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水産

 水産物の中で帆立の干し貝柱は鮑、海鼠、昆布を抑え江戸時代から現代に至るまで対中貿易一位。


 現代では真珠がこれに次ぐ。


 戦国チートで水産といえば真珠だが、アコヤ貝は赤潮に弱い為環境を整えず、資金的に体力がない時に実行すると失敗する。


 御木本幸吉は実家のうどん屋阿波幸※1を売り、赤潮で貝が壊滅する等の苦労を重ねつつ3年かけて半円真珠の養殖に成功。


 真珠は核の大きさにもよるが入れてから収穫まで1〜3年はかかるので手探りで始めたにしては幸運と言える。


 だが店を出せる程生産が安定したのは更に6年。


 真円真珠の場合は成功から量産出来るまで13年かかった。


 貝の真珠層近くの外套膜に核(貝殻を加工した物)を入れれば真珠が出来るが、貝と核の大きさの比率※2や入れる季節(4〜7月中旬)、引き上げる時期(12〜翌2月)や真珠の宝飾品としての合格ラインも見極めないと赤字になってしまう。


 ミキモトは宝飾品として使える物は回収出来た真珠の1割と定めていたが、後発組が2割に拡大した為新規参入時の想定以上に値崩れを起こし、国内の業者は衰退しつつある。


 現代は貝の養殖業者の努力により品種改良が進み、真珠の大きさが7㍉から8㍉に増大。


 その分育成期間も延びたが戦国でも最短で2年はかかるだろう。


 本来登場は19世紀初頭だが、螺鈿細工以外にも輸出品になる上に投資費用回収の為貝ボタンの国産化もした方が良い。


 史実では明治20年頃独から奈良に伝わり、農家の副業になった。


 絹程ではないにせよ真珠養殖が成功する前に外貨を稼いでいる。


 真珠より先に水質汚染に強い牡蠣を浄化用に養殖したり、牡蠣殻(多孔質で表面の微生物が残留しやすい)を河口付近に設置し川からの栄養分を吸収しよう。


 赤潮や貝毒の原因となるプランクトンに寄生するウィルスが近年発見されたが、観察に電子顕微鏡が必要※3なので無理。


 赤潮対策の為まずは牡蠣養殖を真珠養殖の問題点の洗い出しも兼ねて行い、発生頻度を下げよう。


 河口の川側の水中に流れに沿って石を詰めたかごを沈め、牡蠣が育つまで最低2~3年放置。


 水質浄化用の牡蠣は食用に撒いた物ではないので食べてはいけない。


 人避けに鳥居か何かを建てた方が無難。


 低水温を好み、採算が採れるレベルで生息可能な南限が東北のホタテ、長崎、愛媛、三重等西日本が北限の真珠貝(アコヤ貝)と違い、牡蠣と海苔は全国に分布している。


 牡蠣殻は水質浄化だけでなく夏の間海苔が生息場所に選ぶ※4ので牡蠣と海苔の養殖はセットで行える。


 養殖の問題点は航路を阻害しないエリアに設けないと他の利用者と揉める上に、河川の養分に依存する関係上氾濫の影響も受ける事と制海権を維持出来なければ現代価格にして億単位の筏が文字通り海の藻屑に消える事。


 海賊衆をそのまま養殖業に転換させるのは軌道に乗るまでが苦行だが、真珠の産業化に成功したら死兵となって自衛してくれるだろう。


 牡蠣の垂下式養殖は孟宗竹で骨組み兼筏を造るようになってから本格化した。


 広島県では木製筏を用いていた1952年当時剥き身で5千tの牡蠣を生産していたが、孟宗竹に置き換わった10年後には2万tに増加。


 52年は不漁だったようで、37年は8863t。


 この時の比率は海底に枝木を立て、撒いた牡蠣が付着するのを待つひび建て式が6割近くを占め、残りが垂下式だった。


 ひび建てだけだった1917年は3800tである。


 1920年代以前に浮きのドラム缶は国内に存在しなかったが、たたら製鉄で圧延機が造れるので問題無い。


 脱線してしまったが、孟宗竹が自生する地域では初期費用を抑える事が出来、垂下式養殖を導入すれば従来の2.3〜5倍の牡蠣を生産可能。


 帆立貝も垂下養殖可能で桜が咲いた後水深20〜40mの海域に杉の葉を沈めれば付着するが、以前東北の飢饉対策の項で述べた通り孟宗竹が手に入らない事に加え、帆立が付着しやすい玉ねぎ袋(みかんや石鹸が入ってる赤いアレ)が現代通販物でなければ手に入らない為牡蠣や現代レベルの収穫量は期待出来ない。


