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第16夜

約一年2ヶ月ぶりの月狩更新です(汗)



更衣室から出た直後に犯人の一人と遭遇して殴り倒すというアクシデントに見舞われた龍星だったが、その後は順調にフロアに向けて進んでいた。

「(狩りの基本は足音を極力消し、気配を完全には消さずに周りに溶け込ませる事・・・・・・。母さんに感謝だな)」

かつては凄腕のハンターであった狼の獣人の母・美桜に幼い頃教わった事を龍星は思い出しながら進んで行く。

「(母さん言ってたっけな。狼に取って狩りは日常の事。獲物を仕留め損なうという事はその日の糧を得られないという事)」

因みに美桜はこの台詞の後【まぁ、母さんは獲物を逃がした事は無いけどね~♪犯罪者は獲物よ~♪あお~ん♪】と言って幼い龍星におどけてみせたのだが。


さて、龍星がフロアに向かっている頃、深紅とせりかさんはというと。

「せりかっかー♪」ぐーりぐり。

「」びくんびくん

「せりかさん、龍星が殴り倒した犯人に葱刺しとらんと行きますえ?」

龍星が殴り倒した犯人の一人の尻に葱を突き刺しぐーりぐりとねじって遊ぶせりかさんを深紅が(たしな)め先を促してたりする。

「かっかー♪」ぴょん。もぞもぞ。

「あん。せやからせりかさん?わっちはつぐみ程胸があらへんから入っても楽しないやろ?」

「せりかっかー」

「さよか。少々時間取られましたよって急いでフロア周りを片付けますえ」

そう言って深紅は狐耳と尻尾を生やすとせりかさんを胸元に入れたまま足音を立てずに駆け出すのであった。

尚、深紅の疑問にせりかさんが何と応えたかだが、

【つぐみにはつぐみの、深紅には深紅の良さがあります。深紅のお胸はふにふにで心地好いですー】

だったりする。


一方龍星はフロア内に潜入して様子を伺っていた。

「(慎からの情報通り、フロア内の犯人は五人。顔を隠してはいるが人族ではないな。他の四人は分からねぇがリーダーっぽい奴は獣人だな。さて、慎は何処に・・・・・・居た居た)」

