日本軍装甲車の限界、火力編
旧日本軍装甲車の重量限界はデリックで陸揚げ出来る5t以下だったが、左記条件で火力、防御力、速力その他を30年代の技術で満足させる事は可能か考察。
まあ満足出来なかったので小銃弾にすらスパスパ抜かれ、恐竜的進化に着いて行けず淘汰されたのだがそれでも改良の余地はあった。
日本の装甲車と車格が近い物を以下に示す。
全長 全幅 全高 重量 武装 装甲
(m) (t) (㍉)
オースチン装甲車(日本軍が運用)
4.9 2 2.58 5.2 7.7×2 7.5
クロスレイ装輪装甲車(同上)
5.01 1.88 2.61 4.85 7.7×2 5.5
九二式 3.94 1.63 1.865 3.228 13 ×1 6
+6.5×1
九三式 4.80 1.80 2.30 4.5 7.7×1
+6.5×4 6
九四式 3.08 1.62 1.62 3.45 7.7×1 12
九七式 3.7 1.9 1.79 4.5 7.7×1 12
(砲搭載型) 4.75 37 ×1
T-13 3.65 1.78 1.36 4.5 47 ×1 13
+7.65×1
Ⅰ号戦車4.02 2.06 1.72 5.4 7.92×2 13
L3 3.17 1.42 1.3 3.2 8×2 15
L5 3.73 1.67 2.2 5.9 37×1 16
L6 3.78 1.92 2.03 6.8 20×1 30
L40 da 47/32 1.63 6.4 47×1 30
37L 4.2 1.57 1.29 6.05 ── 12
AH-IV 3.2 1.79 1.69 3.5 7.92×2 12
Strv.m 3.4 1.85 1.96 4.68 8×2 15
カーデンロイドⅥ
2.449 1.693 1.212 1.5 7.7×1 9
T-18 4.38 1.76 2.10 5.9 37×1 16
+6.5×2
ZIS-30 3.45 1.85 2.2 4.5 57×1 10
+7.62×1
KhTZ 4.2 1.9 2.4 7 45×1 25
+7.62×1
BA-6M 4.655 2.30 2.15 4.8 45×1 10
(装輪装甲車) +7.62×2
ブレンガン・キャリア
3.65 2.1 1.6 4〜※1 40×1 10
チャバ 4.52 2.1 2.27 5.95 20×1 13
+8×2
ジムニー(現行車、参考用)
3.395 1.475 1.725 1.04
・火力
ZIS-30が車載した73口径57㍉砲(以後口径はL表記)は別格としても、九七式軽装甲車とほぼ同じ車格のT-13が後部の開放した旋回砲塔にL/33.6の47㍉砲を、L6を自走砲化したL40 がL/32で同じく47㍉砲を固定式とはいえ搭載している。
ソ連軍はL/46の45㍉砲をKhTZでは限定旋回、BA-6Mでは旋回砲塔に収めていたが反動を考慮するとこの辺りが限界だろう。
ZIS-30はトップヘビーだった為反動を吸収しきれず、携行弾数が20発と少なかった上に乗員の一部しか防護出来なかった。
要目は不明の為ここでは載せていないが、イタリアはL6の車体にL/18の75㍉山砲を載せた物を試作している。
だが車体が小さ過ぎた為失敗。
日本では全長5.4m、幅員1.9mの九四式六輪貨車にL18.4の山砲を載せて運用しているので奥行きが足りなかったのだろうか?
ベルギーでは3t台に強化したカーデンロイドⅥに砲身長59㌢=L/7.8の76㍉歩兵砲を載せて射撃試験を行ったが、これも反動が大き過ぎた。
より小さい九四、九七は兎も角九二、九三式ならL/18.4の四一/九四式山砲を搭載可能かもしれないが、砲塔から出入り出来なくなる上に九二式の場合溶接技術が未熟なので撃った途端に自壊しかねない
同79㌢=L/11.2の九二式歩兵砲(70㍉)もベルギーの例からすると最低4t台後半まで重量を増加しなければならないが、携行弾数が減るので搭載は非現実的。
ベーラー砲の装備は可能だが、九五式軽戦車と競合する上に搭載数も40〜50発程度になるので充当されるまで装甲車には戦車砲より貫徹力は13%低下する(※1)ものの、狙撃砲を載せて歩兵の火力支援を担って貰おう。
日中戦争の頃にはベーラー砲に換装されているだろう。
九四式徹甲弾は300mで22㍉、一式徹甲弾使用時にボフォース並みの1000mで22㍉しかないが※2。
Ⅰ号戦車やL3の現地改造型のように20〜25㍉砲搭載も考えたが榴弾の威力不足の為没。
※1……戦車砲で破甲榴弾を発砲した際の初速は568m/s、狙撃砲は530m/s。
※2……wikiでは九四式速射砲の一式徹甲弾の威力が1000mで25〜31㍉とバラツキがあるが、九四式戦車砲が九四式徹甲弾使用時に300mで25㍉。
同じ弾頭を発射した速射砲が350mで30㍉なので戦車砲と速射砲の混同だろう。




