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法務部の七人の小人に育てられた姫と警察上がりの護衛官  作者: 蔵前
有志による会社の責任は社員にある 会社法
72/92

峰不二子も結婚詐欺師

「美緒?」


「やっぱりパパは一番だよ。そして、パパも本当にあたしが一番なんだね。だからあたしはずっと美緒のままでいられるんだよ。殺されかけて忘れてきたのは、あたしがただ、悲しいから。ママや他の人に殺意を持たれるのが悲しいから。でも、もう大丈夫。だって、パパが絶対にあたしを守ってくれるのだもの。そうでしょう。」


「あぁ、守るよ。絶対に、何があってもお前は守る。」


「では、社長。認めたところで話してください。真紀を迎えに行った時の事を。」


 寛二郎は私を抱きしめながら、ちぃっと大きく舌打ちをした。


「君は本当に空気を読まないね。普通に真紀を美緒として受け取っただけだよ。この馬鹿娘って、美緒にやるようにね。それだけだよ。落とし物を返してもらうように、受取書にサインしてお終いだよ。真鍋なんて刑事がいても覚えていないぐらいあっさりしたものだったよ。」


「本当ですね。」


「君は社長を疑うの!君は雇われ、僕雇う人だよ。」


「パパ、その疑ってくださいの物言いは止めて。大体パパはりっちゃんとやらの前科があるでしょう。遊んで捨てて恨まれたのじゃなくて?」


「遊んでいません。別れたとは思っていなかったから尚更この件で吃驚よ。りっちゃんは良い子だったよ。きれいで、可愛いし。見る?凄く良い子だったんだよ。」


 寛二郎は自分のスマートフォンを取り出して画面を操作すると、ほらと見せつける様に彼を絶望に追いやった女医の画像を私達に見せつけた。

 赤っぽい茶色のストレートの髪は長く肩先まであり、少々そばかすが浮く白い肌に、化粧もしないが化粧の必要のないぐらい整った顔立ちの若い女が私に微笑んでいた。

 勿論、私の全く知らない女でしかなかったが、いや、少しデシャブを覚える気安さを持ってはいたが、母とも私とも系統の全く違う女であることに、私はスマートフォンを奪って壊したいという発作的な衝動に襲われた。


「あ、こら。」


 私の行動を読んだかのようにスマートフォンを寛二郎の手から奪ったのは吉保であり、彼は今にも吐き出しそうな顔つきでその画面を食い入るように見つめていた。


「ヨッシー、どうした?」


「田神君?」


「畜生。」


「だから、どうしたの?」


「こいつ、女医なんかじゃ無いですよ。男を騙して貢がせるって、有名な札付きです。真鍋はこいつを一度逮捕してから変わりましたね。整形したり、」


「お前を振ったりね。」


「ふふん。君、振られたんだ?」


 人殺しも辞さない眼つきで見返した吉保を寛二郎は優越感に浸る表情で受け止めたが、寛二郎こそ女に弄ばれ金を搾り取られた馬鹿者では無かったのだろうか。


 この、似た者同士め!

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