 1956以降のデータしか無いが、養殖開始前の全国平均は1万t台で豊漁時2万t超。


 垂下養殖開始は62年以降で放流から漁獲まで4年かかるが、65年頃に育苗器を玉ねぎ袋に変更、69年に漁獲するまで減少を続け68年には5千tを割り込んでいた。


 玉ねぎ袋がなければ漁獲量は誤差の範囲内なので、初期費用と殻の処分に困る事を考えるとホヤ養殖が無難。


 史実以前の鮑の養殖は最低2年かかるが極めて難しい。


 1963年に研究が始まり、産業化されるのは紫外線殺菌が成功した77年以降。


 それでも出荷までに90〜95%が死滅している。


 海水の濾過と配合飼料により出荷までの生存率が7割に向上したが、それは2000年代以降。


 濾過は周囲を牡蠣殻で囲えば何とかなるが、陸上養殖は設備投資やポンプの燃料代が嵩む為20世紀以前の養殖は海面養殖一択。


 12〜翌1月に仕入れた稚貝が100個程入った籠(縦横高さが30×40×30㌢)を水深5〜7mに沈め、天然の海藻の生え具合にもよるが週1ペースで給餌。


 4月末に籠掃除と共に40個程に減らし、夏には水深20m近くまで下げ赤潮の影響を多少下げる事が出来るという。


 秋は餌の海藻が無いため乾燥した物を与えるがまず海藻養殖もせねばならない。


 ヨードと競合するが生存率が低いので然程影響は無い。


 ※1……現代でも存続している。


 ※2殻長の1/10以下、最大5㍉。


 参考文献


 マンガで読むロングセラー商品開発物語、無人島に生きる十六人


 PDF


 かき垂下式養殖技術の開発と普及水産試験場の果たした役割


 参考サイト


 真珠が出来るまで


 https://www.kitamura-pearls.co.jp/pearlstory/process.html#:~:text=%E6%8E%A1%E7%8F%A0%E3%81%AE%E6%99%82%E6%9C%9F%E3%81%AF,%E6%9C%88%E9%A0%83%E3%81%AB%E3%81%8B%E3%81%91%E3%81%A6%E8%A1%8C%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82


 真珠出荷規格


 https://www.kitamura-pearls.co.jp/pearlstory/process.html#:~:text=%E7%AB%8B%E6%B4%BE%E3%81%AA%E7%9C%9F%E7%8F%A0%E3%81%8C%E7%94%9F%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%82%8B,%E3%81%BE%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%82%8A%E3%82%82%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82


 帆立


 http://www.jf-nohejimachi.com/pc/scallop/history.html


 http://www.aomori-hotate.com/?aomorihotate=%e9%a4%8a%e6%ae%96%e3%81%a8%e5%a2%97%e6%ae%96


 https://47s.47s.mixh.jp/pages/0000646


 鮑養殖方法


 https://yuranoawabiya.com/?mode=f2


 https://rakusui.or.jp/mailmag/2024/04/011728554896#:~:text=2021%E5%B9%B4%E3%81%AE%E5%9B%BD%E5%86%85%E3%81%AE,%EF%BC%85%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%80%82


 帆立のウロと貝毒


 http://www.aomori-hotate.com/?qa=%E3%81%BB%E3%81%9F%E3%81%A6%E8%B2%9D%E3%81%AE%E8%B2%9D%E6%AF%92%E3%81%AF%EF%BC%9F#:~:text=%E3%81%BB%E3%81%9F%E3%81%A6%E8%B2%9D%E3%81%AE%E8%B2%9D%E6%AF%92%E3%81%AF%EF%BC%9F,-A&text=%E3%81%BB%E3%81%9F%E3%81%A6%E8%B2%9D%E3%81%AB%E3%81%AF%E3%80%81%E4%B8%8B%E7%97%A2,%E5%AE%89%E5%85%A8%E3%81%AB%E9%A3%9F%E3%81%B9%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82


 wiki


 牡蠣

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