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想像攻撃

皆さんお疲れ様です。たいくつです!

まず初めに更新が遅れて申し訳ありませんでした。今まではだいたい1週間から2週間の間に更新していたのですが、最近本業の仕事や私生活でもいろいろと忙しく中々小説を書く時間が取ることができずにいました。そして時間が空けば空くほどイメージが湧かなくなり書くスピードも落ちてしまいました。今後も今みたいな状況がしばらく続く可能性が高いので更新頻度が一月に一回ぐらいになりそうです。私事で申し訳ないのですが何卒ご理解の程よろしくお願いいたします。

「…ライゼニス、シンリさんはついさっきまで俺と戦っていたからもう疲れているはずだ。勝負はまた後日改めてお願いしたらどうだ?」


 俺の顔色を窺った後、アジスさんが言う。


「黙れアジス、こんな強者の存在を隠していただけではなく一人抜けがけして勝負を挑むようなやつの言うことをなぜ俺が聞き入れなければならない?」


「…まあたしかに。今は俺がお前に説教できる立場じゃないか」


 そういうとアジスさんは俺の近くに来てこう言った。


「すみません、シンリさん。あいつ悪いやつではないんですが少々強引かつ聞き分けのないとこがありまして。こうなってしまったら私にも止められないんですよ。なので申し訳ないのですが少しだけ付き合ってもらえませんか?」


「…わ、わかりました」


 アジスさんにそこまで言われたらそう簡単には断れないな。いや、俺は元々他人から頼まれたら断れない性格だからアジスさんは関係ないか。


「ライゼニスさん、確認なのですが勝負というのはさっき俺とアジスさんがしたものと同じ内容でよろしいのですか?」


「ああ」


「えと、それじゃ改めてルールの説明を」


「必要ない。さっさと始めるぞ」


「あ、はい…」


 説明をする手間が省けたのはいいが、なんか異様に殺気立っているように感じるが…気のせい、だよな?尚更戦いたくなくなってきた…。


「シンリさん」


「?」


 するとアジスさんが俺の耳元でこう言った。


「あいつ、ライゼニスは俺よりも強いのでくれぐれもお気をつけて」


「え?」


 あんなに強かったアジスさんよりも強い人がそれもこんなに早く現れるなんて展開が急すぎるだろ。アジスさんと互角程度の実力しか持たない俺では相手にならないと思うが、ライゼニスさんはなぜそんな俺に勝負を挑んだんだ?


「じゃあ、審判は引き続き私が行いますね」


「うん、レナ頼んだよ」


 所定の位置につき、俺は剣を抜く。


「…始めるぞ」


「はい…!」


「両者準備はいいですか?…それでは、初め!!」


 今回先に仕掛けたのは俺だった。先程の戦闘による疲弊が大きく、なるべく早く決着をつけたいと考えたからだ。


「はぁ!!」


 俺は、ライゼニスさんに接近すると大きく薙ぎ払うかのようにライゼニスさんの脇腹目掛けて剣を振るう。


「…」


 キン!!


 俺の一撃は確実にライゼニスさんの脇腹を捉えたかに見えたが、実際はそうではなくライゼニスさんは右手に持った「短剣」で俺の攻撃を脇腹に届く直前で防いでいたのだ。


「くっ…!」


 ザザッーー


 俺は一旦距離を取り体勢を立て直す。


「悪くない攻撃だが、まだ剣閃が鈍いな」


 右手を後ろに構え、攻撃の準備をするライゼニスさん。対して俺はその攻撃に備え腰を低くし、剣の切先を相手に向けた構えを取る。


「…!!」


 次の瞬間、ライゼニスさんはアジスさんをも上回るものすごい速度で間合いを詰めてきた。


 ガキィン!!


 偶然剣の構え方が良かったのかライゼニスさんの鋭い一撃をかろうじて防ぐことができた。だが…。


 ゴンッ!!!


 鈍い音と鋭い痛みが同時に俺に襲いかかる。


(あれ、なんだ?身体の力が抜け、て…)


 ドサッ!


 俺はそのまま気を失ってしまった。


 ◇◇◇


 パチッパチ!


