第4夜
今回は珈琲中毒さんのオリキャラ『カーミラ・アインシュテルン』の登場です。
そして、何気に次回へと続いたりします。
後、珈琲中毒さん。
カーミラの性格あんなんで宜しいでしょうか?
ある日の晩、龍星と芹香は仕事を終えうさぎ屋へと帰還の途についていた。
「にゃ〜、にゃんとか捕まえる事が出来て良かったよ〜」
「影を操る妖魔はもうこりごりだぜ(汗)」
今回、龍星達が捕まえたのは影を操る妖魔。
戦いの最中に芹香や龍星の影を操って来て苦戦したのだ。
「そう言えばリュウくん知ってる?」
「何をだ?」
「最近、ハンターを狙った通り魔が出るって話」
「ああ、聞いた事あるな。何でも男のハンターは殺されかけて女のハンターは何故かセクハラされるって奴だろ?」
龍星は歩きながら芹香に尋ねる。
此処最近の事だ。仕事を終え帰宅途中のハンター達が何者かに襲われると言う事件が多発していた。
龍星達も話していたが男のハンターは何かに刺されたような傷を負わされ酷い者は一生ベッドから起き上がれなくなった者も居る。
そして、女のハンターは何故かセクハラされるのだ。
「うん。何でも羽根がある女に襲われたらしいよ?」
「……ちょっと待て。女のハンターはセクハラされたんだよな?(汗)」
「うん。何でも、胸を揉まれたり貞操を奪われかけたりした……らしいんだけど……(汗)」
芹香と龍星の額に汗が一筋流れ落ちる。
「それってもしかして……(汗)」
「百合……って奴かにゃ?(汗)」
どうやら龍星と芹香はハンター襲撃事件の犯人について知りたくない事実を知ってしまったようだ。
その時だった。
それまで辺りを照らしていた月が不意に曇り、龍星の背中に悪寒が走った。
「……!?芹、逃げろっ!!」
「うにゃ!」
龍星が咄嗟に芹香を突き飛ばしてトンファーを抜きガードする。
ゴギンッ!!
鈍い音が響き龍星が吹き飛んだ。
「へぇ〜。アタシの一撃を防ぐなんて大したもんだね?」
「痛ぅ〜。コイツが無けりゃあ腕を持ってかれてたな」
今し方龍星を吹き飛ばした影が感心したような声を上げる。
龍星は龍星で腕を振りながら手にしていたトンファーを投げ捨てる。
ガランと言う音を立てて、折れ曲がったトンファーが地面に転がった。
「鋼鉄製のトンファーが折れ曲がるとは大した力だな?」
「何、それくらいは誰だって出来るさ」
「……てめぇが此処最近のハンター襲撃事件の犯人だな?」
「……ふん!アタシはアンタらハンター、特に男のハンターが死ぬ程嫌いだからね。アタシの恋人を殺したアンタらハンターは一人残らずぶっ潰してやる!」
その影から鳥肌が立たんばかりの殺気が龍星に叩きつけられる。
「一つ聞きたい」
「何だい?」
「お前、声から察するに女だよな?」
「ふん!アタシが男に見えるってのかい?」
「いや、月が曇ってるからお前の姿は良く見えないんだが……(汗)まぁ、いいや。恋人ってもしかして女なのか?」
「はっ!何でアタシが男なんかに惚れなきゃならないのさ!」
影から返って来た返答に龍星が眉間を押さえる。
「はぁ〜。この間(プロローグ参照)の変態吸血鬼に続いてまたこんなのか……(汗)」
この間(……とは言え既に作中内では2ヶ月がたっているが)の変態吸血鬼ジルヴァに続いて今度は百合と来て龍星は眉間を押さえながら溜め息をついた。
「ま、お喋りはこの位にしてそろそろアタシのモルゲンシュテルンの錆になって貰おうかい?」
そう言うと女は再び龍星に襲いかかった。
因みに芹香はどうしているかと言うと……。
「きゅ〜」
頭にでっかいたんこぶを作って気絶していた。
どうやら先程龍星が芹香を突き飛ばした時、勢いがつきすぎて壁に頭をぶつけたようだった。
「おらっ!」
女が凄まじい速さで龍星に駆け寄り手に持ったモーニングスター(鋼鉄製の棍棒の先に13本のトゲがある鉄球がついている)を叩き付けてくる。
「くっ!」
龍星はそれを辛うじて避け、両腕を獣化させる。
「へぇ〜、腕だけを獣化させる奴なんて初めて見たね。見た所、竜みたいだしアンタも妖魔かい?」
