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明治以前の東北で理論上は可能な飢饉対策

 取り上げるのはホヤの一種マボヤ。


 前提条件が厳しい為あくまで理論上で、牡蠣より諸経費がかからないが養殖に成功しても育成に3年半はかかる上に救荒作物の動物版止まりである事を予めお断りしておく。


 マボヤの養殖は1905年に始まったが、岩手県の港で山葡萄の蔓で出来たロープに大量のマボヤが付着している事に気付いた事がきっかけ。


 秋の彼岸が過ぎた頃に伐採した蔓を11月中旬から海水に晒すと、蔓からえぐ味が抜けた頃にホヤが産卵、幼生が付着する(ホヤの産卵は冬至から1月末にかけてで、受精後48時間で孵化)


 水揚げ重量の半分が殻となる帆立や牡蠣と異なり、軽くゴミの処分に殆ど悩まなくて済む事から地元ではホヤの養殖に前向きな人が多い。


 東日本大震災前は韓国に輸出され、キムチに加えたり刺身にして食べられていたが、前倒しした場合輸出に回す程採れるかは疑問。


 何故なら養殖が開始されてから統計に載る程穫れるまで60年程かかっている為。


 ホヤ養殖が県外に広まったのは1930年からだが、生育が終わる3年目に昭和三陸津波で全滅。


 戦後広島から孟宗竹を構造材兼浮きとして用いる垂下式養殖が伝わったが、北国故に孟宗竹の調達費用が嵩み赤字が続いたという。


 長江以南原産で強度の劣る孟宗竹から、黄河以南原産で東北でも入手しやすく竹箒や茶筅等に使われる淡竹に。


 1960年から生産量が落ちた山葡萄に代わり比重の軽い化繊ロープに。


 62年以降養殖形式を筏から現在主流の延縄式に変更。


 更に吊下ロープ一本辺り50〜70個の牡蠣殻を付けて表面積を増やし、チリ地震津波の影響が無くなった1966年にやっと47㌧の漁獲高を記録。


 垂下式は浮きにドラム缶を使っていたが、1920年代末にならなければ国産化されないので風呂桶で代用しよう。


 ホヤの幼生は外洋に面し海底が岩礁や砂礫となる水深6〜10mの海中で採苗される。


 現代では1.5〜2㌢程の大きさになった段階で相互の間隔を空け、マグロ延縄用ロープに付け替えてより沖合に移動させているが、山葡萄を使っていた頃は採苗した位置、深さで養殖を続行していた。


 採苗後5月頃になると〜7mまでの深さの縄にムール貝が付着し業者を悩ませているが、日本への移入が1932年、全国に拡大するのは1950年代と考慮しなくても良い。


 マボヤは日本海沿岸、瀬戸内海、三河湾以北の太平洋側に分布しているが密度が上がるのは日本海側では男鹿半島、太平洋側では牡鹿半島以北。


 山葡萄は北海道、本州、四国の冷涼地域に分布しているが生産量は岩手県がトップなので東北以外ではホヤの養殖は割に合わない。


 山葡萄は雌雄の木が必要だが、酵母が果実の表面に付着しているのでパンやワインを造れるだろう。


 ただ酒屋から米粉と米麹を買ってパンを焼く方が早い。


 尚葡萄を硫黄で燻煙するとレーズンになるが、葡萄を干し柿に代えるとあんぽ柿※1になり、生ゴムに代えると加硫ゴムとなる。


 ※1……福島発祥。


 参考サイト


 ホヤ養殖

 https://job.fishermanjapan.com/column/2665/


 木村屋のアンパン


 https://www.kimuraya-sohonten.co.jp/anpan#a01


 レーズン酵母パン


 https://www.m-pantry.com/fs/mpantry/c/gr282


 PDF


 宮城県の伝統的な漁具漁法養殖編


 あんぽ柿とは


 wiki


 山葡萄、あんぽ柿


 あんぽ柿が載っていた内政物


 トラッククエスト4〜戦国に導かれし転生者達〜


 https://w.atwiki.jp/sazae_yaruo/pages/203.html



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