海に出るべし、活かすべし
戦国時代の日本で殖産興業する場合、海の有無は極めて大きい。
千石船一隻(150t)の荷物を馬に駄載(135kg)すると千百頭を超え、関銭等の物流コストや塩水選等塩の入手難易度も併せて考えれば 、賄える人口や牛馬を用いた開拓速度が変わる。
牛馬は一日辺り40~80gの塩を消費する。
甲州武田氏や敗戦直前の日本では無いが、塩の供給が止まると人より先に家畜がやられるのだ。
塩は田起こしや戦、馬借の活動に支障を来す、現代の石油に匹敵する戦略物資なのである。
海に近く関所も無ければ、一反辺り七貫必要な鰯、鰊等の魚肥。
害虫を溺死させる鯨油や、成体のセミクジラ一頭から採れる鯨骨を硫酸で溶かせば二十町歩の田に必要な過燐酸石灰が手に入りやすい事は以前述べた。
上記以外には生理食塩水、ヨードチンキの他、ガラスの材料の炭酸ナトリウムも千度に耐える炉と食塩水に二酸化炭素、アンモニア、アンモニア回収用に石灰が有れば造れるし地域によっては肥料向けのリン鉱石も入手出来るので沿岸部が有利である。
※……チリ硝石のように火薬に使える物は国内では下野宇都宮氏の領内で大谷石の副産物としてのみ産出する。
ガラスに話を戻すと、木戸や障子、壺や裸眼観測、温度測定は勘に頼っていたのが当たり前だったのを窓ガラスやガラス瓶に替え眼鏡や望遠鏡、温度計を開発すれば生産性と安全性、情報収集能力が向上するのは言うまでもない。
ただガラス製造に必要なアンモニアが人畜由来の場合、二酸化炭素を得る為に灌水から塩にする加工場に持ち込むのは衛生的に問題がある。
鯨の解体時や鮫から蒲鉾を作る時に生じる残渣か、可能なら石炭、泥炭等からアンモニアを分留、回収する事になるだろう。
尚、双眼鏡は兎も角スコープを作っても狙撃はライフリングを施さなければ能力を活かす事は出来ない。
採取に五年かかるが、樹液に水中で変質せずライカカメラの外装にも用いられたグッタペルカを含む杜仲は東日本太平洋側以外なら明から入手しやすく、舞台が肥後、日向、土佐ならラテックス含有量がパラゴムノキに次ぐインドゴムノキの露地栽培も可能。
他の地域は効率が悪いがアキノキリンソウからもゴムが開始年から採れるので寿命は短いが銛のゴム紐の採用やゴーグル、ダイバースーツ、箱眼鏡の防水性と漁の効率も上がる。
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ソルベイ法他