガンテツさん、まだ飲むんですか?明日こそは迷宮に行くとか言ってませんでした?」


「ぐっ…一杯。後、一杯だけでいいから。頼む!」


 両手を合わせながら、うるうるした瞳で見上げてくる髭もじゃのオッサン。以前、迷宮都市で屋台を出した時に、一番通ってくれた冒険者だ。


 いつもの事だけど、ガンテツさんは迷宮に潜ったら必ず、俺のレストランに訪れてくれる。行ってみれば常連さんだ。


 正直悪い気はしない…しないんだけど、一度来たら一週間は古民家に寝泊まりして、毎食俺の作った料理を食べて酒を飲む。もはや、迷宮攻略をする為に潜るのではなく、俺の料理を食べる為に迷宮に潜るという風になっている。


「はぁ。これで最後ですからね?」


「あ、後、だし巻き卵もいいか?」


 ちゃっかりだし巻き卵を要求してくるガンテツさんに、再度ため息を吐きながらも俺はだし巻き卵を作る。



 地球ならカツオと昆布で出汁を取るのだけど、ここは異世界。せっかくだから、異世界産の一番だしを作ってみたい。そう思うのは料理人として当たり前じゃないだろうか。


 当然、俺は異世界産のかつおぶしと昆布を作り出したわけなんだけど、これで作った出汁がまた美味いんだ。


 調味料を加えていないのに、程よい塩気、さらに旨みが詰まった出汁が最高だ。そんな出汁を使って作るだし巻き卵が不味いわけがない。




 だし巻き卵は簡単そうに見えて、実は奥が深い料理でもあるんだ。卵の混ぜ方1つで焼き上がりも全然違ってくる。


 卵をかき混ぜるときに、クリームを泡立てるように空気を入れ込んでしまうと、巻きにくくなり、きめが粗い仕上がりになってしまう。


 菜箸の先をボウルの底につけたまま、卵白を切るように動かし、卵黄と卵白を均一に混ぜると、焼き上がりがきれいになるんだ。


 少し手間がかかるけど、ざるに入れて2回程こすと仕上がりがきれいになるぞ。家で作る時は洗い物が増えて面倒だから、俺はやらないけどな。



 卵を混ぜたら出汁を入れてさらに混ぜる。出汁の量が多いほど、ふわふわに仕上がるけど、同時に巻きづらくもなってしまう。そこは自分の腕と好みで調整してくれ。


 次は焼きの工程に進むわけだが、中~強火で高温を保つことが大切だ。だし巻き卵は、卵焼き器をよく温め、中火で短時間で焼いていくのがベスト。


 それにはちゃんと理由がある。焼くときの卵液の温度が100℃以上だと、卵中を自由に動ける水分が瞬時に蒸発し、同時にたんぱく質が凝固するから、きめ細かい仕上がりになるんだ。


 後は卵を巻いて焼いていくだけ。ふんわり仕上げるコツとしては、卵焼きよりも若干半熟で巻いて、焼き終えてから余熱で固めると、ふんわりとやわらかい仕上がりになるぞ。


 焼き終わったら巻きすがある場合は、焼きあがった卵焼きを巻きすにとり、形が落ち着くまで置いておくと、巻きすの模様がつき、きれいな形に仕上がる。


 あとは一口サイズに切り分けて、大根おろしを横に添えれば『だし巻き卵』の完成ッ!!



「相変わらずいい匂いがしてくるぜ…あふっ――あふっ。美味いっ!!だし巻きの中に、『出汁』が染み込んでいて、口の中に入れると、出汁が『ジュワッ』と出てきやがる!しかも、ふわふわと柔らけぇ…あっさりとしている中にも出汁の味がしっかりとついていて、ご飯や酒が欲しくなるな!」



「ガンテツさんは相変わらず、美味しく食べるね」


「そりゃあシンの料理を食べちまったら、他の飯なんて不味くて食えやしねぇよ!それよりシン。《《アレ》》もらってもいいか?」


 ガンテツさんが言う《《アレ》》とは、ポン酢の事だ。大根おろしにポン酢をかけて、それと一緒に出汁巻きを食べる。実を言うと、俺がこの食べ方が好きだからガンテツさんに教えたんだけど、そうしたらガンテツさんも大ハマり。


「そのまま食べても良いけどよ、やっぱりポン酢が一番美味いぜ!」





 次の日、約束通りにガンテツさんは仲間に引きづられながら、迷宮の奥に連れて行かれた。いつもの光景に若干の苦笑いをしながら、見送るシンであった――。


どうも。ゆりぞうです。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ったら


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