龍星は目的の人物を見つけ出すと音も無くその人物の背後に忍び寄った。

「(慎)」

「(その声は龍星ですか?)」

「(応。今縄を解く。速攻で鎮圧するぞ)」

「(待って下さい。それだと人質に危険が)」

「(大丈夫だ。外に深紅とせりかさんの気配がある。俺達が暴れ出すと同時に深紅とせりかさんが人質達を逃がすだろうよ)」

慎と呼ばれた女性と龍星は互いにしか聞き取れない程の小さな声でやり取りをしていた。

「(慎、速攻はお前の為を思って言ってんだぞ。銀行強盗なんぞに捕まって人質になってた事が母さんに知れてみろ。どうなると思う?)」

「(・・・・・・理由話したら勘弁してくれませんかね?)」

「(母さんなら恐らく人質を取られる前に片付けなきゃ駄目よ~とか言ってお仕置きだろうな)」

「(・・・・・・師匠なら間違い無くそう言いますよね(汗))」

「(つー訳だ。銀行の外には野次馬やらマスコミやらが集まってたからな。さっさと片付けてさっさと逃げるぞ)」

そう言うと龍星は慎の腕を縛るロープに手を添えて引きちぎった。

「なんだ!?」

「龍星、リーダー格は私がやります。他の雑魚は任せても?」

「ふんっ!!任せろ」

慎が立ち上がりながら龍星に言うと龍星は気を込めて深紅の幻術を吹き飛ばしながら慎に応えた。

驚いたのは強盗達だ。

いきなり何かが千切れた音がしたと思ったら人質の一人が立ち上がり、その背後に先程まで居なかった大男が急に現れたのだから。

しかし強盗達は直ぐに立ち直ると人質に向けて銃を構える。

驚きから立ち直るまで僅か十数秒程度。

だが、深紅とせりかさんに取っては十分過ぎる時間だった。

「よいさ」

瞬時に人質達の前に現れた深紅が自身を基準に念の為に物理障壁を張る。

「せりかっか!」

そして深紅の胸元から飛び出したせりかさんが人質達の足下に不思議穴を開いた。

『ひあーっ!?』

当然人質達は重力に従い不思議穴へと落ちて行くのでした。

尚、人質の皆様は外に送り出されたのでご安心下さい。


「さて、これで暴れても大丈夫ですね」

慎がニッコリと微笑みながらリーダー格の男へと近付いていく。

「せりかっか♪(やらないか♪)」ずん。

「アーーーーーーーッ!?」

せりかさんが四人の雑魚の一人の尻に葱を突き刺し、

「ほい」

「あっちぃぃぃぃぃっ!?」

深紅が狐火で犯人の一人をアフロに変え、

「あらよっと」めきょめきょめきょ

「ぎゃあああああああああっ!?」

「顔がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

龍星が残り二人の顔を鷲掴みアイアンクロー(手加減少な目)の刑に処した。

「くそっ!こうなりゃ女だろうが容赦しねぇぞ!!」

バキバキと音を立てリーダー格が転身する。

「女・・・・・・ですか。まぁ、自分の容姿は分かってますからダメージは少ないんですけどね?」

慎はぽそっと呟くと虎の獣人へと姿を変えたリーダー格に対し構えを取った。

「一つ訂正を」

『グルァァァァァァァァァッ!!』

襲いくるリーダー格の攻撃を少ない動きでかわしながら慎はリーダー格に告げる。

「私の名は桐生慎一。こう見えてれっきとした男ですので悪しからず」

慎・・・いや慎一はリーダー格の動きに合わせくるりと身体ごと廻るとその勢いを利用してリーダー格の男の腹に凄まじい威力の回し蹴りを叩き込んだ。

『が、は、ぐふぅ』

男は腹を押さえてよろよろと後退しそのまま床へと倒れこみ意識を手離すのであった。


リーダー格の男が倒れた後、龍星達は銀行内に居る犯人達をしばき倒しロープで簀巻きにしてフロアに転がしておいた。

無論リーダー格の男は封力錠をかけた上で簀巻きにしているので警官隊には被害は出ないだろう。

「さて、俺と深紅は警察にコイツら引き渡すから、慎はせりかさんと一緒に外で待ってろ」

「慎さんの事はわっちらで誤魔化しときますよって安心しておくんなまし」

龍星と深紅は慎一にそう言ってせりかさんを慎一の肩に乗せた。

「・・・・・・すいません。御言葉に甘えます。せりかさん、お願いしますね?」

「う"ぁーい♪」

慎一は肩に座るせりかさんのほっぺを撫でると床に置いてあった自身のバッグを手に取った。

その後、せりかさんが開いた不思議穴に飛び込んだ慎一は無事につぐみ達と合流した。

「はじめまして、私は桐生慎一。一応うさぎ屋の初期メンバーの一人で龍星とは彼の母親の美桜師匠の下で切磋琢磨した兄弟弟子ですよ」

慎一はつぐみの頭を撫でながら初めて会うメンバー、瑠美・鞘香・兎季・芹香に挨拶をした。

尚、慎一はつぐみとは面識がある。

修行(という名のシゴキ)中に龍星が幾度となくつぐみを懐にいれて修行場にやって来ていたのだ。

因みに、つぐみは女顔の慎一を今の今まで女性だと思っていた為、慎一の自己紹介を聞いて驚いていたりする。

「君がりゅうくんの言ってた兄弟弟子の人なんだね。ボクは右木芹香。りゅうくんの恋人でパートナーだよ。よろしくね♪」

「私は西崎瑠美。よろしくお願いします先輩♪」

「御剣鞘香よ。よろしく」

「私は兎季。私も一応初期メンバーで貴方の事は名前だけ知ってたわ。よろしく♪」

「結華・(オーリア)・シュタインだ。って知ってるよな。久しぶりだな慎一」

「えぇ、お久しぶりです結華さん。セイガーさんの事はギルドで聞きました。葬式にも出れずに申し訳ありません」

「気にすんなって。今度線香の一本でもあげてやってくれ」

「はい。必ず」

結華は慎一の背中を軽く叩きながら言うと慎一は笑顔で頷いた。

尚、うさぎ屋の初期メンバーでもある芹香と兎季が慎一を知らない理由は龍星がハンターになってうさぎ屋を立ち上げた際に居なかったからである。

うさぎ屋を立ち上げた時に居たのは、つぐみ・冬樹・深紅と龍星に慎一である。

慎一は立ち上げて直ぐに美桜の指示でうさぎ屋メンバーに名前を残したままエビルズタウンを離れる事になり、その後加入したのが芹香・結華・兎季・亮である。

言うなれば慎一はうさぎ屋の立ち上げメンバーなのである。


犯人達(内三人程尻に葱が刺さり、一人アフロになっていた)を甲崎率いる警官隊に引き渡した龍星と深紅はつぐみ達に合流すると龍星に飛び付いてきたつぐみを懐に入れ、荷物を持つとうさぎ屋に向かって歩き出した。

