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法務部の七人の小人に育てられた姫と警察上がりの護衛官  作者: 蔵前
人の心は六法全書で語れない場所
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その後の話 ④ ……てへ。

 私は吉保を再びゆさゆさと揺さぶった。


「ねぇ、ウチに戻って。十八になるまで大人のお付き合いは出来ないもの。でも、あたしはヨッシーと一緒にいたいの。それに、あたしはどうせ婿取りだよ。結婚相手が他で勤めていても辞めさせられて取り込まれるだけだって。だから、ねぇ、戻って来て。それで花婿修行だと思って頑張ってよ。」


 うわぁ、懇願している、と自分を情けなく思った。

 でも懇願というよりも駄々っ子を宥めているシチェーションじゃないかと気が付いて、私はもっと情けなくなった。

 何をしているのって。

 でも、ようやく駄々っ子だった吉保が口を開いた。


「……フェラーリ、乗せてくれる?」


「うん。あなたへの結納品にする。」


「……じゃあ、俺は君に何を返せばいい?」


 それは愛なんだけど、私は彼には別なものを望んでいた。


「あなたの優しさを私だけに頂戴。私以外に優しくしないで。」


 大きな石ころは玄関を震わすどころか、近所迷惑で通報されるんじゃないかというほどの大声で笑い出した。

 そうして立ち上がりながら私を持ちあげるようにしてぎゅうと抱きしめ、そして、なんと、私の額にキスをしたのである。


「ビィは勘違いしている。俺が人に優しくなれるのは、ビィがそこにいる時だけだよ。」


 あぁ、なんてことだ!

 

 私はきゃあと叫んで吉保の首に両腕を回し、私だけの吉保だと彼にぎゅうとしがみ付いた。

 吉保も心地よい低くて素敵な笑い声を立て、私は彼の首元に顔を擦りつけた。


 なんて幸せ!


 顔を上げた私は吉保と目線を交わし、そこでまた嬉しいとフフッと笑った。

 キスをしたい。

 でもそんなことはと、私は渋々と吉保の顔から視線を剥がした。

 視線を動かした先で、……階段に座っている孝子と目が合った。

 彼女はにっこりと笑って、両手の親指を立てた。


 そして、吉保も自分の母親が階段に座って私達を鑑賞していた事を知り、私を抱きしめていた腕を緩めてしまった。

 勿論、私は硬い玄関の床に真っ逆さまだ。


「ビイ!大丈夫か!ごめん。」


 でも、婚約者となった吉保君は、私が望んでいたように、ものすっごく優しく私を介抱してくれたので、全く全然構わない。

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