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海に出るべしその2~養殖と厄介者と浮遊選鉱~

 浮遊選鉱は古代から経験的に知られていたが、日本に科学的なそれが伝わるのは明治以降。


 粉砕した鉱石に界面活性剤、油、鉱石重量の2.7倍の水を加えて撹拌、泡に付着した鉱石を回収するのである。


 江戸時代の技術では廃坑になっていた鉱山やボタ山から鉱物を回収する事で復活した鉱山は多い。


 石鹸、洗剤チートでお馴染みの界面活性剤の機能を持つサポニンを含む(サイカチ)や無患子は定番だが、こんな使い途もあるのだ。


 真珠や牡蠣養殖の時に発生する厄介者、ヒトデも体重の1%程度のサポニンを含み、水溶性なので乾燥、粉砕後に水に煮出すと回収可能。


 抽出後のヒトデは肥料になる。


 合成界面活性剤より効率が良くないので灰汁や鯨油で補助すべきだろう。


 紅花の種からオレイン酸を大量に含む紅花油を抽出出来るが、これも浮遊選鉱に向く(魚油や鯨油でも可)


 ただサポニンだろうとオレイン酸だろうと浮遊選鉱時に生じる排水で足尾鉱毒事件やカドミウム溶出によるイタイイタイ病が史実より数百年早く発生しかねない上に、繰り返すが現代の薬剤より性能が低いので鉱害が起きた地域では浮遊選鉱法導入は史実通りにした方が良い。


 それ以外の地域で実験レベルに留めておいた方が良いだろう。


 まあそもそも品位の高い鉱脈がある間は鉱石1t辺り2.7トンの水の調達等手間がかかる浮遊選鉱に関心は向かない。


 撹拌動力上限が水車止まりでは非効率で、安い油は海に近くなければ手に入らない。


 強酸性排水対策の石灰の調達は蛎、アコヤ貝で賄える。


 日持ちはしないが鯨油、魚油は大量に入手しやすい。


 ヒトデは槐、無患子より一桁サポニンの含有量が低いが、その低さ故に植物と違い洗剤や石鹸と競合せず、何もしなければただのゴミである。


 ……調整池、沈殿池、放水路等手間が掛かるが牡蠣養殖を行い石見銀山を持つ毛利氏の国力が誤差レベルだが上がる。


 志摩の真珠養殖と捕鯨で三重の鉱山の生産性も僅かに上がる。


 志摩は旧加茂村(現鳥羽市)でリン鉱石が採れる為硫酸で処理すれば過燐酸石灰で他の地域より国力が上がりやすいのだが、更にブーストがかかるとは思わなかった。


 煮出す燃料の木炭は紀州から買うか薬師炭鉱を開発しても良い。


 瀬戸内海に面している四国にある別子銅山も石灰石と鯨、ヒトデで効率が上がるだろう。


 ただ水と界面活性剤の生産性がネックになる為鉱脈が尽きるまで主流になる事は無い。

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