「所で龍兄、ずっと気になってたんだけど、なんでうさぎ屋って屋号なの?」

瑠美が龍星にうさぎ屋の名前の由来を聞くと龍星はつぐみを撫でながら、

「うさぎ、此処に居るだろ?」

「みゅー♪」

つぐみがウサミミをピコピコさせるのを見ながら龍星はそう答えた。

「つぐみんが由来だったんだ(汗)」

「最初はもっと違う名前にする予定だったんですけどね。うさぎ屋と言う名前だとハンターのやっている店には思われないでしょう?私達ハンターは強硬派や他の犯罪者達に恨まれていますしね。丁度良いという事でうさぎ屋にしたんですよ」

汗を流す瑠美に慎一が補足する様に告げる。

「因みに私も一応ハンターだけど龍星達みたいに強くないから、うさぎ屋の受付を担当しているのよ」

「ボクも戦闘は苦手だから最初はうさぎ屋の事務として雇われたんだ」

兎季が自前のウサミミをピコピコさせ芹香が猫耳をにゃっと生やして瑠美に告げた。

「芹ちゃん、私より弱いもんね」

「つぐちゃんだってボクと五十歩百歩じゃないか」

龍星の懐からつぐみが芹香にそう言うと芹香はぷくっと頬を膨らましつぐみの頬っぺをつつきながらつぐみに言い返した。

「ふみゅ~」

「つぐちゃんの頬っぺは癖になる柔らかさだね♪」

ぷにぷにとつぐみの頬っぺをぷにる芹香は笑顔である。

そんなつぐみと芹香のやり取り、というかじゃれ合いをほっこりとした笑顔で見守る龍星他一同だった。

尚、活躍したせりかさんはというと、

「すぴーzzz」

「よしよし、今日は疲れましたやろ。ご苦労様や」

深紅の胸元に入り込んでお休みの真っ最中。

そんなせりかさんを優しく撫でる深紅さんでした。

後日、何処からか慎一が銀行強盗の人質になった事を聞き付けた美桜(一色が美桜に聞かれて話した)がうさぎ屋を訪れ、龍星と慎一に話を聞き、

「強盗ごときに人質を取られる前に制圧しなきゃ駄目よ~?二人共、お仕置きね~♪」

と言われ美桜(十数年ぶりのバトルモード)に大空の広さを教え込まれる龍星と慎一の姿があったりするのだが、それは完全無欠に余談である。


【オマケ1】

美桜(Bモード)「おらよ!」龍星&慎一を同時に投げ飛ばす。

龍星&慎一「「ぎゃああああああっ!?」」←美桜に空へと投げ飛ばされた。

つぐみ「お兄ちゃぁぁぁぁんっ!?慎さぁぁぁぁぁん!?」

芹香「りゅうくぅぅぅぅんっ!?」

深紅「・・・・・・美桜はん相変わらずのお人やな」

白姫「わふ。おば様今日は張り切ってましたの。お兄様達を鍛え直すのよ~♪って。因みにおば様に人質の件を教えたの一色さんですの」

龍星「一色、覚えてろてめーーーーーーっ!?」

慎一「っていうか龍星は関係有りませんよね!?人質になったの私ですよ!?」

美桜(Bモード)「あー。ま、良いんじゃね?」

バトルモードの美桜さんは万里シゴキ中の千里さんよりアバウトなお人でした(笑)



【オマケ2】

慎一がうさぎ屋に戻ってきた日の深夜23時50分。

龍星と芹香の寝室の片隅に置かれたせりかさん在中と書かれた段ボールがごそごそと動き始める。

「かっかー」くしくし

段ボールの中から出て来たのは昼間活躍して疲れ果て眠っていたせりかさんである。

せりかさんは段ボールから出ると周りを見渡し龍星達のベッドに置かれた時計を見た。

そして間もなく日が変わる事に気付くと慌てて部屋から出ていった。

とててっと走るせりかさんが向かったのはつぐみの寝室。

せりかさんはそっと中に入ると、時計を確認。まだ日が変わってないことを確かめるとつぐみの胸元へと入り込んだ。

そして、

「せりかっか♪(どんな日も1日1回つぐもちゅり♪)もちゅ~♪」

「ふみゅ~///」ピコピコ←うさみみ生えた。

眠るつぐみのお胸をそっともちゅった。

実はせりかさん、1日1回つぐみをもちゅる事を日課にしていたりする。

次の日、眼を覚ましたつぐみは自分のお胸をもちゅりながら眠るせりかさんに苦笑する事になるのでした。


【どんな日も1日1回つぐもちゅり。(季語なし、字余り。せりかさん心の句)】


終われ(笑)


慎一合流でうさぎ屋勢揃い。

後は万里が帰って来るだけです。


次回は万里の修行と千里さんが山奥に暮らしている理由でも書こうかしらねぃ。

尚、千里さんが山奥で暮らしているのは別に人嫌いとかじゃ無いですよ?

一応ちゃんとした理由があります。

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