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蚕と魚粉と米と合鴨

 蚕の蛹粉は釣り餌に用いられる事は釣人の間ではよく知られている。


 それを餌にする鯉を養殖し食糧兼魚粉として使おうという話である。


 旱魃に弱い欠点はあるが、見目の良い鯉は贈答品にもなる。


 魚を脱水脱脂すると重量が15%に減る。


 それを魚肥として用いたが、脱脂粉乳の魚版の為味はお察し。


 2年物の鯉は1.5kg。


 愛知県では一反の水田に七貫の魚肥を投じていたので賄うには約120匹必要。


 尚、鯉農法もある。


 一反の水田に前年春に孵化させた体長18㌢、100g程の大きさの鯉を50匹以上放ち、水草を食べさせるのである。


 導入しない場合と比べ収量が2割増加。


 大きさは放流時と変わらないが、水田に放している間の餌は不要。


 ただ鳥獣害が昼だけ放つ合鴨の比ではないので、家蚕が居なければ薪炭林のクヌギ等の葉を食べるクスサンの繭から天蚕糸(テグス)を取って田圃に張る事で鳥害『は』防げる。


 天明年間に信州安曇野でクスサンの人工飼育に成功している為、上手くいけば武田家の国力増大に繋がるかもしれない。


 密度を上げれば雀も阻止出来るが、燕が害虫を食べられなくなるので時期により密度を変えねばならない。


 漁獲後は甘露煮にするのが適当。


 合鴨農法の場合、田圃の虫草だけでは満腹にならない為配合飼料も与えている。


 鹿児島ではクズ米47%、糠23%、魚粉、牡蠣殻計30%。


 畜産の項で鶏に対し帆立殻を8〜9%混ぜていた事や、牡蠣の方が採卵成績がやや悪い事から10%に上げたとして20%が魚粉となる。


 当時は精米に手間がかかるので皇族と公家、管領等幕府の上層部を除き玄米食で、農民はハレの日以外粟や稗も混ぜて食べている為、初年度から合鴨農法の導入は京都周辺と公家の避難先以外は施餓鬼を行う寺から糠を、酒屋から酒粕を貰おう。


 近大は酒粕と共に醤油粕や陳皮を煎じた後の搾り滓を鳥の飼料に転用している。


 豚や魚と競合するが明治以前は九州以南以外養豚しておらず、海産魚の養殖は20世紀以降である。


 清酒や醤油、石鹸製造、ワインの製造や胡麻、椿、葡萄の種等の搾油効率化に取り掛かる上で搾り滓の始末は課題だが、飼料に転用出来れば合鴨農法の導入ハードルは下がる。


 現代では電気柵で囲んだ水田1反に付き10〜30羽の合鴨を放つが、戦国時代にそんな物は無い。


 出穂まで最低10羽生存すれば良いが、移動のストレスや孵化の失敗等も考えると最大値の30羽は飼わねばならない。


 誕生から引き上げまでの98日間に平均7469gの餌を食べ、肥育に1〜2ヶ月かけてその間は1羽辺り毎日100gの配合飼料を与えていた(緑肥も別に必要。ハコベが適当か)


 10羽に減少して肥育を無視してもほぼ一俵のクズ米を鴨に与えねばならない事から搾り滓の転用は急務である。


 秀吉が奨励したが廃れるのも当たり前で、玄米の6割以下しか使わない酒米以外は収量を上げるか飼料代を下げない限り適用は難しい。


 合鴨の導入は除草回数の削減と肉や羽毛等の現金収入を目的とした方が良いが、飢饉に怯える農民の反応は未知数である。


 鴨や鯉の骨にも使い道が有り、骨の主成分であるリン酸カルシウムに硫酸を加えると水溶性で植物に良く吸収される過リン酸石灰になる。


 これは火山灰土と反応すると不溶化する為、堆肥と混ぜて田畑に使う必要があるが収量が上がる。


 英国では骨粉を畑に撒いていたが、過リン酸石灰に変更後効果が4倍になったという。


 合鴨や鯉の体重に占める骨の割合は不明だが、近縁種かつ飛べる雁が13.3%。


 成鳥の合鴨は1.5〜3kg。


 農法産は最大2kgだが品種改良前の為下限として1.5kg。


回収可能な骨重量は最低2kg。


 魚は軟骨、硬骨等の種類や季節により変動し4〜11%。


 鱗0.5〜6%。


 合鴨と鯉を併用して1反辺り2.8kgの骨、鱗が手に入る。


 内17.5%がリンで、現代の多肥に慣れた米が反辺り5〜8kgを必要としている為1/10しか回収出来ないがそのまま捨てるよりマシだろう。


 鶏の骨重は11%


 猪を家畜化した豚が18%


 鹿のデータは見あたらなかったが、同じく角を持つ羊や牛が20%なのでほぼ同程度だろう。


 畜産でも述べたがプリオンが怖いので特定部位は焼却せねばならない。


 硫酸は危険な為、肉食の推進や石鹸製造に伴い発生する骨と共に一元処理するのが無難か。


 海に近いなら採油後の鯨骨が利用出来る為有望。 


 採油後の鯨骨は体重比1割。


 捕鯨対象のセミクジラは成体50〜80t。


 1頭辺り合鴨と合わせて20町歩の水田に撒ける。


 参考サイト


 天蚕糸


 https://azumino-tensan.jp/yamako/yamako.html


 合鴨


 https://lin.alic.go.jp/alic/month/dome/2004/sep/senmon.htm


 https://www.jeinou.com/benri/rice/2009/05/201002.html


 http://haruno-cafe.net/?p=965


 酒粕


 https://shokuhin.net/93124/2024/02/21/%E8%BE%B2%E6%B0%B4%E7%95%9C%E7%94%A3%E6%A5%AD/shokuniku/


 鯉農法


 https://www.naro.affrc.go.jp/org/tarc/seika/jyouhou/H06/tnaes94016.html


 骨粉


 http://ktymtskz.my.coocan.jp/S/medical/med15.htm


 クジラ


 https://museum.suisan-shinkou.or.jp/guide/japanese-love-whales/2827/#:~:text=%E8%93%84%E3%81%88%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E9%85%B8%E7%B4%A0%E3%81%AF%E9%99%B8%E4%B8%8A,%E3%81%AF8%E3%80%9C9%E5%80%8D%EF%BC%89%E3%80%82&text=%E8%84%82%E8%82%AA%E5%88%86%E3%82%9251%25%E3%82%82,%25%E3%80%81%E8%82%89%E3%81%AF1%25%E3%80%82


 PDF


 魚骨の調理による軟化


 wiki


 骨格


 他



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