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内燃機関と農業機械化

 明治時代、西三河で刀鍛冶をしていた山本常吉がエンジン動力の農機、バインダー(手押し式で稲や麦等の刈り取り、結束を行う機械)を開発。


 詳しい年代もエンジンの種類もエンジンの自作から始めたのかすらも分からないが、下記の理由からある程度は推定可能。


 ガソリンエンジンのバインダーが登場するのは戦後なので×。


 蒸気機関は重く、火の粉が農産物に燃え移るのが嫌われるので×。


 尚、1896年に精米機メーカーのサタケが型式は不明だがドイツ製エンジンを用いて日本初の精米機を製造。


 池貝が日本初の石油エンジン(3馬力)を製造。


 汽車製造が製造した国産第1号のSL、850形のボイラー圧は8.4kg/c㎡※1。


 1897年、ガスエンジン国産化。


 クボタが7.644kg/c㎡の圧力に耐える鋳鉄製水道管の国産化に成功。


 1898年、サタケが精米機用石油発動機を国産化。


 1901年に八幡製鉄所で日本初の転炉と平炉を導入。


 1902年にドイツ社※2製のロコモビルエンジンが燃料に重量で86.4%(度数99.4)のアルコールを用いた際、全負荷時の圧力が7.75kg/c㎡を記録。


 87.2%の物を使用した際には14.05kg/c㎡を記録。


 ベンゼン等化石燃料を混ぜたようだ。


 ボッシュ、マグネトー実用化。


 汽車製造が230形蒸気機関車を量産開始。


 ボイラー圧力10.6kg/c㎡。


 日露戦争まで軍需優先が続く。


 1903年、日本が駆逐艦の国産化に成功。


 ボイラー圧力17.6kg/c㎡に到達するも左記圧力が出ない艦が出現。


 山羽虎雄(最古の国産自動車、山羽式蒸気自動車の製造者)が2馬力の石油発動機を製造。


 福岡駒吉、10馬力の精米機用焼玉エンジンを用いて福岡式内燃機関車を試作。


 1908年、二宮忠八、2馬力の精米機を入手し飛行機製作に挑むも出力不足で失敗。


 1911年、八幡製鉄所の鉄が国内産の90%を占める。


 汽車製造は三井が関与する半官半民の大企業で、設立=製造年に六六艦隊案が成立した事もあり民間に同じ品質の鉄が流れる余地はない。


 サタケの精米機とガスエンジンの馬力は分からないが、明治後期には全国に2〜10馬力級の石油発動機や焼玉エンジンの精米機が普及していたと見て良く、ガスエンジンは大正時代に中小企業向けに生産されていた事を考えるとバインダーは2馬力の精米機を流用した可能性が高い。


 発動機だけで100kg近くあり、走行部も含めるなら100kgを超えるが、戦後のバインダーは重さは等しく出力は1.5倍。


 一反辺り作業時間は70〜100分である。


 速度は出力の平方根に比例し、3馬力バインダーの作業時間は人力の23%だったので28%。


 人力では1日かかっていたのが1.5〜2時間で済む。


 ただ石油発動機が個人で買える程安くなるのは戦後なので、戦前はあまり普及しなかった。


 機械を入れるには乾田化が必須で、副次効果として日本脳炎やマラリアを媒介する蚊の繁殖期間が短くなるので省力化以外にもメリットは大きい。


 マグネトー以前に国産化している為グローエンジンと思われるが、グロープラグの製造にニクロムか白金が必要で、国内で高品位のニッケルは原油残渣からしか採れないので効率を考えるなら白金。


 粉末化して表面積を増やせば融点は下がるが、硝酸製造と競合する上に北海道以外は採算が採れない。


 燃料はアルコールの他にもガソリンや灯油、コークス製造時に生じるコールタールから分留されるベンゾールと加熱が必要だがナフタレンも使える。


 ただ発生圧力が高い為、アルコールを除く上記燃料を用いるにはダクタイル鋳鉄の製造や転炉と平炉を建設しなければならない。


 ※1……1893年に英国からボイラー他を輸入し付属品を国産化したSLを造っているが、純国産ではない。


 ※2……1864年にオットーが創立した世界最古のエンジンメーカーで、日本の東芝に相当する。


 ダイムラーやマイバッハ、ボッシュ等が在籍していた。


 参考サイト


 クボタ


 https://www.kubota.co.jp/museum/history/1890_1926.html#:~:text=%E3%82%AF%E3%83%9C%E3%82%BF%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2%20%7C%20KUBOTA%20%7C%20VIRTUAL%20MUSEUM&text=14%E6%AD%B3%E3%81%A7%E5%A4%A7%E9%98%AA%E3%81%B8,%E3%81%AF%E3%80%81%E3%81%93%E3%81%93%E3%81%8B%E3%82%89%E5%A7%8B%E3%81%BE%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82


 https://www.kubota.co.jp/kubotatanbo/history/tools/reaping.html


 https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/history2taisho.html#:~:text=%E3%82%AC%E3%82%B9%E3%81%AE%E7%94%A8%E9%80%94%E3%81%AF%E7%85%A7%E6%98%8E%E3%81%8B%E3%82%89%E7%86%B1%E6%BA%90%E3%81%B8%E3%81%A8%E3%82%B7%E3%83%95%E3%83%88&text=%E3%81%95%E3%82%89%E3%81%AB%E3%80%81%E6%98%8E%E6%B2%BB22%E5%B9%B4%EF%BC%881889,%E5%8F%B0%E3%81%AB%E9%81%94%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82


 PDF


 多燃料発動機の時代と日本


 精米機の歴史


 稲刈作業の時間研究『第2報、バインダーによる稲刈作業』


 東京ガスとガスのある暮らし


 wiki


 バインダー、グローエンジン、石油発動機

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