表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/138

NC工作機械、産業用ロボットのIF

 仮想戦記物が好きでよく読んでいるが、読者の感想や参加者のコメントに時折登場するNC工作機械が気になって調べてみた。


 NC工作機械とは何か。


 数値制御──NumberControl──XYZ三軸の入力された数値分だけ工具又は部品が動き加工を行う機械で、設計図を元に部品を製造するマザーマシンである。


 構想は19世紀からあったものの数値入力に必要なプログラムを作ろうとしたのがバベッジ卿のグループだけで、完成する事はなかった。


 ただそれとは別にオルゴール等に使われているカムを転用した自動化は為され、1910年代には頂点に達していたがそれぞれの図面を元にカムの位置を変更するのは人の手が必要だった。


 上記のオルゴールに例えるなら、楽譜が変わればオルゴールのカムを人が取り替えている状態。


 NC工作機械は楽譜をプログラム化した物をセットすると、それを読み込んだオルゴールがカムを自動で切り替えて演奏するような物。


 製作には正確に同調、測定するシステムが必要だが1910年代には実用化されており、黎明期はパナマ運河の水門操作や無線操縦等に導入され始めていた。


 工作機械に上記のトレース機構を応用しようと構想したのはGEの技術者アーンスト・アレキサンダーソンで1931年末の事だった。


 しかし彼は機械に図面を読み込ませる発想がなく、理解者も金もなかったので後述のパーソンに先を越されてしまった。


 46年、機械工とセールスマンをしていたパーソンはヘリコプターのローター製作を請け負っていたが、数値座標に従い人力で工具を動かしていた為時間がかかり人為的誤差にも悩まされていた。


 そこで数値を増やし、工作機械に直接入力して動かせばより正確に物を創り出す事が出来ると考えたのである。 


 座標を増やすのはどういう事かと言うと、ゲームキャラの造形の変遷や円の内側に多角形を置いてみれば分かりやすいだろうか?


 円の接点が座標で、少なければカクカクしたポリゴンになってしまう。


 工作機械を個人で開発するには資金不足で、当時空軍は別の企業が考案したトレース機械の導入を決めていた。


 動き出すのは空軍がトレースに失敗した49年の事だった。


 パーソンのアイデアには同調させる発想はなかったが、スポンサーの空軍はレーダーと連動する機器の開発経験があった。


 世界初のNC工作機械は52年に当時の金額で36万ドル(2005年で260万ドル。 22年現在約4億円)の金をかけて完成。


 歯車やチェーン、250本の真空管と175個のリレー等で構成されていた。


 この頃GMが熟練工の作業工程を多方向から撮影、新人教育に使用し始めたが空軍と繋がりはなかった。


 同年内蔵されたコンピューターで数値制御を行うCNC工作機械の開発がスタート。


 NCは入力するパンチカードや紙テープを人の手で作っていたが、機械化、高速化の波が製図にも及んだのである。


 コンピューターの性能向上に伴いCADとなった。


 最古の産業用ロボットは1938年3月に発表された物で、モーターの性能が低く積み木をプログラム通りに積み上げるのがせいぜいだった。


 磁石の性能が向上した1954年にジョージ・デボル氏が動きを記憶、再現する装置を出願。


 産業用ロボットの原型となる。


 GMの映像が参考になったのかは不明だが、59年に試作品が完成。


 プロトタイプは真空管を使っていた。


 製品化されたのは61年でGMが自動車製造用に採用。


 69年、日本で川崎重工業がライセンス生産を開始。


 このロボットは5軸だったのを6軸に増やし可搬重量が12㎏から25㎏に倍増。


 二交代制の溶接工合計30人/日分を代替可能だった。


 計算機の項でも述べたがリレーと真空管はあるので、CNCや産業用ロボットは無理でもNC加工機械は概念と品質管理システムと予算を用意すれば30年は前倒し出来る※1。


 問題は20年代の磁石の性能が史実の1/5しかなく、不況真っ只中な事。


 電気を使うので発電所も建設しなければ宝の持ち腐れになる事。


 磁石の開発も前倒ししなければ工作機械もロボットも形にならないだろう。


 尚山梨にFANUCという工作機械部門で国内シェア7割、世界シェア5割を占める企業があるが、職場に缶詰めされても平気なら応募してみると良いだろう。


 富士山が噴火したら世界の製造業が半死半生になる、陰謀論なぞではなく文字通り世界の命運を握る会社である。


※1……CASIO14−Aのリレーの数は341個、真空管を用いた計算機で最も使用数の少ない物はFUJICの1200本。


 参考サイト


 産業用ロボット


 https://www.robot-digest.com/whats/#:~:text=%E7%94%A3%E6%A5%AD%E7%94%A8%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%81%AF1950%E5%B9%B4%E4%BB%A3%E3%81%AE%E7%B1%B3%E5%9B%BD,%E4%BD%9C%E5%93%81%E3%82%92%E7%99%BA%E8%A1%A8%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82


 https://robokaru.jp/fundamental-knowledge/industrial-robot-history/


 wiki


 NC工作機械、数値制御、CNC工作機械、産業用ロボット、ファナック


資源、人口、アイデア、予算……アメリカが超大国になる訳だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