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第11夜

よーやく出来ました(汗)



「左島さん、此処か?」

「ああ、この病院の401号室に依頼人が入院している」

『エビルズタウン中央病院』

それが、龍星と足長の目の前にある建物の名前だ。

「じゃあ、行こうか」

「ああ。所で左島さん、見舞いの品はフルーツの詰め合わせで良かったかな?」

「・・・・・・いつの間に用意したんだ?(汗)」

足長軽。彼は妙な所で気のきく男だった。


「と言う訳で依頼人の病室の前にやって来たんだが」

「じゃあ、ノックするぜ?」

足長が病室のドアを数回ノックすると、中から『どうぞ』と返ってきた。

「失礼します」

龍星と足長は病室に入ると其処には左腕・両足の無い女性がベッドの上から龍星達を見ていた。

「この様な格好で失礼します。ハンターの左島様ですね?私が依頼人の雷野雪華です。失礼ですがそちらの方は?」

「申し遅れました。私の名前は足長軽。同じくハンターです。これ見舞いです」

足長は名乗りをあげると手に持ったフルーツの詰め合わせを雪華に渡す。

「あらあら、これはありがとうございます♪」

雪華はフルーツの詰め合わせを受けとるとにっこりと笑って足長に礼を言った。

その時だった。

コンコンとノック音が響くとドアが開かれ病室にタキシードを着た金髪の男性が入ってきた。

「雪華様、お花の水を変えて参りました。おや?お客様でしたか」

「K。此方は私の依頼を受けて下さったハンターの左島龍星様と足長軽様です」

龍星と足長はタキシードの男性に軽く会釈をする。

「おぉ、貴 方様方が御高名な左島様と足長様で御座いましたか。申し遅れました。わたくし、雷野家の執事を仰せつかっております神鳴と申します。どうぞKとお呼び下さい」

男性ーKーは龍星と足長に向かって斜め45度に頭を下げた。

「これはこれはご丁寧に」

「執事ってーとご主人様の為なら例え魔王でも倒すという話を聞いたんだが」

「無論です!主の命あらばこのK!魔王だろうがなんだろうが倒して見せましょう!」

足長の問いかけに力説するKであった。


「それで、依頼についてなんですが・・・・・・」

「はい。倒して頂きたいのは牙狼鬼です」

「牙狼鬼ってAランクの妖魔じゃないですか!」

龍星の質問に雪華が答え足長が驚愕する。

「いや、正確にはAランクじゃない。ハンターの妖魔ランクはAランクまでしか無いからAであって恐らくはAランク以上の強敵だ」

龍星の背中に冷たい物が流れ落ちる。

牙狼鬼は素早く、龍星が完全獣化してもスピードは牙狼鬼に分がある。

ましてや今の龍星は武器を剣に変えたばかりである。

一人ならば間違い無く敗れていただろう。

「足長が居てくれて本当に助かった(汗)」

「いや、俺の方こそ左島さんが居てくれて助かる(汗)」

二人は冷や汗を流しながらお互いに感謝するなだった。



「依頼は確かに引き受けました。」

龍星がそう言って立ち上がると足長も立ち上がった。

「では、宜しくお願いします」

雪華はベッドの上で頭を下げた。

「ん?左島様、少々お待ち下さい」

病室を出ようとした龍星をKが止める。

「何か?」

「いえ、その背に担いでいる大剣を拝見させて頂いても宜しいでしょうか?」

「・・・!良く分かりましたね? 」

「何、その背の物から私の良く知る男の気が感じられましたので」

龍星は少し思案すると、背中に担いでいたケースをKへと渡した。

「ふむ、やはりそうでしたか。アイツ腕を上げやがったな。・・・ありがとうございます。左島様、この大剣は愚弟・・・・・流が造った物ですね?」

Kの言葉に龍星は驚く。

「流さんが弟!?じゃあ、貴方も」

「はい、私は雷鬼。妖魔でございます。まあ、それはさておき。左島様はどうやら剣を使うのは久方ぶりのご様子。そこでこのKが一つアドバイスめをと」

Kは真剣な眼差しで龍星を見る。

「・・・お願いします」

「はい。とはいえ私から言える事は一つにございます。その大剣はまさしく貴方様の為に愚弟が造り上げた物。言わば貴方様の一部にございます。己を信じ、その大剣を信じる事。その剣は貴方様の信念に添わぬ事をする事はございますまい」

そう言ってKは龍星にスウェンガナル・ドラグーンを返した。

「俺の信念に添わぬ事・・・・・・」

龍星の信念。それは如何なる凶悪な妖魔や獣人で有ろうと不殺を貫き捕まえる事。

Kは流が造り上げたスウェンガナル・ドラグーンが不殺の剣である事を見抜いたのだ。

「この剣は私が見てきた流の造り上げた武具の中でも最高の武具です。貴方様の信念が失われぬ限りこの剣は貴方様の力となるでしょう」

にっこりと笑ってKは言う。

己を信じる事。それは己の強さを信じられない龍星の胸に突き刺さった。

「・・・ありがとうございます。必ず牙狼鬼を捕まえて見せます!」

そう言って龍星は足長と共に病室から出ていった。

その後、病院から出た龍星は一色に連絡を取り待ち合わせ場所に桜花を指定して歩き出すのだった。


次回へ続く。





オマケ『その後の401号室』


「やれやれ、少しお節介が過ぎましたかな?」

Kは雪華の為に林檎の皮を剥きながら呟いた。

「貴方が彼処までお節介を焼くのを久しぶりに見ました♪」

雪華はニコニコと笑顔でKに言う。

「いやはやお恥ずかしい。ですが、実力がありながら己を信じる事が出来ない左島様を見ていますとどうにもお節介を焼きたくなってしまったのですよ」

林檎を兎に切りながらKは笑顔で言った。

「うふふ♪」

「今の私では牙狼鬼には立ち向かう事は出来ません。力の殆どを封印した私に今出来る事と言えばこうして雪華様の為に林檎を剥く事ですな」

そうしてKは兎カットにした林檎をお皿に乗せ雪華へと差し出した。

「そう言えば、双拳と菊花も牙狼鬼を追っているのではありませんでしたっけ?」

「まあ、双拳様には連絡を入れておきましょう」

Kは牙狼鬼を追って雷野家を飛び出して行った雪華の弟妹の双拳と菊花に連絡を取る為に病室から出ていくのだった。





次回は久しぶりに一色と明奈が出ます。

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