「…ん、あれ?ここ、は?」


 暖炉にくべられた薪が崩れる音で目を覚ました俺の目には見覚えのある木の模様が映っていた。


「…!シンリさん大丈夫ですか!?」


 真っ先に俺に話しかけてくれたのはリーフだった。


「…リーフ。ここは?それに俺はいったい?」


「ここは僕たちの家ですよ。シンリさん、ライゼニスさんとの勝負に負けちゃってそのまま気を失っていたんですよ」


「勝負? …確かに勝負をしていたような」


「ほんとに大丈夫ですか?頭を思いっきり踵で蹴られたってお父さんは言ってましたけど」


「踵で頭を…うっ!!」


 言われてみれば頭のてっぺんから中心にかけてわずかに痛みを感じる。


「とりあえず僕は父さんたちを呼んできますので少し待っていてください」


「…うん、ありがとう」


 リーフが部屋から出て行くのを見送った後、俺は先程の戦いを思い返していた。


(あの時、俺はたしかにライゼニスさんの攻撃を防いだはずだった。ライゼニスさんの短剣の攻撃による衝撃が剣を通じて俺の手に伝わってきたのを感じた。それなのになぜ俺はあのまま気を失ったんだ?…リーフの話だと俺は頭から踵落としをくらったと言っていたな。まさか攻撃を仕掛けた直後、ものすごいスピードで踵落としを放ったのか?それにしてはライゼニスさんの身体は一切動いていなかったように見えたが…速すぎて見えなかった、とかか?)


 コンコン


 どうやらアジスさんたちを呼んできたリーフが戻ってきたようだ。


「具合はどうですか?シンリさん」


「はい、多少頭が痛みますが大丈夫です」


「良かった。実はシンリさんが寝ている間に念のためレナに診てもらって、命に別状はないと言われていたんですが中々目を覚さないので皆心配していたんですよ」


「すみません。居候の分際で心配までおかけして」


 俺が申し訳なさそうにしているとそれを諭すようにレナさんが口を開いた。


「シンリさんは、この子達の命の恩人なんですからそんなに申し訳なさそうにしなくても大丈夫ですよ。それに、命の恩人どうこうの話を無しにしても私達が放っておけなかっただけですからどうかお気になさらないでください」


 レナさんは手を胸に当て優しい笑みを浮かべている。まるで女神のような抱擁力に俺は心底安心した。


「はあーそれにしてもライゼニスの奴、完璧にルールを無視して本気の一撃を入れ込むとは…。偶然無事だったから良かったもののもしシンリさんが目を覚まさなかったらどうするつもりだったんだか」


「ほんとにね。加減することを知らないなんて戦闘初心者でもあるまいし。…でも、それはあなたも同じよ?」


「ぐっ…。それを言うならシンリさんも加減ができていなかったように見えたが?」


「シンリさんは聞いた感じだとまだ戦闘初心者だから仕方ないでしょ?」


「ぐぬぬ…。まあ、たしかに…」


 ライゼニスさんに対する文句を言っていたはずがいつのまにかアジスさんに対する説教になっている。そしてアジスさんが俺のことを羨ましいとか仕方ないとかそんな複雑な感情を宿した目で見ている。なんかすみません、アジスさん。


「そういえば、あの後どうなったんです?」


 俺は俺が気を失った後のことをアジスさんたちに訊ねた。


「…あの後すぐ、私達を残してライゼニスさんは不満そうな顔をしながら帰っていきました」


 そういうセナだったが、どこか怒っているように見えるのは気のせいだろうか?


