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法務部の七人の小人に育てられた姫と警察上がりの護衛官  作者: 蔵前
あたしが守る方なのかよ 労働契約法
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養子

 しかし、吉保は寛二郎に意見をするどころか、意外と冷静であった。


「それはもういいよ。それよりも、小森颯こもりはやてが行方不明の殺されたと見做されている巡査でだな、駿河心優するがみゆは社長を騙した女詐欺師だって事の方が問題だよ。」


「うそ!ぜんぶかんちゃん仕込みだったの?」


「ビオ!人聞きの悪い言い方をするなよ。……はぁ、すると、偽物の熊谷は俺が仕込んだ谷崎俊平たにざきしゅんぺいか。」


「そういえばあなたは真鍋の成り代わりの話でそんな事を言っていましたね。あなたが菅野を隠したようにって。」


「そう。俺は菅野を外国の刑務所に送ったが、日本でも生活している実績も作ったの。家族のためにね。菅野に苦しめられていた奥さんを離婚させて自由にさせて、でも、菅野の子供を育てたく無いって彼女は言うからさ、何の罪もない子供達は養子に出してってね。」


「で、あなたのその悪巧みに手を貸した男が谷崎俊平なのですね。彼はどんな。」


「うん?牧の旦那。売れない役者だった牧のヒモ同然の旦那。ぜーんぶ俺への仕返しかな。谷崎は菅野の振りをしたあとに俺から報酬を手にしたからか、牧と離婚しているんだよ。牧の幸せも俺が壊してしまったね。それで復讐で、これは仲間割れで殺されたって事なのかな。」


 吉保ははぁっと息を吐くと、この書類は警察に渡しますと宣言した。


「田神君!君は!」


「社長。これこそあなたが犯人では無いって証拠じゃあないですか。あなたが菅野の遺児のために送金していたというだけの証拠です。ですが、ここに名前のある子供達のうち二人には、これは表に出して欲しくない書類です。父親が性犯罪者の菅野だと知られると困る真鍋と小森は警察官です。」


「いいの?君は元婚約者を断罪する事になるよ。」


 思い詰めた顔をした吉保が口を開きかけ、そして、何かを言う前に見た事のない地味な女性がリビングの入り口でひぃっと私達に対して悲鳴を上げ、そして、この家の玄関へと駆け戻っていった。


「え、誰?今の?」


 そして、その悲鳴を上げた声の主は、混乱した私達以上に混乱した声で警察に助けを求める電話を掛け始めたのである。


「はい。自宅に知らない人達がいます!体の大きな恐ろしい男が二人と、変な扮装をした子供です。はい、急いできてください!」


 吉保と寛二郎は変な扮装をした子供という彼女の言葉の部分を聞くや、仲良く目線を交わして吹き出した。

 体の大きな恐ろしい男の部分はいいのか!

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