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第1話

「あーあ、なんでこんな高校入っちゃったんだろう」


アタシは大きなため息をついた。


入学してもうすぐ1年。夢見ていたものとはほど遠い高校生活にそろそろうんざりしている。


 アタシは県内屈指の進学校、S高校に通っている。だが、合格発表を見たときが人生のピークだった。地元は神童と呼ばれていたアタシは、いささか高をくくっていた。中学なんて、授業中寝ていても100点取れてたのよ。高校でも大丈夫、と。甘かった。入学後一瞬で授業について行くことができず、見事に落ちこぼれた。そのくせ授業中の睡眠だけは相変わらず続き、今では再テストの常連客だ。


 そしてS校は女子校でもある。


 女子校と聞いて何を思い浮かべるだろうか。男子禁制の花園。女同士のドロドロとした争いが繰り広げられる戦場。あるいは、おしとやかな美少女たちが恥じらいながら百合百合してーーおっと、誰か来たようだ。


ーーとにかく、女子校に対するイメージとは大方そんな感じであろう。


 それは大いなる誤解である。


 女子校とは、要するにゴリラが沢山いるところである。そもそも、女子とは本質的にはゴリラなのである。オスの目の前ではうわべを取り繕っているだけだ。オスがいない環境で彼女たちはどのような行動をとるだろうか?答えは自明である。そして、オスと出会うことのないまま自由気ままに3年間を過ごし、彼女たちは社会に解き放たれるのである。


 話を戻そう。 


 アタシは失望していた。課題の山。追試に次ぐ追試。しきりに塾を薦めるパパとママ。睡魔。女子力の欠片もない友達ゴリラ。そして、なにより出会いのなさーー。


 思い描いていた高校生活はこんなんじゃなかった。せめて、イケメン彼氏はつくるつもりだったのに。そりゃあ、女子校を選んだのはアタシだけど、ここまで男子と関わらない生活ははっきり言って異常だ。最近、町中ですれ違う男の人が“若い”というだけでイケメンに見えてくるようになってしまった。もはや若くなくてもイケメンに見えるときがある。


 アタシ、病気なのでは?ああ、恋多き乙女に女子校は合わなかったのねーー。


 変わりばえのしない帰り道を一人歩く。鈍色の空は今にも泣き出しそうだ。傘を持たないアタシは自然と早足になる。無意識に独りごちた。


「カレシ降ってこないかなあ」 


 神代から使い古されてきた冗談だ。でも、今アタシは切実な思いでこの言葉を口にしている。それほど追い詰められているのだ。この殺伐とした学校生活を乗り切るためには心のオアシスが必要なのだ。アタシにとって、それはカレシなのだ。


 欲しい、カレシが欲しい。イケメンでなくていい。何ならイエメン人とかでもいい。降ってこい、降ってこい、降ってこいーー。


 ビチャッ。


 空からカレイが降ってきた。

ダジャレです、すみませんでした。

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