「いや、俺は半獣人だ。見ての通り竜の血が混じっているが……なっ!」
龍星はそこまで言うと拳を握り締め女に向かって殴りかかる。
「おっと」
だが、女はそれをモーニングスターで受けると龍星に蹴りを叩き込んだ。
「がはっ!」
軽く飛んだ龍星は着地すると、女を視界に入れる。
「強いな……。少なくとも、部分獣化した俺よりも速くて強い」
龍星は右手の親指で口元を拭うと楽しそうに笑う。
「俺は左島龍星。アンタ、名前は?」
「……本来は男なんかに名乗る気は無いんだけど、噂に名高い紅き炎狼竜が相手なら名乗ってやるよ。アタシの名はカーミラ。カーミラ・アインシュテルン。鳳凰の半妖魔さ」
鳳凰。即ち火の鳥。
それは炎を使う龍星に取って相性の悪い相手だった。
「こりゃあ手加減出来る相手じゃないかな?」
そう言うと龍星は羽織っていたコートを脱ぎ捨てる。
「?」
「お客さん、運が良いねぇ。……俺の本気見せてやるよ。ふんっ!」
龍星が身体に力を込めるとその身体に異変が生じる。
身体中の筋肉が膨れ上がりズボンが引き裂かれ足が紅い狼の足へと変化する。しかし、ズボンの腰の部分が破れないのはお約束と言う奴だ。
シャツが破れ、上半身に紅い竜の鱗が生え髪が紅く染まり顔が竜と狼が混ざったような異形へと変化する。
「グォォォォォォォォンッ!!」
獣化を終えた龍星が吼える。
「待たせたな?」
落ちていた白いソフト帽を拾い上げると龍星はそれを頭の上に乗せる。
「どうでもいいけど、その姿にソフト帽は似合わないねぇ」
「ほっとけ。こいつは俺のトレードマークだからな」
そう言って龍星は戦闘体制に移行する。
「どうやら、マジで殺った方が良さそうだねぇ」
そして、カーミラもまた手に持ったモーニングスター……モルゲンシュテルンを構え直した。
「おらっ!」
龍星がカーミラに連撃を叩き込むと、
「殺アァァァァァッ!」
カーミラもモルゲンシュテルンで龍星を迎撃する。
「狼襲脚!」
「炎羽弾!」
「炎竜爆裂拳!」
「遅い!おらよっと!」
龍星とカーミラの技の応酬が続く。
「これでも喰らいな!必殺・アイアンメイデン!」
カーミラが凄まじいスピードでモルゲンシュテルンを龍星に連撃で叩き込む。
これに対し龍星は両腕でガードするが、カーミラのアイアンメイデンの威力に腕の竜鱗が弾け飛んでいく。
「くぅぅぅ!俺の竜鱗を弾き飛ばすたぁ大した威力だな?」
「アイアンメイデン喰らってその程度とはね。アンタの身体はどんな硬さなんだい?」
龍星が感嘆の声を上げるがカーミラは呆れたような声で応じた。
「いやいや、ガードした腕が痺れちまったよ。俺の竜鱗は上級妖魔の一撃すら防ぐんだがな。だからこそ惜しい。アンタがその力を復讐の為に奮っているのが心底惜しい」
「っ!!あたしからベルーナを奪ったハンターに言われたく無いね!」
龍星の何気ない一言にカーミラが激昂する。
「ベルーナ?ベルーナって共存派で市長の秘書をやってる水竜の妖魔ベルーナ・カルナックか?」
龍星はカーミラが叫んだ名前に覚えがありカーミラに尋ねる。
「ああそうさ!ベルーナは優しい娘だった!だからこそあたしはベルーナを殺したアンタ等を赦せないんだ!」
「……そうか。ベルーナが言ってた恋人ってアンタの事だったのか」
龍星の脳裏にベルーナの事が思い浮かぶ。
エビルズタウンの市長と龍星の母親である美桜は仲が良く、龍星も面識はある。その為、龍星は何かと市長に呼び出される事が多い。それ故市長の秘書を勤めていたベルーナの事も知っていた。
2週間位前に市長に呼び出された龍星はベルーナが幸せそうに微笑んでいるのを見てその理由を尋ねた。するとベルーナは「恋人が出来たんです♪」と、本当に幸せそうに微笑んで龍星にノロケたのだった。
「悪いがアンタの恨みは見当違いだ。ベルーナは俺達ハンターの人気者だった。あの笑顔でハンター達の心を癒やしてくれた。だから断言出来る。ハンターの中にベルーナを殺す様な奴は居ない」
「ウソダ!ウソニキマッテイル!アレハハンターダ!オマエラガアタシノベルーナヲコロシタンダ!」
