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『我々は、貴国とは手を切らせてもらう。これは王と話し合い、タシマンの神子様の御告げだ。』
きっぱりと言葉を放つ男を、静かに見詰める。
銀髪の青年は、その言葉を待っていたかのようにニヤリと口元を歪ませた。
「…それは良かった。此方も賛成ですよ?貴国が、【自滅】をしてくださって。」
『なッ、何を…』
男より銀髪の青年のほうが行動が速かった。
青年は、何処に隠してあったのかナイフを男の首に一閃した。
苦しむ暇なく、男は赤い水溜まりに力なく倒れる。それは余りにも呆気なかった。
青年は亡骸をただ、見詰めていた。
赤い水溜まりは彼の革のブーツを呑み込んでいった。
白い翼はまだなにも知らない無知の色。
黒い翼は全てを知り、それを戒め伝えるための翼。
黒は何を混ぜても全てを知らずして成ることは無い。
黒は全てを包み込む。
黒は貴方の影の色。
貴方を********色。
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月明かりに照された壊れた古城の上に影がうつる。その影は微動だにしない。
ある人を待つため、または、壊すため今もなお眠ることはない。