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Ep7:東京ゲームフェス(上)

 現在時間は朝の8時。

 このままだと間に合わないと急いで靴の紐を結んだ俺は、玄関を出る際に一言「行ってきます!!」と言い残して、リニアのチケット片手に家を飛び出した。

 急いで準備を済ませたため寝癖もろくに整えられていない手櫛で溶かしながら、もう片方の手でダイニングのテーブルから掻っ攫って来た一枚のパンを貪る。

 エデンズをプレイし終え、寝て起きて、朝食を食べているときに思い出した。

 

「そういえば今日東京に行くんだった!!」


 そこからはもう、大急ぎ。

 友人とも待ち合わせているし、遅れるわけには行かない。遅れれば、多分五百円くらい何かを奢らないといけないことになってしまう。

 自転車のキーを外して、大急ぎで向かったのは、家の最寄り駅。

 駐輪場に自転車を停めて、全力ダッシュで切符売り場前に向かうと学校の友人が二人、雑談しながら待ち合わせ場所に立っていた。

 

「8時23分、ギリギリセーフ!!」


「よっ、アサ! 遅かったな」


 今日、一緒に出かけるのは二人。

 一人は今俺に話しかけてきた男「霧島修斗」、呼び名は「シュウ」だ。小学校からの友人で、よく二人で出かけることもある。

 今回東京行きに誘ってきたのはこいつ。

 で、もう一人は……


「お、おはようございます浅倉くんっ」


「おはよう、小林さん」


 彼女の名は「小林菜々子」、下校の方向が同じでよく一緒に帰る友人だ。

 見てくれは純真無垢な清楚系って感じだけども、中身は俺と同じ鬼畜ゲーマー。

 同じ穴の狢、話も合うため、今回の東京行きにも参加することになった。

 なんか、すっごいおめかししているのはさすが女子って感じだ。 


「って、ことでリニアの時間ももうすぐだし、歩きながら話そうぜ」



————————————



 小林菜々子には思い人がいた。

 勉強はそこそこ、運動もそこそこ、友人と楽しげに話す様子はよく見るが、はっきり言ってあまり目立つことのない人物だ。

 そんな彼に、菜々子は今、思いを寄せていた。

 きっかけは初めて一緒に帰ったあの日。帰り道が一緒だからと一緒に帰ろうと誘うと、彼はなんだか緊張した様子で、言動も辿々しかったけど、一度同じ趣味を共有しているとわかると、彼の目は純粋無垢な少年のそれに変わって、楽しげに、意気揚々と話を始めた。

 だからと言って、自分一人で延々と語り続けるわけではない。

 自分の話を聞いてくれるし、変に気を使わずとも、飾らない自分のまま楽しく話すことができる、そんな人だと知った。

 それから、都合が合う日はほとんど毎日一緒に帰り、気づけば菜々子は浅倉に恋心を抱いていた。

 

 だが、その思いは、未だ彼に伝えられてはいない。

 周囲のクラスメイトからは「え〜、まだ付き合ってないの〜?」なんて言われる始末。

 朝倉の方からは、待てども待てども告白してくる気配がないし、こうなればやむなし。菜々子から告白するしかなかろう。


 そこで、浅倉の友人である、霧島に相談し、セッティングしてもらったのが今日の東京旅行。

 菜々子は今日こそ告白を成功させるべく、その時を待つのだ。



————————————



 リニアに乗った俺たちは、今回参加する『東京ゲームフェス』についての諸々が記されているパンフレットを見ながら打ち合わせをしていた。


「まず『風雲とっとこ城』のブースは確定としてぇ」


「何言ってんだ。あれクソゲーだろ? てか、なんで“とっとこ”が東京ゲームフェスにブース出せてるんだよ?」


「あれはニッチな人気がある作品ですからね。とっとこ城2が出るとなったら一定以上の集客は見込めるんだと思います」


「とはいえバグだらけなのは問題外だろ……」


「はあ? 何言ってんだ、風雲とっとこ城は去年のアプデで300以上あったバグがほとんど無くなったんだぞ?」


「300個もバグあったのかよ」


 こいつのクソゲー好きは俺にはよくわからない。

 霧島修斗というゲーマーを端的に言い表すなら、神ゲーからクソゲー、放置ゲーから鬼畜ゲーまで幅広いゲームを手広く貪り尽くす『悪食プレイヤー』。

 例の『スロフィス』も通常エンドまではクリアしているらしいし、ゲームの腕前は確かなのだが、どうにもシュウのゲームの好みに迎合することは出来ない。

 何せ、彼は、どちらかというと神ゲーよりもクソゲーを好む手合いで、つまらないゲームばかりしている彼の精神構造が全く理解できないためだ。


「あ、そういえば俺、最近エデンズしててさ、今回エデンズもアップデートの先行体験ができるブースを出すらしいから、そこにも行ってみたいんだよな」


「はぁ? 鬼畜ゲーマニアのお前が大衆向けMMO始めたって? なんかの冗談だろ」


「それがマジでな? 息抜きがてらちょっとやってすぐにやめるつもりだったんだけど、思いの外難易度が高くて結構楽しめてるよ」


「エデンズなら私もやってます。でも、多分、一部のコンテンツを除いて浅倉くんが楽しめるほど難易度は高くないと思うんですけど」


「あー、それは、なんていうか、俺だけ別ルートで攻略を進めてるからっていうか」


「MMOに別ルートなんてあるもんなの?」


「あるんだよな、それが。まあ、とりあえずエデンズで昔の顔馴染みにボコされたからそいつをボコボコにするまで続けるつもり」


『次はー東京駅、東京駅です』


 なんて雑談をしていると、もう東京に着いてしまった。


「そろそろ駅に着きますし、片付けたり準備をしたりしましょうか」


キリが悪いけどとりま投稿。

東京ゲームフェスは上中下の3話構成になる予定。

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