ガスと耐圧容器
ワットまでの蒸気機関の運用圧力は3気圧程度で厚みは25.4㍉。
プロパンガスの主成分、ブタンは20℃の時2.1気圧相当の圧力を掛ければ液化するので産業革命以前でも分留出来れば保存出来るだろう。
液化すると体積が1/250に減る。
-0.5℃でも液化するが、そんな温度では貯蔵より消費に回されるので想定しなくても良い。
ブタンと混合して使うプロパンは常温時に8.5気圧か、常圧時-42℃の環境でなければ液化しないので技術的に19世紀後半にならなければ現代と同じ組成のプロパンガスを使う事は出来ない。
北は北海道から南は新潟まで国内油田の殆どが豪雪地帯かつ-20℃まで下げられる寒剤の塩も手に入る為、貯蔵しやすいが静電気で爆発するのが難点。
長野の浅川油田は塩が、静岡の相良油田は雪がネック。
1㎥辺りプロパンは99MJ、ブタンは128MJのエネルギーを持ち、夏は2:8、冬は3:7の割合で充填されている。
仙石秀久が軍隊の指揮に使おうとして坂を登れず諦めた半鐘(250kg)は0.3㎥の空間があったので装飾を底を覆うのに使って気体で75㎥。
現代の東京都に住む4人家族が夏に14.6㎥、冬1ヶ月辺り25㎥、5人家族で17.9㎥、冬に30.7㎥のプロパンガスを消費するので、使用人その他で10人、北国の断熱性能が悪い日本家屋、ブタンのみとして半鐘5口分のガスと一緒に出る灯油を併用すれば一冬半年は凌げるだろう。
満水時270L、厚み3.5㍉の鋳鉄で出来た長州風呂は67kgの重さがあるが、2.1気圧の内圧に耐え300Lの容積を持ち蓋も鉄で覆うので440kg前後の代物を複数……容量を半分にしよう。
たたら製鉄では一回の操業で16.5tの砂鉄と17tの木炭を消費して4.8tの銑鉄を得るという。
一家族分のガスタンクで半分近くを使ってしまうので反射炉や高炉の建設が必要。
明治以前の水準からすればとても贅沢な家だが、大名クラスなら何とか実現出来るかもしれない。
尚、18世紀末の上越市では薪が手に入らない為、風呂を沸かすのに泥炭を使っていたと記録が残っている。
産業革命以前に現代レベルの生活水準を要求したらとんでもない事になってしまった。
ガスタンクを農民でも鐘に比べれば手に入り易い一升炊きのお釜並み(1.8L)としたら一日の調理か風呂で消えてしまうので致し方ない。
奮発して囲炉裏鍋の上下(3〜4人分で5.2L×2)の分厚い代物を買っても気体換算2.6㎥、(現代のプロパン換算で2.7㎥)と夏ですら3日と保たないのだ。
資金力が無い場合領土内に油田があっても備蓄せず自家消費した方がマシだ。
地域差はあるが年間2〜3トンの薪か薪の2/3の重量の泥炭が浮く。
参考サイト
長州風呂カタログ
https://www.kenchiku.yamato8.biz/goem1/index_sp.htm
長州風呂の厚み
https://www.kitchen-bath.jp/changesbath4
関東のガス代
https://enepi.jp/articles/656
たたら製鉄
https://tetsunomichi.gr.jp/history-and-tradition/tatara-outline/part-2/
囲炉裏鍋
https://www.fukuji.net/nabe/irori/1269-19.htm
近世民家の燃料について
各燃料の単位発熱量
wiki
ブタン




