プロローグ
先ずはプロローグです♪
コツコツと夜の街に靴音が響く。
靴音の主は若い女性で濡れ羽色の腰まである髪を靡かせて颯爽と歩いていた。
周りは街灯も無く薄暗い道で住宅街ではある物の人気は無い。
『お嬢さん?暗い夜道の一人歩きは大変危険ですよ?』
何処からともなく何者かの声が響いた。
女性は立ち止まり辺りを見回すが当然周りには誰も居なかった。
「気の所為だよね?」
そう言って再び歩き出す女性に再び声がかけられる。
『危険ですよ?何故なら……』
「誰!」
『吸血鬼が貴女を狙って居ますからね!』
叫ぶ女性の目の前に黒い影が突如降ってくる。
「キャアアアアアッ!……なんてね♪」
女性は悲鳴をあげたかと思うといきなり微笑み舌をチロッと出す。
「種族『妖魔・吸血鬼』のジルバさんだね?」
※妖魔・この世界に住まう3つの種族の一つ。
人間達と共存を望む共存派と人間達を支配・征服しようとする強硬派に別れている。
「な!何故私の名を!」
「ボクはハンターの右木芹香。ここ最近の連続女性失血死事件の犯人として貴男を拘束するよ?」
右木芹香と名乗った女性はハンターライセンスと呼ばれる資格証を提示すると臨戦態勢に入る。
「……」
だがジルバは芹香の方を見て呆けていた。
「な、何?」
「……お嬢さんいくつ?」
「え?18だけど?」
「……ギリギリか。いや、見た目を考えたら俺のストライクゾーンど真ん中だよな?」
ジルバは芹香に年を尋ね芹香が答えると何やらブツブツと呟いていた。
因みに、芹香の身長は150センチ。見た目だけなら中学生でも通るのだ。
「よし!お嬢さん、これからおじさんと良いことしないかい?」
「……はい?」
「いやぁ、実はお嬢さんの容姿がおじさんのストライクゾーンど真ん中でね〜♪ロリ巨乳なんてめったに味わえないし、どう?」
「ロリって言うな!」
芹香は思わず巨大なピコハン(どっから出した?)でジルバにツッコミを入れる。
「しかも、気が強い!良いねぇ♪益々好みだよ♪ほらほらもっとおじさんを虐めておくれ〜♪」
ジルバは何故か服の前をはだけて芹香に迫る。
「うにゃーーっ!?変態だああああっ!」
芹香は猫のような悲鳴を上げると常人では考えられないような跳躍で民家の屋根の上に飛び乗る。
「フ―――――――――ッ!!」
そして猫のような威嚇をしていた。
「むっ!その跳躍力!君は獣人か!」
※獣人・この世界に住まう3つの種族の一つ。人に溶け込み暮らしている。獣化現象と呼ばれる現象を得て獣人形態となる事が出来る。
「そうだ!ボクは猫の獣人だ!」
芹香がそう叫ぶと芹香の姿が変わっていく。
身体を黒い毛が覆い始め、服が破れていく。
しかし、何故か胸と腰の部分の服が破れないのはお約束という奴だろう。
「ウニャアアアアアッ!」
尻尾が生え、頭頂部に猫耳が生える。
手足が猫のそれに変わり手の平にぷにぷにの肉球が出来る。
「フシャアアアアッ!!」
芹香が一際大きな声で叫ぶと獣化が完了する。
「ふっフハハハハハッ!良いねぇ!益々好みだよ!!」
ジルバが狂ったように笑って芹香へと襲いかかった。
「キャットネイル!」
芹香の指先から鋭利な爪が伸びる。
獣人達の攻撃方法は基本的にその爪や牙を使って行う。
中には武器を使う者もいるが芹香は基本的に爪や牙を主にする。
だが、実を言うなら芹香は攻撃がトコトン苦手だ。
本来芹香は戦う者では無い。
故に……。
「フギャアッ!」
「ハハハハハッ!どうしたのかね?そんな攻撃では私に掠り傷すら負わせる事は出来ないよ?」
こうなる。
芹香の攻撃はジルバに当たる事無く、逆にジルバの攻撃は芹香に面白いように当たっていく。
「やれやれ、これではイジメのようで楽しくないなぁ?」
