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法務部の七人の小人に育てられた姫と警察上がりの護衛官  作者: 蔵前
あたしが守る方なのかよ 労働契約法
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隠し倉庫は誰に聞く?

「で、格好よく病室を飛び出してきましたがね、どこに向かいますか?」


「君ね、ビオがそこまで考えているわけ無いでしょう。この子は素晴らしい当たりの星の元に生まれているだけで、意外と考え無しなのよ。」


 吉保の言葉に相棒のように答えたのは寛二郎で、私は私から助手席を奪った上に私を侮辱した父親の後頭部を後部座席から叩いた。


「いたい!」


「バカにするからよ。ヨッシー、今から言う住所に行ってくれる?あたしの友達に話を聞く。」


「お前の友達に話を聞いて何がわかるんだ。」

「美緒さんの友達に聞く話なんてあるのですか?」


 同時に同じ様なセリフを口にするとは、彼らはやっぱりクローンに違いない。

 私は被っているカツラが吹き飛ぶぐらいの大きなため息を吐き出すと、図体ばかり大きくて総身の知恵が回っていない男達にかみ砕くように説明した。


「亜紀と店を立ち上げた時の倉庫一覧よ。絶対に差し押さえから逃れるための隠し倉庫の一つや二つはあるはずだもの。誰かを監禁するならさ、そういった場所が必要でしょう。」


「あぁ。それじゃあ、牧に聞いた方が良いよ。あいつが見逃さないはずが無い。」


「社長、そうでしたら、未だにその倉庫を使っていたら、牧部長に全て筒抜けなのでは?」


「そっか、牧に聞けばいいのか。」


 しかし寛二郎は自分で話を振ったにも関わらず、私達が牧に話を聞きに行くことには良しとしなかった。


「社長、牧さんが何か?」


「自分の尻拭いをさせたばかりで顔を合わせ辛いって理由じゃないわよね。」


「いや。そうじゃない。俺はさ、マンションとジジイの家が火事だと聞いてね、美緒を速水の家に押し付けるようにしたのにさ、一番行って欲しくない加藤の家に、だろ。ビオが同世代云々病室で騒いでいたしね、ビオの我儘かと思ったが、加藤の話では牧の指示だって言うからね。おかしいよなって。」


「そういえばそうですね。加藤部長の娘の真紀さんは、美緒さんに成り代わりたがっていましたから、普通だったら会わせないようにしますよね。」


 吉保の言葉で、真紀が寛二郎の映像をうっとりと眺めていた姿を思い出した。


「そうだ。真紀はずっとかんちゃんがテレビであたしのことを話す姿をいいなって言っていた。あんな風に愛されたいって。あたしはその時、真紀はかんちゃんに恋をしているからだと思っていたけれど。」


「うん。父親を求めていたんだと思うよ。あのテレビ録画は昨年の冬のものなんだ。あれが放映された日に、真紀はお前の格好をして補導されたんだよ。」

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