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鉄と添加剤と地理、技術

 以前クルップ=レン法の項で砂鉄を石炭、又はガス燃料や石灰と共にロータリーキルンで還元した後還元鉄を高炉や転炉に投入したと述べた。


 砂鉄から簡単かつ効率的に鉄を得るなら角炉でも構わないのだが、強度的に高炉のそれより劣り蒸気機関ではワットレベル(3気圧台)が限界。


 より高強度、高品質の鉄を得られるクルップ=レン法では鉄粉を粉炭やガスと共にロータリーキルン内で還元するが、耐火煉瓦材の珪石、アルミナ(製鉄時にフェロシリコンも添加する以上珪石が望ましい)や同じく添加剤のマンガン(金・銀・銅・鉄の副産物として産出)、砂鉄は何処でも産出するので良いとして、国内でコークスに適した瀝青炭を産出した炭鉱は石狩、釧路、夕張等北海道と常磐(福島)、宇部、大嶺(山口)三池、筑豊(福岡)端島、高島(長崎)位しか無い。


 常磐炭鉱は熱水の処理を考えると史実以前に掘る事は不可能なのでここでは考慮しない。


 日本に存在した有名な鉄山は倶知安(北海道)、釜石(宮城)、秩父(埼玉)、群馬、中小坂(群馬)新発田(新潟)等東日本に集中している。


 ただ釜石製鉄所のように木炭の枯渇で操業停止した事や難破のリスクを考えると、日本国内で19世紀以降の産業革命が達成可能な高品質、高強度の鉄を自給出来るのは北海道、北九州の産炭地位だろう。


 マンガンが採れる為アーク溶接が出来れば理論上はガスボンベも作れる。


 プロパンガス等十数気圧の低圧ガスボンベは炭素鋼で構わないが、150気圧に耐えるガスボンベはマンガン鋼、クロムモリブデン鋼、ニッケル−クロム−モリブデン鋼等がある。


 大内、毛利氏が大友氏と揉めつつ難敵である尼子氏が支配する日本最大のクロム鉱山である若松鉱山※1やモリブデン鉱山である大東、小馬木(何れも島根)付近を併呑し、冶金、製鉄技術者と化学者が頑張れば最低100気圧が必要なハーバー・ボッシュ法も達成可能である。


 マンガン鋼が高圧に耐えられるのは常温下である為、中国地方以外では海外からクロムやモリブデンを輸入するか大大名の大内、毛利、尼子らを降さねばならない。


 尼子氏は石炭を除き鉱物資源は豊富だが親子間の争いが起きたり毛利の離間工作に引っ掛かって新宮党の粛清に動いているのでチートどころではない。


 大内氏は下剋上が起きている為毛利一択である


 北海道の蠣崎氏も石炭、鉄鉱石、耐火材、マンガン、クロム、ニッケルは採れるが土地の生産性が低く、寄親の安東氏が日本海最大の水軍を保有しているので朝鮮とのモリブデン交易も難しい。


 ただ上記の技術面を除く問題は安東氏が直接支配すれば解決する。


 海綿鉄を冷却、破砕後に磁選すると高炉を詰まらせる原因となるチタンスラグが分離出来る。


 分離後の鉄を焼結した物だけが鉄の原料として高炉に投じられる訳では無いので、鉄鉱石が無い場合脱硫した硫化鉄、黄鉄鉱も併せて投入される事が多い。


 ※1……若松産クロムは国内産の69%を占めるが耐火煉瓦向けなのでクロム回収には電気炉が必要。


 電極の黒鉛はコークス製造時に生じるコールタールから生産可能。


 若松の次にクロムが採れるのは北海道の十勝で国内シェア30%を占めた、

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