カーミラの身体から炎が噴き出しカーミラが暴走を始める。
最早、龍星の言葉はカーミラに届きそうになかった。
「ちっ!こうなったら、叩きのめして話を聞いて貰うぞ!」
「シネェェェェェェッ!」
カーミラが一気に間合いを詰め龍星にモルゲンシュテルンを振り下ろす。だが、龍星は紙一重でそれをかわすとカーミラにクロスカウンターをぶち込む。
吹っ飛ぶカーミラを追い越し上空に蹴り上げ、自らも飛び上がる。そして、上空でカーミラに追い付くとカーミラの胴体を肩に担いでしっかりと両腕でホールドする。
「これで終いだ!必殺・メテオブレイカアアアアアアアアッ!!」
龍星が叫ぶと龍星とカーミラを炎が包み込み一気に大地に向かって加速する。
そして、爆音と共に大地へと落ちた。
「ゲボッ!」
道路がくぼみカーミラの身体を凄まじい衝撃が突き抜け、カーミラの身体に破滅の音が響き渡り口から血を吐く。
「うに〜。リュウくんやり過ぎだよ!」
何時の間にか目を覚ましていた芹香が龍星達の下へと歩いてくる。
「うにゃ!」
そして、躓いて転んだ。
「芹、大丈夫か?」
「……痛い。おはにゃ擦りむいたよ〜」
龍星がカーミラを下ろし、獣化を解いて芹香に近寄ると芹香は涙目で起き上がった。
「ぐっ、がはっ!まだ、だよ。まだ、終わって、ない」
「もうよせ。お前の身体はメテオブレイカーでボロボロになっているんだ。幾ら再生能力の高い鳳凰の妖魔でもそれ以上無理すると死ぬぞ」
ボロボロの身体で起き上がり戦おうとするカーミラを止める龍星。
「望む所だよ!死ねばベルーナに逢えるんだ。あたしは命なんて惜しくっ!?」
カーミラがそこまで言うとパンッと言うかん高い音が鳴り響いた。
芹香がカーミラの頬をぶったのだ。
「何すんだいっ!」
「馬鹿な事言ったからお仕置きしたんだよ」
そう言って芹香はカーミラの頭を抱く。
「わぷっ!」
「ベルちゃんは君が死ぬ事なんて望んでないよ?それに生き残った君にはやらなきゃいけない事が有るんだから」
芹香はカーミラの頭をその豊満な胸で包み込みカーミラの髪を撫でながら芹香は諭すように言うのだった。
数分後、何とかカーミラを説得した芹香の頭を撫でながら龍星(何時の間にか服を着ている。何処から出したんだ?)はカーミラに話しかける。
「カーミラ。真犯人見付けるなら力を貸すぞ?俺と芹はベルーナの友達だったんだ」
「へっ?」
龍星の言葉に芹香の胸から顔を上げたカーミラが間抜けな声を出す。
「一緒に買い物したり、映画見に行ったりしたよって何時までボクの胸にしがみついてるのかな?」
何時までも胸にしがみついているカーミラに芹香は尋ねる。
「……一生このままで良い♪」
すると、カーミラはぐりぐりと芹香の胸に顔を押し付けて幸せそうな表情を浮かべていた。
「えへへへ。うひょひょひょひょ♪」
訂正。幸せそうな顔じゃなく、ただのスケベそうな笑顔を浮かべていた。
「ちょっ!はにゃしてぇ〜!あっ!そこは駄目ぇぇ!」
身の危険を感じた芹香が一生懸命カーミラを引き離そうとするが、力で勝るカーミラは離れようとはせずそれどころか調子に乗って芹香の胸の敏感な部分を触り始めた。
「ほ〜らほら♪此処が良いんだろ〜♪」
「ひにゃ〜リュウくんたしゅけてぇ〜!」
「いい加減にしろ!」
ゴス!(←カーミラの頭に龍星の拳骨が落ちた音)
「いった!何すんだい!」
「調子に乗るなよ?」
メキメキメキメキメキ(←カーミラにアイアンクローを決めている音)
「あだだだだだだだ!ギブギブ!」
「取り敢えず、このままギルドまで持って行ってやる」
「あ゛―――――――!」
結局、カーミラは龍星にアイアンクロー決められたまま、ギルドへと連行されたのだった。
次回へ続く。
纏まらなかったので次回も引き続き、カーミラが登場します。
後は他の方のキャラクターも出ます。
そして、次回エビルズタウンの市長が初登場します。
と、言っても他の作品に出て来るLAN武のオリキャラを流用するんですけどね?
ヒントは『爺言葉』
さぁ、もう誰が出るか分かりましたね?
答えが分かった方はそっと胸の内に秘めといて下さい(笑)