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法務部の七人の小人に育てられた姫と警察上がりの護衛官  作者: 蔵前
ここはあたしの持ち物なのだ 不動産登記
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十八歳未満は淫行なのに十六歳で結婚が出来るっておかしくね? 民法731条

 秋葉原にある法務局の出張所に辿り着いた私は、自分の先見の明に万歳した。

 窓口には私が電話で会話したばかりの橋本が折詰の弁護士と制服警察を連れ立って既におり、橋本は私の姿を見ると相好を崩した。


「びいちゃん。危ないところでしたよ。」


「詐欺行為にあった善意の第三者に名義変更されかけたか?」


「ただの悪意の第三者に名義変更されかけました。」


「地面師か?」


「地面師にしては間抜けですね。こちらです。」


 橋本が差し出した名義変更の申請書には、昨日の日付はもとより、見たこともない男の名前、熊谷茂と、署名があったのである。

 その申請書類に添付された書類の体をなさない熊谷には証明書であるらしき物には、婚約者である私が、熊谷と結婚するに当たっての所有権移転の契約を熊谷と結んだというもので、未成年後見人である誠二郎の追認署名もあった。


 笑えるほど稚拙な偽造であったが。


「なんじゃあ、これは。」


 不動産登記の名義移転の必要なものは、権利証、実印、印鑑登録証明書、住民票である。

 それらを全部用意できなかった熊谷は、私の偽者を連れて来て、私達は結婚するからよろしくと、申請書を出して門前払いを受けていたらしい。

 説明する橋本どころか、彼の隣の弁護士が笑いをこらえて涙目になっている。


「そんで、この間抜けな熊谷って、一体何者なんだ?」


「お母様の従兄ですね。」


「げげ。橋さん。勝手にこの馬鹿熊谷との婚姻届の提出はされていない?」


「ですから、危ないところだと申したでしょう。この熊谷何がしと貴方のフリをした女は、先に婚姻届を出しに行っていましたよ。貴方には婚姻不受理届けが出ていますからね、受理もされずに我々に連絡が来ました。それで失敗した彼らは、せめて登記簿の名義変更で不動産の搾取をしようと考えたのでしょうか。」


 私は昨年の一六歳になったお祝いにと、寛二郎に勧められるままに婚姻不受理届けを出してある。

 民法731条によると女は満16歳で結婚できるからして、勝手に結婚届が出されたという被害の事例を聞く昨今であれば、折詰誠吉の唯一の孫で遺産相続人の私が事前に備えをしておくのは当たり前だ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >婚姻不受理届け へぇへぇへぇ!(*゜Q゜*)賢くなりました!
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