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第25話 戦おう

 何かが空を切り裂きながら飛んでいく。

 何かがサラマンドラに直撃し、爆発した。

 俺は、靴の裏から一瞬だけ炎を出して、飛んでいき木の陰に隠れた。木の幹を盾に……盾になんてならないだろうが。

 煙が晴れてくると、サラマンドラは悠然とたたずんでいる。鱗が何枚かがはがれ落ちたようだが、その程度。さらに鱗の下にはどうやら新しい鱗。複合装甲ですかそうですか。


「無反動砲がほとんど効かないか」

「化け物め」


 俺のつぶやきに、いつの間にか隣に来た歩兵も忌々しそうに呟く。

 放水は、続いているが、正に焼け石に水といった程度だろうか。一応、サラマンドラの周囲は少し温度が下がっている様なので、全く意味がないわけでもない。しかし、攻撃として効いている様子は無い。

あちこちの林の影から射撃が散発的に続いているが、それもあまり効果が無い。ふむ、あの鱗で防具作ればかなりの性能になるだろうか。

 そんなモンスターつながりで、モ○スターハンターのような事を考えていた。

 しかし、何故だろうか、戦闘というのに自分がやけに落ち着いている気がする。スマホを使って、こっちも死なないがあちらも死なないというのは、ゲームとして成立していないので面白くもないが、恐怖もない。いや、怖いはずなのに怖くない。元々、そういう性分だっただろうか。


「どうしたら……」


 隣の歩兵が、不安そうに言うが、俺もどうしたらいいか判らない。

 現状、有効な攻撃手段が無いか。つまり、撃破不能。では、追い払うことを考えてみるか。追い払うには、何が必要か。サラマンドラの苦手な物があれば、逃げていくだろうか。苦手な物が何か、食べ物、匂い、音、毒素、天敵、あるかもしれないが、判らない。


「ええい、どうする」


 苦手な物が判らないなら、逆に好きな物、得意なものを考えて、推測してみよう。

 あのサラマンドラは、体温が高く炎を吐く、故に、高温や炎には強い。次に、泳ぐと言うことは、水にも強い。なんで、こう、色々と強いんだ。


「埒があかないな」


 現状、サラマンドラには散発的な攻撃が続くが、サラマンドラは悠然とたたずみながら時々炎を吐いて、林を燃やしている。また、放水車への攻撃をしよう物なら、相殺する必要があるが、今のところ、その様子は無い。

 しかし、トカゲなら変温動物のはずだが、熱を発しているサラマンドラは恒温動物になるのだろうか。

 ふむ、熱を発する器官を持っているが、基本的には変温動物と仮定しよう。体温低下で動けなくなるはずだが、熱を発する器官を有している故に、夜間でも動き回っていると。

 逆に温度を下げてやれば、そう例えば、まともな動物並みに下げてやれば、あのサラマンドラはどうなるだろか。


「もしかして」


 一つ、疑問だったことがある。

 あのサラマンドラはここで、何をしていたのか。

 恐らく、泳いできて休んでいたのだろう。もしかすれば、あの巨体故に、魚介類を補食していた可能性もある。だが、陸に上がれば攻撃される可能性を学習していたとして、それでも、陸に上がってきたのは、休む以上に、体温を上げる必要があったとしたら。


「実は、考える必要もないぐらいに、意外と単純な理屈か? 」


 やっぱり、冷やせばいいのではないだろうか。それも、放水程度ではなく、大量の水を浴びせつけるぐらい。そうすれば、周囲の温度も下がって、こちらの安全もあがる。


「海まで押し戻せるかどうか」


 俺の炎がろくに効かないが、さて、どうするか。

 そう、思っていたときだった。

 空を切る何かが、真上からサラマンドラに落ちてくる。

 何かはサラマンドラに当たってはじけ飛んでいき、さらに周囲に降り注いでくる。

 これは。


「水? 」


 サラマンドラを中心に大量の蒸気があがりつつ、土砂降りのような雨が林全体に降り注いでいく。俺も歩兵もずぶ濡れになっていく。

 なんでこう、一日に何度もずぶ濡れになるかな。

 しかし、好機か?

 だが、何が起きた?

 異常気象? ゲリラ豪雨? いや、巨大な水の塊がサラマンドラにぶつかって、それが弾けて降り注いだだけだ。だが、こういった不可思議な現象なら、答えは一つだろう。


「魔法か? 」

「でも、誰が……」


 歩兵さんの疑問も当然だが、サラマンドラの動きが僅かに鈍っているように見えるのも事実。しかし、水がまだ足りないのか、鱗が赤褐色に輝き始める。まだ、あれの体温はかなり高いな。

 そう思ったときに、けたたましい爆音とともに何かがサラマンドラに撃たれている。

 自衛軍の銃声とは違う爆音のような連続的な銃声だ。

 そして、その射撃手は姿を現した。

 暗がりだが、金色の髪色で紺色のスーツに身を包んだ男で、両手で構えられているのはトンプソン・サブマシンガン、通称シカゴ・タイプライターと称される短機関銃だ。

その謎の男はわざわざ、こう言った。


「異世界救済士、アレクサンダー・ワトソン。ここに参上」


ここで、新キャラ?

 同業者?

 というか、誰?

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