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医療

難産かつ駄文。

 医師ではないので抜けとツッコミどころだらけだが、石鹸、手洗いうがい、煮沸、アルコール、塩素消毒、消石灰散布、木酢液(クレオソート)、カンフル剤以外で明治以前に再現可能な医薬品は、


 ・経口補水液


 ・生理食塩水


 ・ヨードチンキ


 ・ペニシリン


 ・馬血清


 ・BCG


 位か。


 経口補水液の作り方……水1lに砂糖40g、塩3g、果汁50ml。


 生理食塩水……水1lに塩9g


 蛇足だが塩水選は水1lに塩130g


 ただ廃水は再利用出来ないので肥料を溶かした水に浮かべた方が無駄がない。


 容積がわからない場合は成人の頭頂部から視点までの鉛直高が10㌢なのでお坊さんか武将に頼んでメートル法を割り出そう。


 秀吉の検地以前の度量衡はあまり当てにならないので注意。


 ファンタジーや戦国問わず作中時代を考えると確実に塩は専売制なので、下記の血清と併せて主人公に医療チートさせるなら体制側の子息一択である。


 日本の場合ヨード、寒天は領土が海無しでは安く造れないので衛生環境の向上度合いは海の有無で変わる。


 同じ海でも瀬戸内海沿岸と北九州何れかの勢力を主人公にした場合とそれ以外の地域では医原病による死亡率も変わる。


 何故かというと、上に挙げた地域に生息するカブトガニの血液には細菌の毒素に反応して凝固する性質があり、アメリカ東海岸に生息する近縁のカブトガニと成分は異なるものの医療器具が汚染されているか判別しやすい為。


 ヨードの抽出方法……関東地方の場合現代日本で用いられているブローアウト法は、


 ①ヨードを含むかん水に塩素または次亜塩素酸ナトリウムを加えて酸化させる。


 ②酸化物を降らせて空気を吹き込み(ブロー)液体から追い出す(アウト)


 ③追い出されて気化したたヨウ素を収集。


 ④上記に亜硫酸を加えて還元させた物に塩素を追加するとヨウ素が析出する。


 ⑤析出したヨウ素を加熱して溶かすと更にヨウ素と不純物に分離するのでヨウ素を集め冷却、脱水すれば完成。


 他にはイオン交換膜か活性炭を用いる2つの方法がある。


 ヨウ素分離に適したイオン交換膜は作り方が不明なので活性炭の方法を述べる。


 ①活性炭にかん水を通しヨウ素を吸着。


 ②吸着した活性炭に水酸化ナトリウムを加えるとヨウ化ナトリウムとヨウ化水酸化ナトリウムの溶液が出来る。


 ③上記に硫酸を追加して酸化。


 ④③に亜硝酸ナトリウムを加えると商品として使える純度のヨウ素が析出する。


 ペニシリンの作り方。


 <ステップ1>


 青カビの培養作業をする。


 芋の煮汁と米のとぎ汁を合わせた液体を容器に入れ、液体培地を作る。


 その上に、集めた青カビ(カビは27℃で一番発生しやすいそう)を移植する。


 ↓


 <ステップ2>


 ペニシリンの抽出作業を行う。


 蓋つきの陶器の樽の上に綿をつめたじょうごを置き、その上から青カビの培養液を流し入れ、培養液をろ過する。

 ↓


 ろ過した液体の中に、菜種油を注ぎ、樽の中を棒でかき混ぜる。


 この作業によって、樽の中の液体が「油に溶ける脂溶性物質」「水にも油にも溶けない不溶性物質」「水に溶ける水溶性物質」の3種類に分離する。


 ↓


 樽の栓を抜き、一番下に溜まった水の部分(水溶性物質)だけを別の容器に移す。


 ペニシリンは水溶性物質のため、この部分に溶けているということになる。


 ↓


 ペニシリン溶液からさらに不純物を取り除く。


 煮沸消毒して砕いた炭を入れたかめにペニシリン溶液を流し込み、再びかき混ぜる。「ペニシリンは炭に吸着する」性質があるため、炭のみを取り出し、容器(※注ぎ口と排出口のついたもの)に詰めかえる。


 ↓


 煮沸蒸留したきれいな水を注ぎ口から流し込み、不純物を洗い流す。


 さらに純度を上げるため、今度は酸性水(お酢と蒸留水を混ぜたもの)を注ぐ。ペニシリンは酸性物質のため、酸性水で洗うことによって、炭に吸着しているアルカリ性の不純物質を取り除くことができる。


 ↓


 最後に、容器の排出口に綿をつめた(フィルターの働きをする)器具を取り付け、受け皿となる容器を用意。注ぎ口から重曹を溶かした蒸留水(※アルカリ性)を通す。これによってペニシリンは炭から溶け出し、排出口からは純度の高いペニシリン溶液が抽出される。


