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ニュー・フェイス  作者: イエロースリープ
3/7

少年と事件

その次の日の昼、エドは病院に来た。

足を痛めていたのだ。

車のドアが凹むほどの蹴りを入れたから、きっと骨折しているだろう。

そう思って、診察して、検査もした。

検査の結果が来たとき、医者から衝撃的な一言が


「かすり傷です。冷やせば良くなります。」


エドは、骨折どころか大きな怪我をしていないことにホッとした。

医者からいろいろ話を聴いて、診察室を退出したとき、近くに少年がいた。

耳を壁に付けたまま、エドの方を見ていた。

しかし、エドは少年のことを気にしてなかったのか、そのまま、病院の近くにあるカフェに寄った。


「ご注文はお決まりでしょうか。」


カフェの従業員がエドに聴いた。

いつものタマゴサンドと、アイスコーヒーを頼んだ。

新聞を読んで待ち、タマゴサンドとアイスコーヒーが来て、金を払って退店した。

そして、近くのベンチで食べながら新聞を読んだ。

それから10分経っても、新聞を読みながら食べていた。

そのあと、ベンチの隣に誰かが座った。

その誰かは、エドに話しかけた。


「こっそり聴いてたよ。車が凹むくらいの蹴りを入れたのに、骨折どころか、かすり傷もしてないのか。」


その誰かは、壁を耳に付けてた少年だった。

かすり傷もしてないことを知って、駆けつけてきたのだ。

続けて少年は言った。


「僕はダリルだ。14歳の学生だけど、毎日、いつも病院で盗み聴きしてるんだ。探偵なんだって?」


「毎日だと?」


エドは、ダリルと初対面にも関わらず失礼なことを言った。

そのとき、ダリルは一瞬戸惑った。

エドはこの発言を失礼だと思っていなかった。

エドは失礼なやつだからだ。

ダリルはエドにこう応えた。


「実は僕、あの病院の患者でね。精神病の患者さ。」


失礼な性格をしたエドでも、さすがに失礼だと思ったのか、すまんと言って謝った。

エドは手に持ってる新聞をベンチに置いて、コーヒーをガブ飲みした。ダリルはその置いた新聞が目に入った。


「去年の刺殺事件のことは書かれてたかい。」


エドが読んでいた新聞には、刺殺事件のことは書かれていなかった。


「いいや、書かれてないよ。なにしろ去年の事件だ。」


そのことを聴いたダリルは少し落ち込んでいた。

未解決事件だから、きっと解決してほしいと思ってるのだろうとエドは思っていた。

そのあと、ダリルは熱く語った。


「あの事件は決して忘れてはならない事件だと僕は思ってるよ。この町で起きた唯一の未解決事件なのに、なぜ夜中は若者で溢れかえっているんだろうか。僕は耳がいいから、まれに聴こえるんだ。黒いコートの男にぶっ飛ばされたとか、車が凹んだとか。」


エドは適当に聴いていたが、最後の『車のドアが凹んだ』ということだけは、心当たりがあったため、最後はなんとも言えない感情になった。

昨日の夜、車のドアを凹ませたからだ。

ダリルはその後も、刺殺事件のことで熱く語っている。

タマゴサンドとコーヒーが飲み終わったあと、ようやくダリルの話が終わり、ようやく内容が耳に入った。


「エド、君は超人だろ? 町を平和にしてくれよ。」




夜、エドは自分の私立探偵事務所でテレビを見ていた。

ダリルの『あの事件は決して忘れてはならない』という言葉に引っかかっていた。

いつもテレビでニュースを見ているが、刺殺事件のことは一切話題にならない。

新聞にも載らない。

この町の夜は一切変わっていない。

そのとき、電話がかかってきた。

またいつものしょうもない依頼か。そう思っていた。

エドは電話に出た。


「病院の近くで女性が刺されてる。早く来てくれ。僕は怖いからもう逃げるよ。」


それは、重大な依頼とついでに、声からわかった。

ダリルからの依頼だった。

ケンカが起きたという依頼は何度も聴く、刺されたという依頼もちょくちょく来るが、ダリルとの会話もあり、気が治まらなかった。





エドは、ダリルの言っていた場所に来た。

病院の近くをさまよっているが、なかなか見つからない。

だんだんと暗いところをさまよっていると、そこには、刺されたまま倒れている女性がいた。


エドは急いで警察に通報した。

しかしそのときには、女性の息は無かった。

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