「で、残された僕たちはシンリさんを連れて家に戻ってきたって感じです。あ、ちょうど今で10時間前になりますね」


 部屋に置かれた時計を見ながらリーフが言う。


「10時間前!?」


 たしかに今まで気づかなかったが、窓から見える外の景色には陽光ではなく月光が降り注いでいた。


「俺、そんなに寝てたんですね…」


 これじゃあみんなが中々目を覚まさないと焦るのも頷けるな。


「…アジスさん、一つ聞きたいことがあるんですけどいいですか?」


「はい、何でしょうか?」


「俺はあの時ライゼニスさんの攻撃をしっかり防いだ気でいました。でも、実際はそうじゃなかったんですよね?」


「…あれはおそらく『想像攻撃』と言われる魔法です」


「想像攻撃?」


「はい。想像攻撃とは魔素を消費して生み出したもう一人の自分で相手を攻撃する魔法です。主に奇襲や不意打ちなどに用いられ、シンリさんのように戦闘に不慣れな方には致命的な攻撃を与えることも可能でしょう」


「もう一人の自分…具体的にどうやるんですか?」


「その名の通り、まず初めに相手を攻撃している『自分』を想像するんです。ある程度想像できたら魔力で姿形を形成することで想像攻撃は成り立ちます」


 つまりはただ想像しただけで相手を攻撃できる魔法ということか?なんだそれ強すぎ…。そりゃ防御できないよな。


「頭で想像するだけで相手を攻撃できるなんてすごいですね、はは」


 俺は少し引きつった笑顔を皆に向ける。


「ええ、でもこの魔法は習得するのにかなり苦労するんですよ。魔法を発動させるにあたってかなりの魔力を消費するだけでなく、何物にも左右されないほどの強靭な精神力と集中力がないと想像が安定せず、自分自信を正確に想像できなくなるんです」


「なるほど。一見簡単そうに思えますが実はかなり難しいのですね」


「そうです。しかしライゼニスのように凄まじい精神力が備わっていれば成功させるのも容易いのでしょう」


 自分の想像で相手を攻撃、か。俺にはフェイルから貰ったシーディアがあるから剣術を極めればいいと思っていたのだが、魔法もある程度は使えるようになっていた方が今後何かの役に立つかもしれないな。それに俺にはもう一つフェイルからもらったものがある。「豊心の衣」。この服にも特性がありその内容は確か攻撃、弱体化、強化、回復全ての魔法の効力を底上げするって効果だったはず。なら尚更俺は魔法を覚えた方がいいな。だが、ここで俺は一つの疑問が頭に浮かんだ。


「あの、昨日のアジスさんの話ではこの世界の大気中には魔素があり、この世界にいる人なら魔法が使えると言っていましたよね?」


「はい。しかし、私のように魔法に適さない身体の者は魔法を使えないとも言いましたね」


「そこで気になったんですけど、元々は別の世界の人間だけど、今はこの世界にいる俺は魔法が使えるんでしょうか?」


「えっーと、そうですね…。 レナ、どう思う?」


「うーん、シンリさんのような境遇の方の前例が無いから私にもなんとも…」


「そうですか…」


 何となくわかってはいたがやはり俺のような例は稀、というか『初めて』の可能性が高いようだ。


「でも、シンリさんも私達と同じ人間だから魔素さえあれば魔法が使える可能性もあるんじゃない?」


 セナがアジスさんに向けて言う。


「たしかに。生まれた世界が違っても同じ人間なら身体の作りも同じ可能性が高いだろうし、俺みたいに魔法の適性さえ悪くなければ魔法を使うことができるかもしれない」


「ほんとですか!?」


 その言葉を聞いて俺は一瞬とはいえ柄にもなくはしゃいでしまった。やはり異世界といえば魔法、みたいな認識が強いため実は前々から使ってみたいとちょっとだけ思っていたのだ。ほんのちょっとだけ。


「ええ。ちゃんと基礎から学べば適性のあるものなら誰でも魔法は使えるはずです。よろしければ、私が魔法についてこれからいろいろとお教えしましょうか?」


「いいんですか? ぜひお願いします!」


 特に断る理由もないし、俺はレナさんの申し出をありがたくお受けすることにした。


「ではこれからはセナとリーフの鍛錬にシンリさんも参加してもらいますね」


「わかりました。二人ともよろしくね」


「「はい!よろしくおねがいします!」」


 こうして俺は魔法について一から教わることとなった。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

今回は「想像」をテーマに書いてみました。これから魔法についていろいろと書いていくつもりでいますが、果たしてシンリは魔法を無事会得できるのでしょうか?

次回のテーマは「魔法」です!今後もよろしくお願いします!

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