 ↓


 <ステップ3>


 ペニシリン抽出液の薬効を調べる。


 半合ずつに分けたペニシリン抽出液を、患者の膿から採取したブドウ球菌をなすりつけた寒天培地に少しずつたらす。蓋をして数日待つ。


 血清は馬に蛇、サソリ、ゴケグモ等の毒何れか一種類だけ注射して抗体を作る必要があるので複数の馬を飼える程裕福な家か軍でなければ難しい。


 抗体生成に6ヶ月かかるが安定して製造出来れば死亡率は下がるだろう。


 メキシコでは馬血清導入後蛇による死亡率が66%、サソリは83%減少した。


 ただ対象の種類が豊富な地域では噛んだ生物も一緒に運ばないと同定出来ないので注意。


 注射針は江戸時代の日本から鍼治療が欧州に伝わり、薄い鉄板をゼンマイ状に巻いて接合する物に進化した。


 台鉋や剃刀等薄い鉄が制作出来るのは近世以降なのでまずその製造から始めなければならない。


 BCGは結核、ハンセン病の予防効果があるが牛結核菌を13年かけて無毒化しているので救済対象の産まれる10年前から着手しなければ間に合わないので注意※1。


 結核の治療薬はストレプトマイシンが有名だが、上記が1944年に開発される前の1912年に抗うつ剤としてイソニアジドが開発。


 1920年に薬ではなく化合物としてアミノサリチル酸が製造された※2。


 結核菌は耐性を獲得しやすく治療には併用が前提らしいので断言出来ないが、自己開発か転移時に持ち込まない限り1920年代以降にならなければ結核の治療は困難だと思われる。


 太平洋戦争後半には陣営問わず人口が増えるだろう。


 その他の知識として領地に炭酸水素塩泉が湧き出ている場合、冷やして析出した重曹を重量比で1、米ぬかと水をそれぞれ30の比率で用意、水に重曹を全て入れて熱し、泡が消えたら米ぬかを徐々に加えて成形すれば獣脂を使わず、臭いにもあまり悩まされずに石鹸が出来る。


 尚、上総掘りでは温泉の平均深度(1000m以深)に到達出来ないので明治以降に開湯した温泉は諦めて従来の石鹸を作ろう。 


 日本住血吸虫が猖獗を極める甲斐の場合、医薬品とコンクリの製造プラントが一緒に転移しなければ主人公が転移型の場合存命中に根絶は不可能。


 上記がない場合は史実通り根絶は百年近くかかる。


 駆虫薬のプラジカンテル、スチブナールの製造方法はわからないがスチブナールの原料の酒石酸はワイン製造時の副産物として手に入り、アンチモンは茨城、愛媛、山口県等に分布している。


 他にも原料があるようだが探し方が悪く見当たらなかった。


 外傷が壊疽を起こした時、傷口に蛆が湧く事があるが清潔な蛆の場合予後が良好だという。


 アンモニア臭、蛆が這い回る違和感等のデメリットはあるが、南北戦争に於いて青蠅の蛆を携えた兵士は病院に運ばれ処置を受けた兵士より手足を切断する率が低かったとの事。


 ※1……結核が蔓延していない国では接種していないが日本は4歳未満までに1回の接種が義務付けられている。


 ※2……結核への効果が認められたのはアミノサリチル酸が1948年、イソニアジドが1950年。


 参考文献


 知らなくても良い無用な知識の本


 参考サイト


 ヨウ素学会


 https://fiu-iodine.org/studies/


 ペニシリンの作り方


 https://biohacker.jp/c/BH12.html


 血清

 https://style.nikkei.com/article/DGXZQOLM2512I0V20C22A4000000?n_cid=LMNST020&page=2


 石鹸


 https://osoujijutsu.com/komenuka-sekken-tsukurikta/


 以下wiki


 イソニアジド、結核、日本住血吸虫症、マゴットセラピー。


 影響を受けた作品


 やる夫達の、異世界・世知辛チート物語


 https://yaruo.fandom.com/wiki/%E3%82%84%E3%82%8B%E3%81%8A%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AE%E3%80%81%E7%95%B0%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%83%BB%E4%B8%96%E7%9F%A5%E8%BE%9B%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%88%E7%89%A9%E8%AA%9E

アラが多い為ご指摘お待ちしております。


結核治療が20年前倒しになる云々については門外漢の筆者の予想で監修、裏付けされていません。


医療関係従事者以外が語るのは知識が身に付いてないので我ながら非常に恐ろしいです。

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― 新着の感想 ―
とりあえず、そもそもの薬を作るだけでも大変ですが、保存の問題もあるなぁって思いました。
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