天才科学者は提案する
世界中の国々の首脳や指導者、それにその国々の国民に向けて天才科学者はテレビを通じて語る。
「私は量子力学を応用した安全でクリーンで恒久的に使い続ける事ができる新エネルギーを発見しました。
発見した新エネルギーの発表の前に此れを見てください」
画面が切り替わり大平原を恐竜が闊歩するCGが映し出される。
大平原の遥か彼方に巨大な隕石が落下し、隕石が地表に激突した衝撃が恐竜たちを襲い吹き飛ばし巨大な津波が恐竜を呑み込む。
また画面が切り替わった。
ひまわりが咲き誇る丘陵地帯が映り出され、丘陵地帯の遠方には高層ビルが建ち並ぶ都市が見える。
突然、眩い光が都市の上空に出現、光を生み出した衝撃波が丘陵地帯のひまわりを吹き飛ばし続いて到来した熱波が丘陵地帯全体を燃え上がらす。
高層ビル群は全て倒壊し、都市があった場所には巨大なキノコ雲が立ち昇っていく。
そこで映っていたCGが消え天才科学者が映し出される。
「3億年の長きに渡り繁栄し此の世の春を謳歌していた恐竜は、1億3000万年前に宇宙の彼方から飛来した巨大隕石により絶滅。
絶滅した恐竜の後繁栄した哺乳類の中から頭角を表した人族は、たった100万年程の短い期間で宇宙に進出する程の高度な文明を築き上げました。
しかし人族自身で発見した核エネルギーから作り出された核兵器を、何が原因なのか未だ不明な出来事で対立する各国間で撃ち合い、6500万年前に滅亡。
私が発見した新エネルギーも兵器に転用できます。
その兵器を自国の防衛に使い、何らかの突発的出来事によりそれを対立する国に撃ち込み、滅亡した前文明の教訓を生かせず同じ愚を犯すのか?
それとも新エネルギーを元に造られた兵器で、何時飛来するか分からない巨大隕石から我々が住むこの星全体を防御するのか?
私が発見した新エネルギーは後者を選んだ国々にのみ提供したいと思ってます。
対立するのでは無く、共に手を取り合い我々が住むこの世界を守りましょう。
そして、3億年を遥かに超える恒久的な文明を築く事を私は皆さんに提案したいのです」




