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Ep1:ファッションセンスの大迷走

 午後10時20分。

 就寝準備を整えた俺は、水分補給とトイレを済ませ、電気を消してから早速VRを起動しエデンズにログインした。

 夜ふかしは、夏休みを迎えた学生の特権なので、この機会を利用するほかあるまい。

 VRを起動する直前、何やら友人から着信が来ていたような気もするが、後ででいいだろう。今はそれよりも『エデンズ』の攻略を進めるのが先だ。

 装備品も買い揃えたいし、何より多分相当レアなあのインプラントとやらの性能も確認しておきたい。


 モノロードで目を冷ました俺は、ベットから飛び起きてすぐさまステータス画面を開き、装備効果の詳細を確認する。


—————————


インプラント:真実を見る鉄鋼仮面(アナライズアイ)

アイテムクラス:ユニーク


 効果

 ・あらゆる視覚妨害等のデバフ効果を無効化する。

 ・プレイヤー及びNPCの詳細なレベルを確認することができる。

 ・装備時、動体視力・認識速度を著しく向上させる。

 ・特殊マップ『聖域』のランドマーク『アトラスの園』へと転移できる。

 ・古代文明の遺跡の認証キーの役割を果たす。

 ・[秘密保持シークエンスに則り一時的な情報開示制限を行なっています]

 ・破壊負荷

 ・譲渡不可


 説明

「遥か昔、古代文明の時代にたった一人の科学者のために製造された完全オリジナルのインプラント。その鋼鉄の仮面は、世界の全てを正しく映し、英雄の足跡を辿るための道標となるだろう」


—————————


「装備の効果は一点物って言う割には、いまいちパッとしないものばかりだな」


 なんていうか、この装備は「今すぐ使える」という感じじゃなくて、ある程度ゲームを進めてから必要になってくる類のアイテムだろう。


「まあ、相手のレベルが分かるっていうのと、動体視力とか反応速度が上がるのは相当なアドだし、相当便利なアイテムではあるな」


 てっきりとんでもない技が習得できたり、ビームでも打てるようになるのではなどと考えていた俺は、少しガッカリといった気分ではあったが、それはそうと切り替えて、早速装備を調達するために装備屋に向かうことにした。





「これもいいし、これも捨て難い……」


 装備やに辿り着き装備を選ぶ俺は、このゲームで何度目になるかもわからない危機に遭遇していた。

 このゲームのファッション、自由度が高すぎるのだ。

 最初の街なのに、胴装備だけでも100以上の種類の服がある。 

 魔法使いチックなものから、騎士の鎧甲冑、セーラー服に至るまで。

 こんなに種類が多い理由は、どうやらゲーム内の生産職のプレイヤーが独自のデザインの服を作り売りに出しているそうで、ゲームの世界観に合わない衣装はたいていプレイヤーが出品した物のようだ。

 完全にふざけていて、ネタで装備でしかないようなものもあるが、それを除けばほとんどの商品が高品質、高クオリティーでプレイヤーたちがこのゲームに賭ける熱量の凄まじさが伺えるというものだ。


「まあ、色々あるけど、順当に行くならメイン武器に合わせて日本風の衣装。となるとこれがいいな」


 熟考の末、俺が選んだのは、俺のアバター似合うような装備。

 『紅色の短裾(ミニスカ)日本風衣装』

 『非対称な(アシンメトリカル)脛当て防具(レッグプロテクター)

 『純白の晒』

 『紅色の下駄』

 『浪人の黒袴』

 完成形は、何かのアニメかゲームなんかで見たことありそうな日本風衣装の戦闘民族幼女という感じで、どうにもコスプレ感が拭えないのが減点ポイントだが、自分基準では評価は高い。

 ここで重ねて弁明するが、俺はこの衣装をこのアバターに合うよう真剣に選定しただけ、その結果がこれであるわけなので、決して、俺が幼女に憧れを抱く変態であるという事実は万が一にも存在し得ないのだ。

 

 そう自分に言い聞かせるようにしながら、カウンターで決済し、服を身につけ店外に出た俺は空を仰ぎ見てつぶやいた。


「ああ、このゲームに“アイツ”がいなくてよかった……」


 流れる綿雲、青い空、のどかな街、軽い財布……

 ああ、なんて穏やかな日だ。

 一通り買い物を済ませ、今からこの世界での冒険が始まる、そんな心躍るシュチュエーションに俺は一種の境地に達していた。


「これから先、一体どんな……」


 そんな独り言を呟こうとしたその時、突如、目の前に薄い膜が降りたように視界の明度が低下する。


「だぁーれだ?」


 突如、背中に走る大寒波。

 耳を舐めるようなその声に全身の筋肉が一瞬にして凍りつき、ゲーム内ではかかないはずの冷や汗が背筋を伝うような、そんな感覚に陥る。

 首に感じるひんやりとした感覚は、おそらく首に刃物か何かを突きつけられているのだろう。

 唐突な襲来、だが、俺は首にナイフを突きつけるそのプレイヤーの正体を知っていた。

 

「星海キララ!!」


「せいかーい。久しぶりだね“アーサー”くん」


 突如として俺の背後に現れた暗殺者(アサシン)は、かつてあるゲームで宿敵となった登録者数50万人越えのVtuber“星海キララ“その人であったのだ。

主人公が唐突な「だーれだ」の目隠しをかまされても前が見えていたのは、例の仮面の効果によるものです。


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