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法務部の七人の小人に育てられた姫と警察上がりの護衛官  作者: 蔵前
始まりは権利能力の有無から
1/92

序章というか全ての要 権利能力の習得 人として 

本当の法律に対して、無理やりな解釈と事象への当て嵌めをしたらどうなるかな、で書いています。

え、と思われたら、法律書で正しい解釈を確認してください。

また、当方法律を勉強したのがかなり前でありまして、改正前の条文、判例、解釈等があったらすいません。

 民法第三条  私権の享有は、出生に始まる。


 すべての自然人は、出生と同時に平等に権利能力を取得する。

 法律上、人は権利能力の有無で語られ、人の行動は行為能力と意思能力で判断される。

 以上が、序章というか全ての要、となる。



 折詰おりづめ克寛かつひろは名前のとおり折詰弁当で有名な金持ちの長男であったが、金持ちの二代目という世の認識どおりの人望もなく享楽にふけるだけの間抜であった。

そして、世の常であるが、克寛の弟の寛二郎かんじろうの方が人としても経営者としても確実に出来が良いのである。

 しかし、折詰グループの幹部連中は克寛の父誠吉のワンマンぶりに辟易していた。

 よって彼らは父や弟よりも気弱な克寛が跡を継げばグループを好きにできると考えたのか、寛二郎よりも克寛を推していたのであった。


 しかし、凡夫が描いた絵が通るほど世の中は甘くはない。


 克寛は持ち前の浅はかさで自分を殺したのである。


 海外の支社の一つでの出張中に、深酒をしたそのまま、高級車を運転しての街路樹に激突という、とても残念な死にざまだ。


 会社を克寛の代で折詰家から掠め取ろうと目論んでいた者達は悲嘆にくれ、けれども、後継者として克寛の椅子に寛二郎が座った途端に彼らは自分の身の上をも嘆く事になるのだとは思ってはいなかった。


 即ち、寛二郎を軽くあしらい克寛を擁していた者達が寛二郎に敵とみなされていたのは当たり前であり、彼らはごっそりと子会社への出向を命じられたのである。


 そんな彼らを助けたのは社長の誠吉であった。

 彼は克寛の部下である彼らを、せめて克寛の一周忌までは折詰グループに留めておくものだ、と寛二郎を諭したのだと幹部達は人づてに知ったのである。

 彼らは改めて誠吉に尊敬の念と忠誠を誓った。


 ……誓ったのであるが、そんな時であった。

 社長室での不穏な密談を、幹部の一人が立ち聞きしてしまったのである。


「おい親父。一周忌まで折詰グループって、一周忌過ぎたら首ってことか?」


「当たり前だろう。あいつらが甘やかすから可愛い克寛があんな恥ずかしい死に方をしたんだ。世間体もあるからあいつらを一年は飼うがその後は知らん。退職金だって出さないで解雇にしてやる。あいつらには克寛を失った咎を受けてもらいたいからね。」


「親父最低。あんたが馬鹿みたいに甘やかしていた事実は無視か。あんたは金勘定は上手いが飯作りも子育ても下手だよな。知っている?折詰の味は徳三爺ちゃんあってこそだったってさぁ。あの人が死んでから業績が駄々下がりじゃねえか。どうすんの?どうして徳三さんを大事にして徳三さんの後継者を育ててなかったかな。」


「黙れ!」


 社長室の経営者親子の会話は、立ち聞き者によって哀れな一年後の失職者達に伝わり、彼らは父親よりも人間味のある寛二郎を攻略するべく方向転換をすることに決めた。


 では、どうやって寛二郎を攻略するべきか。


 そうだ、徳三爺さんをさがそう!


 そうして彼らが自己保身の最後の綱である、誠吉の共同経営者であった今林徳三の親族に接触へと動いたことで、話は再び動いたのである。


 つまり、今林徳三には弟子はいないが孫娘はおり、その孫娘の腹には克寛の子供が育っていたのだ。


 つまり、私、だ。

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