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13品目 コカトリスの親子丼

 すっかりノワルとゴマに昼食を食べさせるのを忘れていた俺は、冒険者ギルドに併設されている従魔専用の待機場所に焦って向かっていた。今更焦ってもノワルから尻尾の制裁を喰らうのは確実なわけなのだが・・・。


「ノワルすまんッ!すっかり忘れてた・・・ん?」


 ノワルとゴマの方を見ると2人人影が見えた。1人は水色の長い髪をした女性で革の鎧を身に纏っている事から冒険者という事が分かる。もう1人は黒髪の男性で1本腰に携えた剣のみで防具などは着けていない。


「シンどうしたのだ?・・・叔母様?」


 リーシアの声に振り向く2人。女性の方はリーシアに目元が良く似ていて、叔母というよりリーシアのお姉さんに見えた。


「あら?リーシアちゃん!それと・・・彼氏かしら?」


「「違いますッ!!」」


「ふふっ。今はそういう事にしておいてあげるわ。ユウジ、ついにリーシアちゃんにも春が来たみたいね?」


「あ?あぁ・・・そうみたいだな。ララ、少しこの男と2人で話したい。宿に戻っていてくれるか?」


 ララノアはリーシアの手を引き宿に連れていき、その場には俺とユウジが残った。


「その様子だと分かってると思うが、俺はユウジだ。お前もあの無人島から生き残ったって事だな?しかし、良く生き残れたな・・・。」


「俺はシン。ユウジが残した日記のお陰もあるけどな。あれはマジ助かったわ・・・それよりこんなに早く会えるとは思ってもみなかったな。」


 何処で誰が聞いてるか分からないから、俺達はノワルとゴマを連れて一旦街から少し離れた草原まで行くことにする。ノワル達はどうやら近くの森に狩りに行くようだ。


「ユウジはあの無人島を探してるんだろ?何か手がかりとか分かったか?」


「残念ながら何も分かってない。当初は船に乗って探しに行こうとしたんだが、そもそもこの大陸には船がない。作れる技術がないというより、船で海を渡れないという方が正しいな。沖に出るほど魔物は強くなっていくから船が壊されるみたいでな・・・。」


「それって・・・詰んでないか?どうやって無人島を探すつもりだよ。」


「シンも魔石を使って魔法を使えるだろ?あの無人島を魔法で飛んで脱出しようと考えなかったか?」


「したけど空なんて飛べなかったぞ?」


「俺も最初はそう思ってたんだけどな・・・魔法が使えなかったんではなく、発動してなかったんだよ。小さい魔石だと魔力量が少ないからそもそもあまり大規模な魔法なんかは使えない。」


「大きい魔石ならその問題は解決できた?」


「大きい魔石というより、『黒金の魔石』なら飛べる事が判明した。理由はよくわからないが、黒金の魔石は魔力を外から吸収できるみたいで魔力が空にならない。このお陰で俺は海上を探せるようになったが、未だあの無人島は見つかってない。」


「という事は無人島が見つかるのは時間の問題って事だな。その無人島が見つかったらどうするつもりなんだ?」


「俺達みたいな迷い人がもう2度とこの世界に来れないようにする。」


 そんな事が出来るのか?と思ったが、ララノアが『精霊の目』という魔眼持ちで、魔法による術式を解読できるみたいだ。実際あの無人島に行ってみなければ分からない様だけど、もし魔法で繋がっているのだとしたら、ララノアに解読してもらい術式を壊してもらうようだ。


「シンはこの先どうするんだ?」


「俺は元々あの古民家を改装して古民家レストランを始めようとしてたんだよ。だからこの世界でもやろうと思ってるんだけど、何処でやるかなんだよな・・・ん?」


 森の中から獲物を咥えたノワル達がやって来て、俺の近くにぶん投げてきた。どうやら昼食を忘れていたのを根に持っているみたいだな。


「これはコカトリスじゃねぇか・・・Aランク上位の魔物だな。こいつで作る親子丼なんか食べてみたいよな・・・。」


「親子丼?じゃあ作ろうか?」そう言って魔石から食材を取り出すと、ユウジは目をひん剥いて驚いていた。


「なんだそれ!?俺にはそんな事できねぇぞ!?」


 魔石の質によっては山を吹っ飛ばす魔法をユウジは使えるようだが、俺の様に魔石から地球の物を召喚することは出来ないようだ。俺の固有スキルについて検証しようとしたが、ノワルがお怒りの様だったので解体を勧めながら検証をする事にした。


