表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/68

第5話 話をまとめよう

 城下町での情報収集と買い物も一通り終えて、俺がいたのは城門だった。城門は、特に出入りにチェックが入ることもないらしく、人々が勝手に出たり入ったりしている。一応、衛兵が見張っているが。

 また、電話をする。相変わらず、電池のマークは∞になっていて、減る様子は無い。

 呼び出し音が鳴り続けるが、出てくる様子がない。


「ん? 」


 しつこく待っているとようやくつながった。


「あーもう、人がお風呂に入っているときに呼び出すんじゃありません」


 ちょっと不機嫌な声が聞こえた。


「しらねーつーの」


 こっちは、そっちの様子がわからないんだがな。


「一応ね、チャットできるアプリも入れておいたから、そっちも使ってよ」

「そんなマークのアプリは、そういえばあったな。わかったよ」

「で、どうだったの? 」


 機嫌がもうなおったのか、普段の声色に戻っている。


「どうもこうも、城下町はうどん屋だらけだった」


 ありとあらゆるところにうどん屋があった。酷いところだと、お隣三軒と向かい三軒がうどん屋だった。しかも全部盛況だったりする。どうやら、この国では、自宅で料理することが少なく、食事は専ら、外食か買ってくることが多いらしい。忙しさの問題なのか、効率の問題なのか、単にそういう文化なのかまでは判らなかった。


「だが、やっぱり、妙なことになっている気がするな」

「なにか気になることでもあるわけ? 」

「とりあえず、集めた情報だが」


 それは次の通りだ。

・香川国は、12の現地民の国に作物や道具などの様々な便利な道具を提供している。


 もっとも、それはタダではなく、様々な資源と引き替えらしい。


・この世界には、魔法が存在する。この世界の魔法は、魔方陣を描き、魔石を使うことで発動できる。


 俺を召喚した方法もこれだ。魔石は、鉱物資源と同じく鉱脈に埋まっているらしい。見せてもらったが、紫色の水晶のような石だった。


・香川国建国以来、他国に攻めてきた事実はない。全ての国に対して、原則は専守防衛を通達している。

・香川国に行ったことのある商人曰く、見渡す限りの広大な畑があり、実っている麦を食べる鉄の化け物を見たことがある。

・条約の要約としては、国同士の戦争禁止、香川国は技術を提供する代わりに、他国は金銀鉄銅等の鉱物資源、食料品、日用品などの消耗品、さらには奴隷を提供すること。また、香川国の人間が犯罪を犯しても、現地の法律を適用しないことなど、香川に優位な条約内容だった。


「奴隷か。文明レベル的に、いてもおかしくなさそうね」

「それはそうなんだがな。色々と焦臭いことになっている気がしてならない」

「その心は? 」

「これは、47都道府県全てに言えることが、例えば農業。異世界でそう簡単にチートできるのかって問題がある。現代農業は、機械化、農薬、品種改良による恩恵が大きい。だが、転移したこの世界にはオイルが無い。つまり、転移時にあった分だけがリミットってことだ。それに、資源が無ければ電気もないし、ガスもない。エネルギーが切れたら、あっという間に現代農業なんて頓挫する。農薬だってそうだ。化学薬品をつくる材料もないだろう。堆肥で補っている可能性もあるが、防虫剤はどうするのかな」

「ふむふむ」


 実家が米農家だから、そこそこ農業の大変さは身をもって知っているつもりだ。その大変さから機械や農薬が無くなったら、果たしてどうなるか。


「つまりな。約2年前に転移してきたはずなら、とっくにオイルも資源も尽きているだろう。恐らくは、そう簡単に現代農業でチートしているとは考えにくい。まぁ、その代用として奴隷を労働に使っている可能性がある」

「ありそうな話だね」

「ま、農業を例えに出したが、それ以外のことも大抵は、チートするための資源が無いという結論に達している。魔法の力でなんとかしているかもしれないがな。そして、俺の想像と勘も混ぜると、香川国は生活水準を一定以上に維持するために、文明レベルの高さを利用して、他国を暗に強請っているんじゃないかと結論を出した。戦争しないなんて言いつつ、実情的に支配しているに近い現状だしな」

「そういうチートしているって事か」


 まぁ、それをどう考えるか。生きるために必要と考えるか、かつての列強の植民地支配を思い起こすのか。それはまぁ、人それぞれか。

 もっとも、推測の範囲を超えない部分も多いが。


「まぁ、県民つーか国民の総意なのか、指導者の判断なのかまでは判らんが、少なくとも、俺の知っている普通の日本人がいると期待しない方がいいだろうなってこと」

「うん。だろうね。野生化していたりして」

「約二年で、そこまでいかんだろ」


 百年たっていたら、コンクリートジャングルが植物だらけになって、滅んでいたりはありそうな気もするが。これも香川にだけ当てはまるわけでなく、エネルギーを外部に頼っている都市なら全てにあり得る話だ。


「とりあえず、一応モーニングスターもあるが、荒事となる可能性もあるし、スキルアプリについてもっと詳しく教えてくれ。戦闘に使えるのあるんだろ? 」

「ははは! 任せなさい」


 とりあえずは、俺もスキルで武装します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