ジルバが芹香を痛めつけながら悲しそうに呟く。
「みゃ……」
「さて。これで終わりにしようか?お嬢さん」
ジルバは芹香の頭の鷲掴みにして壁に向かってオーバースローで投げつけた。
散々痛めつけられた芹香は壁に向かって一直線に飛んでいく。
だが、
「……遅いよリュウくん?」
芹香は壁にぶつかる直前でそう呟き微笑んだ。
次の瞬間、芹香の身体を包み込む感触が感じられた。
「済まんな。というより先行して先走ったのは誰だったかな?」
芹香が目を開けると其処には芹香が心の底から信頼し、そして最も愛する者の笑顔があった。
「誰だね?君は」
「左島龍星。ハンターだ。芹香が世話になったみたいだな?」
龍星と名乗った男は芹香を優しく下ろすと着ていたコートを脱いで芹香に渡す。
「お礼と言ってはなんだが、此処からは俺が相手だ。楽しんでくれよ?」
そう言って龍星はジルバに向かって走り出した。
「君は馬鹿かね?獣人である君の彼女が適わなかったのに人である君が適うとでぼっ!」
ジルバの腹に龍星の蹴りが突き刺さる。
「敵を前に何ダラダラと呑気に喋っているんだ?」
龍星は呆れながら次々と攻撃を叩き込む。
「がっ!このっ!嘗めるな!人間風情ガァァァァッ!」
ジルバは龍星を殴りつけ、龍星を壁に叩き付ける。
「………訂正しとく」
だが、龍星はまるで何事も無かったかのように立ち上がると埃を払いながらジルバに向かって告げる。
「俺は人間じゃない。半獣人だ」
※半獣人・片親が獣人で片親が人間だったり妖魔だったりする者の事。
他には半妖魔が存在するがどちらも強力な力を持っている。
龍星は右手を突き出し力を込める。するとその腕がみるみるうちに鱗のような物に包まれていく。
「俺のお袋は狼の獣人で親父は炎竜の妖魔だ。だから俺は炎竜と狼の特性を併せ持つ。更に言えば、一々獣化の度に服が破れるのは勿体無くてな?修業して部分獣化を修得した」
龍星が話している間にも右手は変化しており、話し終える頃には右手(肘から先)は竜鱗に包まれた竜の手に変化していた。
「あ、有り得ない!部分獣化だとっ!」
ジルバは頭を降ると龍星を睨み付ける。
「そんな物!まやかしだあああああっ!」
そして、一気に襲いかかった。
「隙だらけだ」
龍星はそれに合わせて右拳をジルバに叩き込む。
「グキャアッ!あ…がぁ……」
ジルバは壁まで吹っ飛び叩き付けられ気を失った。
「芹香!」
龍星は腰から手錠のような物を取り出すと獣化を解いて龍星のぶかぶかなコートを着た芹香に投げ渡す。
「おっと。封力錠……良いの?リュウくん」
※封力錠・犯罪を犯した獣人や妖魔の力を封じる手錠。これを着けられた者は一切の力を封じられる。
「何だ?その良いのって?かけてみたいからってこんな無茶したのはお前だろ?」
龍星が呆れながら言うと、芹香は何処かワクワクしながらジルバに近付き、
「吸血鬼ジルバ!貴男を連続女性失血死事件の犯人として確保します!」
と言って封力錠をかけた。
新たなる物語の舞台は人と獣人と妖魔が暮らす世界。
龍星と芹香が織り成す絆の物語は今、幕を開ける!
以前活動報告にも書きましたが、この作品は皆様のオリキャラをお借りして製作しようと思っています。
この作品にオリキャラを貸しても良いと言われる方は以下のアンケートに記入してLAN武のメッセージボックスか感想に出して下さい。
【オリキャラの名前】
【種族(人間・獣人・妖魔・半獣人・半妖魔の5つからお選び下さい)】
【性別】
【身体データ】
【職業】
【使用武器】
【技(どのような技かを書いて下さい。例・爆裂拳・無数の拳を敵に打ち込む技)】
【龍星達との関係(かつては敵対していたが今は仲間でも可)】
【備考】
では、次回もよろしくお願いします。