 それで分かった事は質が良い魔石を使ったとしても車のような文明的な物を召喚する事は出来ない様だった。それについてユウジはがっかりしていたが、魔石さえあれば日本の米や酒なんかを調達できるし、俺の様な料理人にとってはかなり有用なスキルではないだろうか。


「解体の手際が良いな・・・。」


「流石に20年以上この世界に居たら上手くもなるって。」


 解体をユウジがしている間に俺は米を炊いて玉ねぎなどの野菜を下処理をしていると、ユウジも解体が終わったようで俺はコカトリスの親子丼を作る事にした。ユウジはコカトリスの肉を一口大にどんどん切ってもらう事にして俺は親子丼をノワル達が満足するまで作るか。



 フライパンに水を入れて沸騰したら肉を入れる。再度沸騰してきたら弱火にして灰汁を取り除いて、灰汁が無くなったら玉ねぎと醤油などの調味料を入れて、肉に火が通るまで煮る。


 肉に火が通ってきたら軽く混ぜた卵を半分だけ入れて固まるまで蓋をして煮る。固まってきたら残りの卵を回し入れて白身が少し白っぽくなってきたら完成だ。


 2回に分けて卵を入れる事で半熟状になるから素人でも美味しい親子丼が作れるぞ。


 後は炊き立てご飯の上に持って三つ葉を乗せれば【コカトリスの親子丼】の完成ッ!!


 後はこれをノワル達が満足するまで作ればいいな・・・。


「う、美味そうだな・・・もう俺なんて20年以上米を口にしてないからな。少し味見させてくれ。」


「味見してるのがノワルにバレたら尻尾で叩かれるぞ?」


「・・・それを俺に言うって事は叩かれた事があるって事だよな?よく無事でいられるな。」


「そりゃノワルだって手加減して叩くからな。流石に本気で叩いたりしないよ。」


 余程ノワルに尻尾で叩かれるのが嫌だったのか、ユウジは味見をする事はなかった。



「ようやく食えるな。じゃあ先に頂くぜ?・・・流石シンは料理人だけあるな。こんな美味い親子丼なんて食ったことないぞ!?フワッとした半熟の卵が最高だ・・・それに肉も噛めば噛むほど旨みが口の中に広がる。」


「喜んでもらえて何よりだよ。じゃあ俺も食べるか。・・・コカトリスの肉が美味すぎるな。確かにこれはこれで悪くはないんだけど、玉ねぎと卵の存在感が薄いんだよな・・・。やっぱり地球産の野菜だとダメなのか・・・?」


「そうか?俺は十分美味いと思うんだけどな。だったらこの町の先に農業が盛んな村があるから行ってみたらどうだ?その村で作られてる野菜は他の村で作られてる野菜より美味いって評判だからな。」


「マジか!?早速その村に行かなければ!!」


 ユウジに村の場所を聞き出し、街に戻った俺はユウジの泊まってる宿に向かった。


「リーシア!!行きたい場所が出来たんだ!早く一緒に行こう!」


「え?いや私は村に「ほら早く!!」」


 一刻も早く美味しい野菜を味わいたい俺はリーシアの手を掴んで村に向かう事にする。後ろからは「あらあら、若いっていいわね。」なんてララノアが言っていたが俺には何のことか分からなかった。

私も元は読専でしたが今は小説の方を執筆しています。読専の時はほとんど評価などした事のない私でしたが、いざ小説を自分で書いてそれを評価してもらえるというのは思った以上に励みになります。

拙い文章ですが、いつも読んでくれてありがとうございます!評価して下さって本当に嬉しいです!

明日は親子丼を食べようかな。そう思った方はブックマーク、評価、感想お待ちしております!

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