魔王、死亡?
毎日投稿は明日までなのでそれからはゆっくりペースになると思います
『勇者』とキールドラゴンは睨み合う
その影にはギルドバートの姿があったのだが、そんなこと他の村人は気付いてすらいない
だ
村人はさっさと避難を開始している
が流石というべきだろうか
勇者だけはその視線に気付いていた
(あの人……何やってんのかな?)
(勇者……動かないがどうしたんだ?)
全く動かない両者の間に割って入る様にキールドラゴンが勇者に向かって火球を放った
その大きさはRPGゲームで見る様なテニスボールサイズな訳がない
種類によってはもちろんそれくらいの火球を放つ種もいるが、だいたいドラゴンと呼ばれるものはその細長い口からは考えられない様な
ホッチキスの様に口を大きく開いて半径約1.5mほどの火球を豪速球程ではないもののなかなかの速度で放ってくる
もちろんそれは一般人が簡単に防げる様な代物ではない
「ちょっと黙っててッ!」
(軽い身のこなし……流石だな)
口を開く動作からの反応速度が早い
それに身のこなしが軽い
火球に掠る気すら感じない
流石勇者だ。と言いざるを得ない
「天空斬造剣!!」
(……?)
勇者がその叫び声と同時に天高く飛び上がり、真空波を造るほどの速さで斬撃を食らわせた
いや、大事なのはそっちではない
ネーミングセンスだ
天空斬造剣
幾ら何でも破格のネーミングセンス
実力は確かにあるんだが
現に『天空斬造剣』を食らったキールドラゴンは体や尻尾を細切れに切られていた
(だがキールドラゴンは尻尾だけでも動く……さて、どう出るか?)
「これで終わりだな」
(⁉︎)
勇者の戦いは終わった……?
まだキールドラゴンは倒せていないのに
あとは村が処理をするのか?
キールドラゴンは尻尾だけでも強いというのに……?
そう考えている間にもキールドラゴンの尻尾は動いて勇者の息の根を止めようと動いているではないか
(誰も気付いていないのか……⁉︎)
「いや〜今日も疲れましたな〜♪」
勇者以外全員はもう安全区まで避難している様だった
このままでは勇者は
人間の希望は
キールドラゴンに
人間の絶望に
殺されてしまう
心の奥底に眠る人間の本能がそうさせたのだろうか
「危ない!!」
「ふぇっ?」
(……何やってんだ私は)
気付いたら勇者の体を突き飛ばしていた
もちろん代わりに自分が狙われている
勇者は自分が突き飛ばしたんだ まだ気付けている訳がないだろう
もしかしてもう死ぬのだろうか
全てが謎のまま
「あ、尻尾……」
「ぐッ……!」
ギルドバートは消え行く意識の中最後に見たのは、緊迫した様子で私を見つめる『勇者』 の姿だった
次回
魔王、勇者
生命の余罪を、また虚空に刻み込もう




